作品名 5段階評価
短評
<ナ行>
ナチュラルボーンキラーズ ☆☆☆☆★
 あのジュリエット=ルイス様がお出になるアクション映画、実は15禁。とはいっても露出は確かに冒頭にルイス様の激しいシーンはあるが、あとは特筆するほどでもなく、その暴力描写の故だろう。ちょっと普通の映画ではお目にかかれないレベルである。
 あ、オリバー=ストーン監督にタランティーノが脚本してます。
 物語は連続殺人犯である2人の放埒な生活と刑務所の中での話の二部分に分かれる。初めの滅茶苦茶な殺し合いも暴力の気持ちよさを存分に発揮しているが、刑務所のシーンの方が印象的。散弾銃はあまりアクション映画では使われないが、そのかっこ良さを再確認した。
 主人公は知的な人物で自らの行為を十二分に理解し、時には反省しつつも、知性で様々な局面を切り抜け、結局は殺しを続ける。「ボニー&クライド」を彷彿とされるストーリー展開だが、今回の作品はそれよりも悪く、賢く、すかっときりぬけている。
 ただの暴力映画ではなく、知的にカタルシスを与えてくれるサスペンスとも云えるだろう。
 しかし陰陽のマーク、かっこいいよなあ。
ナッティ・プロフェッサー ☆☆☆★★
 エディー・マーフィーの純粋コメディー。純粋と断るのはデビューの「48時間」から「ビバリーヒルズ・コップ」のアクション系コメディアンの印象が僕にとっては強いからだ。他にも「ホワイトハウス狂騒曲」「星の王子」など風刺色の強いものも多い。
 この作品はデブもの、なのでただ笑うだけです。奇形化した市民運動が盛んなアメリカでこんなん上映して大丈夫かいな、と思ったくらい(救済はあるけど)。もちろんただ笑うのが正解です。
 特殊メイクのせいでエディーが見慣れた姿で出てくるシーンはあまりありませんが、その分あの演技力には脱帽。あとで知ったのだが、一家勢揃いのシーン、ただただ爆笑している子供(実は結構気に入ってたりしている)以外は全部エディーがやっていたそうな。吹き替え版で見たのだが、それでも驚きには違いない。
 2はまだ未見だけれどもジャネット=ジャクソンの主題歌はよい。邦訳されてるから知ってる人も多いと思うけど。
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア ☆☆☆☆☆
 ミニシアター系で大ブレイクしたドイツ映画。
 いや、いいねえ。「トレスポ」でBPMに火がついたように「次はドイツか!?」と思うほどの傑作。末期癌の2人が海を見に行く途中で起こるドタバタを描いた物だけどここに映画の醍醐味が全てあると思う(ただ、くだらん恋愛シーンはない、それが特にいい)。エルモア・レナードの小説に出てきそうなマフィアもいい。
 主役2人は基本的に善人なので、人間ドラマとしては勿論、コメディーとしても見れる。銃撃戦も多々発生するので(ドイツの緑色したパトカー、かっこいい)アクションとしても見れる。
 完ペキな脚本に完全にストーリーの中に引き込まれるだろう。感情はシャッフルされ、自分も一緒に旅をしているような気分になる。
 最後、同名のボブ・マーレーの曲が流れたとき、とても哀しい、暖かい複雑な気分になると思う。こういう映画にあえることは全く人生の一財産である。
<ハ行>
裸の銃を持つ男 ☆★★★★ (1のみ☆☆☆★★)
 実は相当お年を召されているレスリー=ニールセンのコメディー映画。
 一応、正伝(?)の1から3(というより33 1/3?)と「裸の宇宙銃」を見てはいるんだけど、どうも面白さ、反比例していない? 僕はそう感じるんだけどなあ。
 段々時間が短くなっているし、それを補うかのように今までのおさらい的なビデオが流れるのだが(プロデューサーの趣味らしく、同人による「ホットショット」も似たシーンがある)これがまた知っているところばかりでしらける。
 3はテレビで見たのだが元々短い映画を誤魔化すためか、やたらCMは入るし、初めの30分は見知ったシーンのおさらいだし、どうにも人を食った展開だと思った。その割には面白くないし。
 1は本当に爆笑したんだけどなあ。
 O・J・シンプソンがあんあことになっちゃって、娑婆には出てきたけれども、もう正伝はつくられないだろうな。まあビデオ屋にある他の映画も何となく見る気がしないなあ。
