オホ丸島

吼える童貞  ここまで一般に性情報が氾濫し、倫理やモラルが死後となる時代では若者の初体験年齢が、馬鹿みたいに下がっていくのもむべなるかなという感じがする。あまり例えに相応しくないが、エロ本などに出てくる女の公開初体験年齢、昔は大抵15〜18の高校生期に推移していたが今じゃ12歳も珍しくない、恐ろしいことである。
 ともあれ、こういう御時世になると、もう中学生でも体験者は出ており高校でが普通。大学まで童貞処女を持て余しているのは少数派という感覚が生まれてくる。実際の統計はどうだか知らないが、今や交際=交情関係という図式はいたってノーマルであり、童貞処女はモテない奴と同一視されるに至っている。
 ここで読者は筆者の性体験年齢などを詮索しないでよろしい。要は童貞でないことのみ知っていればよい。

 問題は僕の属する完全非モテ大学生のメンバーである。
 大学生ならピンとくるだろうが、訳もなく教場で前に座ってる、なんか危なげな目つきをした生真面目集団、いるでしょう? 講師の雑談までノートにとっているような、およそ昨今の大学生に相応しくないライフスタイルをしている彼ら。どう見ても異性には関係などありそうもなく、事実ない人たち。
 僕はこういう派閥に属しているため、モテないオタクの暗い情念を目の当たりにしている。当たり前のことながら僕の交友のすべてがトチ狂っているわけでないことは予め断っておくが、しかし病んでる奴は相当病んでいる。

 まず仲間内の性格を生真面目に変えてしまった某氏などは、自分がモテないことを相当気にしている。一般には「女子には全く関心ない」と公言しつつも行動は正反対な倒錯人間である。ファミレスでバイトの女の子が同じゼミの子なら、いきなり発奮して皿を全部まとめはじめたり、ノートを貸してくれと頼まれると友人を脅してまで提供させようという優しい奴である(返って来ないし)。
 彼は恋愛系の話題になると途端に不機嫌になり、突如純愛主義と結婚までの童貞を宣言する。そういう考えは決して嫌いではないがそれなら日々の行動も統一して欲しい、事実彼は時々僕らが思いもしないようなエロいことを平気で云うのだ(二人っきりの時にいきなり「尿検査に蛋白混ぜる方法知ってるか?」とか訊く)。
 その彼の前でとある友人が知らずに初体験を語り始めたからたまらない。彼は段々怒りはじめ、突如、他の学生も大量にいる学食で「俺は童貞だ〜」と叫び始めたのである。僕の知る限り彼はこれを過去2回やているが、恥ずかしいことは変わりない。

 また他の友人は自分が未だに童貞であることが年齢的にあまりに遅れまくってると信じているらしく、あう人ごとに「セックスしたことある? それっていつ? どこで? どうだった?」とか聞きたがるのである。そこで止めればいいものの「一晩に何回ヤッた? 体位は? 彼女はイッた? どこに出した?」などと聞くので、大変いやがられている。
 最近は流石に言わなくなったが、彼が僕にこの問いを発したのは何と知り合って1週間後、真昼の公園でだった。僕は当然、大いに狼狽したが、真面目に答えたのは未だに遺憾だ。

 もっとやばいのは完全に妄想の中に入って架空の恋人との恋愛話を延々と繰り返す奴や(シチュエーションや細かいところでの矛盾からすぐ嘘と解る)ともかく二次元の世界に入って出てこられなくなり刑事政策の最中にSM漫画を耽読する奴など、ここらへんは精神病理に属する話なので書かない。

