食堂へ |
僕ら家族は僕の母校に行くため、「I松どおり」という旧街道を車で移動していた。ハンドルを握るのは母で、助手席に家人、僕は後部座席にいた。
車は途中でエンコしてしまい、僕らは煙を出す車を見て、溜息をついた。母は「私達が直すから、あんたは早く学校に行きなさい」と云った。いつもなにか僕は高校の制服を着ていて、学校がある駅の方向へ歩いていった。
ただ何事も考えずに暗い道を歩いていると、明るいコンビニの灯が見えた。
「もう駅前のコンビニについたのか…」
そう思って入ると、中は大学の学生食堂になった。
いつもの如く滅茶苦茶に混んでいて僕は自分の座る席を探した。入口近く、丼物のコーナーの近くで文芸部の後輩4人に逢った。彼らは口々に煙草をくわえていた。
「よっ、大佐じゃ〜ん。講義でてる〜?」
彼らは妙に軽快な、現実ではありえないタメ語だった。
一人は丸坊主、もう一人は金髪だった。
「今度の講義ってさ、バンダナ必修でしょ? 買った〜?」
そうだ、憲法の講義ではバンダナが必修だったと思った。慌てて僕は購買に走った。購買はダイエーの店内そっくりであり、僕は色とりどりのバンダナを前に、黄色とピンクとどちらにするか悩み続けた。 |