HANA−BI ☆☆★★★
 もはや日本の誇る北野監督の映画。
 うーん、僕は自分の映画館が如何に未熟な物かを再認識したね。と、いうのもわからないんだよねえ。なんか「その男、凶暴につき」と話が似ていない? いや、それが悪いとは云わないんだけどさ。こういう破滅型のストーリーも好きだしね。
 一躍有名になった「キタノ・ブルー」っての、見てから知ったんだけど、見たときは自分が色覚異常になったのかと思った。2度目見たら、まあきれいだったね。なんとなく昔の再放送ドラマみたいな色だなとは思ったけど。
 個人的に好きなのは後にドラマ出演した3億円事件をモチーフにしたと思われる警官偽装の強盗シーン(そのまんまだ!)、あとはなんだな。絵の展示シーンはよく解らなかった。
 そうそう、最後に出てくる少女は北野井子だってね。
 歌手デビューしたはいいけど、どこ行ったんだろう。
ヒート ☆☆☆★★
 共演していそうでしていなかったデ・ニーロとアル・パチーノの共演作。どちらが主役かということで話題になり、お陰でポスターの左端に主役を書くというキマリを知った。
 見てみるとやはり両方ともかっこいい。当然の如くデ・ニーロが悪役でパチーノが警官なのだが、二人ともすごく個性的だしかっこいい。確かにこれはどっちに感情移入をするか、迷う。気合いをいれたと云うだけあってデ・ニーロは120%渋い。
 ただケチをつけると、「映画史に残る12分の銃撃戦」って惹句は興行のための方便を含めても眉唾だなあ。高速ライフルの銃火が花のように開いている点を除けば、特に衝撃も受けなかった。
 そもそも映画史とはなんぞや。この2人の共演と云うことでは載るかも知れないが。
 それとどうもラストが腑に落ちない。妙なところで恋愛を差し挟むには映画の特徴だが、どうも「LOVE&PEACE」以来,恋愛至上主義になってない? ラストはかなりしらけた。
羊たちの沈黙 ☆☆☆☆★
 サイコホラーの古典的(と、いうほど古くはないが)名作。
 FBIの実習生と獄中の天才科学者のやりとりを通して、連続猟奇殺人事件の謎解きをするという話。だがまあストーリーよりもレクター博士を演じるアンソニー・ホプキンスの怖いばかりの演技力には脱帽だろう。
 実際、悪魔のように賢い役を与えたのは脚本家なのだろうが、それをまったく意識させない。まるで地でやっているような緊張感と圧迫感、静かな狂気。まさにサスペンスの最高傑作だろう。
 実際、争う流血シーンはさほど怖くない(ずっとクラシックが鳴り響くところなど妙な気分にさせてくれるが)。怖いのはたくみな心理戦で実習生の過去を暴いていく対話のシーンなどだろう。亜種の映画はたくさんあるが、大体は犯人のキレ具合で怖がらせるのに対し、犯人よりも強い存在感を示したレクターの怖さ。ここにこの映画の新しい恐怖があると思う。
 ところで続編である話題作「ハンニバル」にはフォスターは出ないらしい。まあ原作では今作に近い後日の話だからさすがに今の顔ではつらいものがあるんだろうな。歳月無情。
ビルとテッドの地獄旅行 ☆☆☆★★
 キアヌ・リーブス主演。
 とはいってもスピードの如きアクション映画ではない。これは、純然たるコメディーである。しかも結構笑える(いや、結構クセがあるから笑えるという保証はしない)。
 そう、キアヌはコメディーをやってたんですねえ。
 これ、本当は「ビルとテッドの大冒険」の続編なんだけど、僕はまだ見ていない。見てはいなくても楽しめますが、見るに越したことはないでしょう。実に馬鹿馬鹿しく、下らなく、笑える作品です。ちゃんと地獄旅行にも行きます。
 個人的にイケてると思うのは「エクセレント!」と叫んで、宙を掻き、音を鳴らすシーン。結構出てくるのだが、このシーンの度に笑ってしまった。
 死神もいい味だしてるし、いい感じです。
ピンク・パンサー ☆☆☆★★(1は☆★★★★)
 ピンク・パンサーと言えば・・・あのテーマソング、ピーター・セラーズ扮するクルーゾー警部、そしてアニメのピンクの豹である。この3つが長くこんがらがっていたのだが、映画を見て初めて理解できた。