 僕の周りでは、真面目で、とてもHなことを考えそうにない奴ほど暗い情念を持っている。さっさと彼女でも作れといいたが、造れる位ならこんな夢想に閉じこもったりはしていないだろう。
コンドーム哀歌  これは大学も入った直後の夏頃の話である。
 「あのさ〜山田。俺の後輩がさ、ついに彼女が出来たんだって。 で、ちょっとアレに関してアドバイスがないかと思ってんだけど、一言助言もらえないかな〜」
 そう出し抜けに悪友の一人、(仮にAとする)が要求してきた。
 僕は今の今に至るまでこの後輩は架空の人物で、彼がアドバイスを求めて僕の所へ連絡を取ってきただろうと推測している。まあ、おそらくそうだろうが、しかし彼がなんで僕の所に連絡を遣したかは謎である。
 僕を遊び人だと思っているならとんでもない話で、大体僕は普通に女子とも口を利けないようなタマで、中高6年間はクラスの女子とは結局一度も口が聞けなかったほどだ。その他の女性とは喋っていたのだが。
 ともあれ僕は遊び人で高名な友人Bに電話をして、赫々然々応援を求めた。すると彼はどうやら僕がAの名を騙って相談していると思ったようだ、やけに親切丁寧に教えてくれる。
 僕は気持ちが悪くなって、電話を切った。
 では僕は一体Aに何を教えたか、それは最も当り障りのない話であった。すなわち「土壇場ではなかなかゴムがはめられない、自宅にて練習せよ」と。これは玄人の伝授にしてはいいところをついているように思えた。
 時が経ち、僕はBとあった折にこの話をしてやった。
 彼は大声で笑ってこう云った。

「山田ァ、お前も不気味なことするなあ。だって考えても見ろよ。
 あのAだったら間に受けて実行するに決ってるだろ?
 誰もいない自室で相手もいないのに下半身出して一心不乱で
 ゴムをつけたりはずしたりしているんだぜ。
 これを恐怖といわずに何と云うんだよ」

 なるほど、そこまでは想像していなかった。
 それはかつてないほど虚しい光景だ。
 僕も何気に罪作りな奴といえよう。
処女好き  いくら我が大学が底辺の馬鹿学校とはいえ、仮そめにも入試なる制度がある以上、そうそう常識知らずの馬鹿は入って来ないだろうと僕は思っていた。
 ところが、甘かった。
 信じられない馬鹿を見つけたのでご報告する。

 これは大学の某知人(こんなド馬鹿は友人などではない)と渋谷のマクドナルドに行った時の話だ。二人で向かい合って、相手の嘘臭い与太話に耳を傾けていると、突然店内のスピーカーから重厚なベース音と軽快なドラム音が鳴り響いた。

「マドンナのライク・ア・ヴァージンだな」と僕は云った。
「え? 誰それ」と当然のごとく彼。
 大体僕は大学の人間と話をする時は相手の精神年齢を中学レベルにまで抑えて話をする。言葉や人地名を知らなくてもなるべく寛容な精神で教え導いているつもりである。
 だから彼がこの曲を聞いたことがなくて、マドンナを知らなくて況やその代表局も知らなかったとしても、それだけで常識ハズレのド馬鹿呼ばわりをする気はない。僕だって「モー娘。」のメンバー一人も知らないし(ちょっと前までは「優香?」とか常識ハズレなこといってたぐらいだから)。
 ま、それはともかく彼はあまりうまいとも思えないカフェオレをかき回しながら、曲をじっと聴いて云った。
「マドンナって奴はホモか?」
 女性同性愛者は一般にレズというとか知らないのだ。
「なんで?」
「だって、これ歌ってんの女だろ?」
「そうさ」僕は段々嫌な予感がしてくる。
「ならなんで、ヴァージンが好きなんだよ、変態か?」
 こんな男でもヴァージンという言葉は知っていたかと感心してはいけない。この人はLIKEとは「好き」という初級中学レベルの意味しか知らないのだ。実際、英語が大の不得手で大学の入試では自己採点20点の僕がいくら説明してもそんなこと教わった覚えはないという。
 一体、彼はどうやって大学に入ったのか、謎である。

 ちなみに僕は清純派が好きです。
 二十歳の処女率が1割きったって? 携帯をもってない二十歳とどっちが多いかな?
お兄様  文化系非モテオタクチックな集団と長らく接していたせいで周囲にはロリコン的な嗜好をもつ友人が山のようにいる。現世の女性は怖いし(ある程度同感)、こういう男子を積極迫害するから自然と自分より無力で無垢な幼女のほうに嗜好がいってしまうのですな。
 んで、その中に「妹好き」というジャンルがある。大抵変態性欲に関しては理解できない僕ではあるが、この「妹ジャンル」はもう徹底的に理解できない。僕に妹がいるせいだが。
 大体、妹に「お兄ちゃん、愛している」とかいわれて喜ぶなど、大体近親相姦じゃないか。獣道に墜ちている。畜生だ。救いようがあるのはそう主張する奴に妹のいた試しがないことなのだが、この対比はなかなか面白い。
 例えばコープスパーティーなる知っている人は知っている、知らない人は全く知らない名作ホラーゲームがある。これで選択を間違えると妹が死んでしまうのだが、ここでまあ詳細は忘れたが「ねえお兄ちゃん。お兄ちゃんのこと実はずっと好きだったんだよ。最後に一言愛してるといって」みたいなこというんですよ。
 ここで妹持ちは全員激昂して「そんなことあるかよ、バカヤロー」と口々に展開の陳腐と非現実性と非倫理を詰り、姉妹のいない奴らは仕切りと首をひねる。「別にいーじゃん、素敵な話じゃんか」
 あのね〜、実際兄妹いてもそんな気には普通なりません。性的な気持ちは全く起きませんね。と、わざわざ書くのも訳があっているんでしょ。女姉妹がいないやつが「妹がいるっていよなあ、下着とか見放題でしょ? 1枚くらい隠してない?」とかいう奴。重篤なマニアになると「いつまで一緒に風呂に入ってた?」とか聞く奴もいるからね。
 異文化理解について、考えさせられたよ。
 本当、普段普通に喋っているアヤつでもこんなにも思想の根底が違うかなあと吃驚しました。

追記;ただ、先日、懇意にしている女性から冗談めかして「お兄様
   へ」なるメールを貰い、これにはちょっと興奮しました。いや、
   興奮したって別になんだというわけじゃありませんが、自分でも
   不覚です
追追記;助役も妹恋愛肯定派でねえ。
    昔、近親相姦は正しいって手紙を貰ったなあ
    彼に姉妹はいませんが
マグナム砲  高校生というのは馬鹿馬鹿しくもセクシャルな笑い話が大好きなもので、ことにその隠喩としてしばしば男性自身の下半身を「銃」になぞらえて、話をしたもんだ。「俺のマグナムでとうとうあいつを逝かせたぜ〜」と云った具合に。
 クソ真面目で女っけがないことで知られる高校時代のグループもそういう話は嫌いではないらしく、修学旅行の夜は恋愛やセックスの正当と異端を巡って異端審問会をしていたものだ(確か僕が教皇だったような…)。その時に出てきた隠喩がゲームマニアの集まりらしく「ジョイスティック」だったのには笑ったが。それも何だか云いえて妙だし。
 文芸部では以下の二人が有名である。前者は先輩ので後者は後輩、別段僕が見たわけではないので詳細は避けるが、あまねく知られているから凄い話だ。

・200ミリマグナム
  →20センチあるらしい先輩の自称
   僕は間違えて2000ミリマグナムと読んでいた。
   2メートルやん。

・12連発速射砲
  →一晩最高十二発装弾という後輩の代物
   僕の愛弟子を昔やっていたくせにナンパ師として有名
   ラテン系の顔と長身、洒脱なトークで荒らしまわってる

・黒色練習砲
  →本人曰く「メタルブラック」色らしいのだが、
   未だ実戦は未使用。そのせいかカバーが常時
   かかっているという。

・狙撃用ショットガン
  →弾丸が相当広範囲に飛散し、かつ長距離に飛ぶという。
   本人は「俺の顔にかかったこともあってさ〜」
   っていったい、お前は何をしていた?