 まずこれは普通の実写映画で、初めのスタッフロールでアニメのピンク・パンサーとクルーゾー警部があのテーマ曲の下、バックスバニーやトム&ジェリーの如くじゃれあってます。
 さて映画なんですが、3と4を見ましたがいややはり後世に名が残ってるだけあって、古い映画ですが今でも非常に面白い。殊に東洋人の使用人、ケイトーとのやりとりは涙が出るほど笑った。また悪人も007ばりに妙な奴で特に3といったら、なんと敵は精神を病んだ上司である。
 偶然と機転でやりぬけていくのだが、とにかく笑いっぱなしのいい映画である。
 しかし解らないのは1である。これがちっとも面白くない。
 普通は段々尻つぼみになるのに、こんな詰まらなくてよく続編が作れた物だと思うほどのものである。順に見る必要は必ずしもないので、2から見ても別にいいと思う。
フィールド・オブ・ドリームス ☆☆☆★★
 アメリカ人がいじかに野球を国民的スポーツとして愛しているかを見せつけてくれる一本。
 冷静に考えると、幻聴にまどわされた一家のオヤジが家庭の困窮もモノともせずにコーン畑を潰して野球場を作り、挙げ句の果てに「そこ」を目指して旅に出てしまうというとんでもない話。
 ただ、まあそこは夢の国のアメリカの物語。ちゃんとロジックは整っているし、見てる方も一緒に幻聴を聞いているわけでちゃんと物語に入っていけます。
 途中まで、僕はそんな感じで散々馬鹿にしながら見ていたのだけど不覚にも、最後の父親との「キャッチボールしようか」には落涙したねえ。この涙の価値だけでも見るに十分値すると思った。
フォレスト・ガンプ
不夜城
ブルー・ヴェルベット
フルメタルジャケット
フル・モンティ ☆☆☆☆★
 あの「トレインスポッティング」チームの作った2作目。大抵の「**チームの作った2作目」ものは下らないんだけどこれは本当に面白いです。コメディー路線に転換したからかな。
 主演はR・カーライル、トレスポではケンカ中毒の男を演じていましたが今回は見る陰もありません。情けないまでに情けない役をやっています。実際、男たちが金稼ぎのためにストリップをやるという情けない映画なんだけど。
 誰でも昔、仲間(クラス)で力をあわせて学芸会で出し物を完成させ、発表後にすごく満ち足りた気分を味わった経験があると思うけど、この映画を見終わった後はそういう気分になれること、請け合いです。
 「I'VE BELEAVE IN MIRACLE」ではじまるBGM、いいねえ。
ブレードランナー ☆☆☆★★
 ハリソン・フォード主演のカルトムービーの代表作。
 原作を先に読んだのだが、「希少動物」を巡るひじょうにうざったい部分がカットされていて、さくさくと見ることが出来た。原作にも忠実で、テンポもよく嬉しい限り。
 また街一杯に出てくる「わかもと」の宣伝や雨に濡れながら啜る「うどん屋」など多分に日本、というかアジアを意識した猥雑な近未来都市のもハマった。思うに近未来映画の先駆けをかましたのは紛れもなくこの映画だと思う。
 ネクサスCの悲しみも十分に伝わってきたし。深いです。
 ところで笑ったのはアンドロイドの親玉の男、クリントンにそっくりなんだよなあ。80年代の映画だからまだ州知事だったと思うが、そういう意味でも楽しめた。
プレタポルテ ☆☆★★★
 とある著名なデザイナーの死を巡って起こるファッション業界の物語。
 と、こういう風にストーリー紹介がおざなりなのはろくに見ていないから、この映画は内容よりもある描写で有名になったのである。
 それは何を隠そう「ヘアヌード解禁後、ヘア描写初のTV上映」として、である。勿論一般地上波ではなく衛星であったが。エロ本ぐらいなら飽きるほど見たが、この歴史的快挙(?)を見るべく、友人にコピらせたのである。
 映画は終盤になってたくさんのモデル(そう、モデル)が裸で現れるのだが、だから何だという感じではあった。本当の話。最後に妊婦が裸で出てきたときは少々気味が悪かった。
 主役のレポーターが最後気の利いたことを云うのだが、僕としては「やってられるか」とマイクを投げたライバル役を支持したい。あれがファッションかよ。
 
ヘルプ
ボディーガード
ポルノスター ☆☆☆☆☆
 まさか邦画でこんなヤバい映画に巡り会えるとは思わなかった。とにかくヤバさを価値観とすればまさしく超ド級。とんでもない映画があるものだ。とにかく頭のイカれたにーちゃんが片っ端からヤクザを刺し殺していくアナーキーな話なんだが、ディティールが細かくてよい。
 渋谷の街を存分に利用しまくっており、田舎者が見たら恐ろしくて渋谷には近寄れなさそうなリアリティーがある。また役者は全員無名の人間で、逆にそれが物語に信憑性を出している。もっとも、実際にはこんなことは勿論起きないが。
 存分に興奮させてくれるし、感情移入も十分に出来る。やばくて、かっこよくて(但しキャラはかっこよくない)バイオレンスという点では最高の映画。
 何故かくもマイナーか。有名な芸能人が出ればいいものではない、ということを(新宿鮫や不夜城と比べれば)改めて知らせてくれる。
 最後の少年ヤクザ、怖いぜ。
<マ行>
マイフレンド・フォーエバー
マイライフ
マトリックス
真夜中のカウボーイ
マルサの女
身代金
メンインブラック ☆☆☆★★
 ウイル・スミスSF三部作の2つ目の作品。
 とはいっても超大作のID4に比べると、時間も90分程度と短く、ドラマのような作品。事件も敵も1つしかない単純な筋で、酷いことにスミス自体、ろくに活躍という活躍をしません。
 しかしそれに比べてトミーリージョーンズ(どこで切るんだ?)の渋いこと、かっこいいこと。殆どウイルは引き立て役です。
 ID4同様、女性は殆ど出てこないし、当然物語にも深く食い込みません。それはそれで大変いいことだと思うんですが(何度も云うけど、素人である女性がしゃしゃり出て男性を苦しめる映画はB級作に多いが、嫌いだ)、となると最後のあの落ちは見え見えといえば見え見えだけど、気に入らない。
 あんな厳しいテストを科しておきながら、彼女だけはフリーパスとは何事だ。ま、ドラマ程度の小作品にケチつけても仕方ないが、ロクに活躍できなかったウイルと治安関係ではまったく経験のない彼女、この二人に宇宙の平和は守れるんでしょうかね?
<ヤ行>
八つ墓村 ☆☆★★★
 ご存じ横溝ミステリーの代表作の映画化。ここで語るのは最新作であるトヨエツ版である。
 豊川は(外人だと呼び捨てでも平気なのに日本人だと抵抗があるなあ)ドラマなんぞは小綺麗な役が多いから、片岡鶴太郎と異なり不潔っぽい金田一の役が出来るかという懸念があった。確かに僕が思うにも違和感があった。「しまった!」と叫ぶシーンではわざとなのか声がひっくり返っていて笑った。
 話としては、まあ田舎の恐ろしさも存分に出しており、ミイラのシーンではそれなりに怖がらせてくれる。ただまあそれ以外には特に云うこともない。
 まあ強いて云うならば「古畑任三郎」の影響を受けすぎているという世評には確かにそういえるだろう。同意する。
<ラ行>
ラストアクション・ヒーロー
ラン・ローラ・ラン
旅情
レイジング・ブル
レインマン
レオン
レザボア・ドッグス
ロック、ストック、トゥー、スモーキングバレルス
<ワ行>
ワイルドワイルドウエスト ☆☆☆★★
 「ID4」「MIB」に次ぐウィル・スミスSF三部作の最終話。
 と、いっても宇宙人はまったく出てこない。僕はずっと宇宙人三部作とばかり思っていたので、ちょっとガッカリした。その分、キャラは宇宙人級に怪しい奴らばかりだが。
 ストーリーは、まあ多分に007を意識したと思われる話で美女あり発明あり銃撃戦ありと、まあ破天荒な話だ。主人公達の活躍も多分に偶然の要素が大きいし、悪役の発想が007だ。
 一応西部時代のアメリカが舞台でグラント大統領や大陸横断鉄道の開通式など世界史の教科書を思い出すようなところもあるのだが、中身は完璧ハチャメチャ。前2作もまあ破天荒な話ではあったが、今回はそれ以上だ。
 ビデオで見ている最中、家族に「どんな映画?」ときかれて答えに詰まってしまった。SFというにはSが皆無だし、コメディーにしては笑える物でないし、アクションにしてはこれといった活躍もない。
 まあ、そこそこ楽しめます。まあ僕は公開前にウィル・スミスの歌う主題歌にはまってしまい、見るつもりだったからいいけど、とてもかっちょいい曲だよ。



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