・対艦撃沈ミサイル
  →一回戦に3発が限度だが、
   その性能やらサイズやら持続時間は折り紙付き。
   今まで数々の船を沈めて来たらしい。

 何れも伝聞の域を出ないが、そういうことである。
モザイク  これは私の知るあるエロビデオ愛好家(とはいっても現在普通の大学生ですが)の話です。
 皆さん御承知の通り、日本は刑法の関係により男女を問わず性器を露出させた図画を売ってはいけないことになっています。本稿ではビデオに限って話すのですが、ビデオも当然図画の中に入り、この法を犯せばたちどころに猥褻物頒布罪という奴で捕まっちゃいます。
 ちなみにこれは販売、または販売目的所持で捕まるのであって、所謂盂蘭盆裏ビデオの類を個人がモテいる場合は大丈夫です。海外から無修正を持ち込む場合でも例えばれても少量なら(=税関職員に販売目的でないと思う量ならば)逮捕まではされません。本とは違って修正が難しいから没収されたら帰ってこないと思いますが。
 さて、では世にあまたあるAVはこの問題を如何にクリアーしているか。そう、モザイクですね。これさえあれば見えないので性器を露出させたことにはなりません。
 最近は随分薄くなりましたが、この見せない効用自体は変わってませんね。今いった友人に80年代の黎明期ビデオを見せて貰ったんですが…もう何も見えませんね。技術の進歩は大したものです。今はどこに何があるかぐらいは解りますから。
 ま、そんなことはどうでもいいのです。

 前述の友人から聞いた話なんですが、彼がなんとか女性を口説き落とし、ホテルに連れ込んだそうです(この時の彼の顔は表情筋が緩みきっていて非常に気持ち悪かった)。それでまあイチャイチャイチャとここでは書けないようなことをして、まあ彼女のショーツをおろしたわけです(書いてるほうが恥ずかしいぞ、おい)。
 ここで彼は云わなきゃいいことを口走ったんです。
「ふ〜ん、モザイクはないねえ」

 これで完全に盛り下がって結局彼女が怒り狂い、哀れ彼は彼女を抱けずじまい。それどころか完全に嫌われたそうで「今迄のデート代とプレゼント代を返せ!」的な状況になったそうです。
 この話を聞いたとき「まだ俺童貞だよ〜」とかのたまっていたのですが、彼、もう彼女できたかな? 森前首相じゃないけどくれぐれも失言には御注意。
スーパーマリオ  前述のAV好きの友人の家に遊びに行ったときの話。
 こう書くと彼が甚だしく危ないネクラなオタク人間のように思う人がいると思いますが、なんのなんのAVが人よりちょっと好きなだけで、僕よりよほど快活な男です。運動も出来るしファッションも気を使ってるし。
 彼とは普通の大学生が一晩泊まり明かす時みたいに酒を酌交しては馬鹿話をし、音楽を書け、ゲームをやりまあ色々楽しい時を過ごした。
 と、彼が出し抜けに「面白いビデオが入ったんだ」と云った。
 「何? どうせエロビだろ?」と僕。
 「まあ、そうだが、見てやってくれ。アメ公が作った洋ピンなん  だけどさあ。山田が気に入りそうな話だよ。見てみろよ」
 彼は机のぎっしりビデオが入った引き出しから選びもせずに1本取ると、カセットにかけた。流石にボリュームは落とした。
 訳の解らない画面を早送りですっ飛ばし、いきなりベットシーンからはじまった。女は2人。1人はピンクのドレスのようなものを着て緑の男とからんでいる。もう一人は変な帽子をかぶった女で、こっちは茶色い被り物男にやられている。

「なんだこれ、レイプは嫌いだぜ」僕の声に彼は首を振る
「いやいや、気がつかないか?」
「何が?」何も気がつかない。
「ピーチ姫とキノピオがクッパとクリボーに犯されているんだよ」
 あ・・・と思った。云われてみればそんな気もする。
 しかし、キノピオは男だったような…

 エッチシーンは飛ばして今度はどうもマリオとルイジらしい男達が全くマリオとは関係なく女といちゃついている。と、どこからか電話(英語なのでわからない)彼らは慌てて赤と緑の服に着替えると何故か家の前にあるマンホールから土管に入る。
 そしてレイプ中のクッパをおチープなCGで倒し、ここから何とピーチ姫とマリオ&ルイジの3Pがはじまるのだ。
 これが馬鹿である。戦った疲労のせいかマリオもルイジも肝心なモノが立たないのである。と、ここでどこに行ってたのかピノキオがキノコを持ってくるのだ。喜び勇んで食べる二人、とみるみる打ちに勃起する。
 あとはもうご想像の通りだ。

 しかし僕は吃驚した。
 そーかー、確かにあのゲームでキノコを食べると大きくなるが、あれはそういうことだったのか。妙に感心してしまった。アメリカ人という人種は本当に妙なことを思い浮かべるもんだ。
フェティシズム  フェティシズムなるものを辞書で引くと「節片淫乱症」とある。このコーナーは猥雑物について語るコーナーなので、エロい方面に絞って書くが、僕は眼鏡フェチである。
 ただしここでの眼鏡フェチはあくまでも女性と一体になっていることが条件で、眼鏡が一旦外されるとそこで効力は消える。つまり眼鏡の残り香(そんなものがあれば)を嗅いだり眼鏡を舐めて興奮するようなほどの、重篤マニアではない。
 まあ簡単に言えば「眼鏡ッ娘が好き!」ということで、こう文字面を眺めると如何にも2Dオタクチックだが、僕は3D派である。但し世の中はうまくいかないもので眼鏡をかけた女性と付き合ったことは実に皆無である。女性交際経験はそんな多くもないが、時代を遡り例えば幼稚園から僕に「好き」と云った女の子を全員並べてみても、一人もいないという事実は驚愕に値する。
 面白いのは昔付き合っていた女性は「眼鏡が好き」な子なのだ。同好の輩であるが本人はつけない。僕は眼鏡をかけているから随分喜んだものだ。まるでいじめられっ子のような、誰もが認めるダサ眼鏡なのに。
 僕は、おそらくは真面目そうな女の子が好き! というおそらく病的なまでに深化した女性趣味の一貫なのだろうが、知性の象徴としても眼鏡が大好きだ。
 だから例えば美容整形のCMなどで、施術前の「ブスの象徴」たる彼女達が必ずといっていいほど眼鏡をかけているのを見ると腹が立ってくる。眼鏡がブスという固定観念は一般的なものらしく、漫画でも映画でもその偏見的なシーンが見える。
 野坂なつみも最後は取っていたしなあ。まったくこの近視的発想、なんとかならないものか。
清純マニア  自分がどうやら変態であることを知覚したのは大学1年後期開始直後、つまりは9月の後半頃だ。
 僕は非常に真面目な中学と高校を出たため、幼稚園という制度的教育機関に入ってから高校を卒業するその日まで、身の回りにいる女子は全てストレート(天然パーマは除く)の黒髪で、スカートは長く、ピアスも化粧もしていなかった。まあ簡単に言えば、清純といわれる格好をしていた訳だ。
 今までの人生、いいなあと思った女の子もいれば、実際相思相愛の恋愛関係になったこともあった。すべて斯くいう真面目な清純な普通の服装である。
 これは恋愛がらみの話なので対象を女性に絞るが、しかして大学に入ると強烈なパラダイムシフトの波が僕を襲った。どこを見てもギャルしかいないのである。右見ても左見ても茶髪金髪赤髪青髪、金のかかってそうなブランド服や装飾品に、例えナイフで刺しても血が流れないと思われる厚化粧の女性ばかり。明らかに肉体を改造している異常なスタイルに、ブラジャーから下のパンツまで堂々と見せる露出的なファッション。
 僕がかつて慕った清純な服装をした奴は一人もいないのである。否、探せばいないことはない。が、そこまでの探索力はなかった。
 それでこの頃の僕は典型的変態だった。黒髪の女性を見ただけでその容姿は問わず感動めいた気になったものだった。田舎から都会の大学に出てきたものだから、僕が今まで過ごしてきた世界が実に希少なものであることに気がついた。

 今では別に黒髪を見たからって、興奮はしない。けれども大学で黒髪の(大抵は色恋を拒絶したようなブスだが)女性を見るたびになんだかとても守ってやりたいような気分になる。これは文化財を保護するような感情も多分に混みであるが。
 僕は世間ではカッコイイ美人とされる大多数のギャルを見ても、もう全然なんとも思わない。露出的な服を見れば確かに興奮しないこともないがそれで終わりである。別段印象も起こらないし仲良くなりたいとも全く思わない。
 これはこれで変態になるらしい。
 大体、我が大学の女子を前にしても僕は口がきけないだろう。
 そもそもパラダイムが違うということがあげられるが、僕は知的な話を好むので、最低限の知識もない彼女らと共通する話題さえ、存在しえないのだ。



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