05 Sub Station Alpha (SSA)入門DVD→AVI・OGM・MKV入門につづく「新しい動画」入門の第二回。 映像・音声だけの古い動画に加えて、テキスト(字幕・カラオケなど)という第三のストリームを制御できるように、SSAの基礎を覚えましょう。SSAはOGMのSRT字幕など、いろいろなことの出発点にもなります。あわせて、foobar2000を使ったオーディオフォーマットの新しい変換法を説明し、音声Ogg VorbisのOGM動画・MKV動画を作れるようにします。この方法なら初心者でも.ac3から一気に.oggにできるでしょう。
字幕作成には、 「タイミング」(字幕が何分何秒から何分何秒まで表示されるか決める)という側面と、 「スタイリング」(字幕の表示位置、フォントの種類など)という側面があります。 今回やるのは、そのうち「タイミング」で、「スタイリング」の話は次回にまわします。
1 今回の入門は、あくまでSSAを覚えたい(つまり字幕を自作したい)というユーザのためのものです。 OGM動画やMKV動画は、べつに字幕がなくても成り立ちます。 創作字幕に興味なければ(単に既成の字幕データをそのまま使うだけであれば)SSAは覚える必要ありません。
2 今回は、多くの動画作成者にとってまるで未知の分野を含むため、 前回より少しとっつきにくい内容があるかもしれません。 しかし、書いてある通りに設定メニューとかを出せば、設定内容とかは、 やってみれば、ぜんぜん難しくありません。 SSAは頭脳より体(運動神経)を使うので、読んだだけでは分かりにくくても、やってみれば納得がいきますし、 逆に、実際にやってみなければ絶対に覚えられません。ちょっと最初は大変でしょうが、 最初だけですから、頑張ってチャレンジしてみてくださいね。
3 今回以降、ほとんどすべて英語のソフトを使うことになります。
日本では存在自体あまり知られていない世界なので、
日本語のソフトがまだないのは仕方ないですよね。
創作字幕をやりたいというユーザは、外国語は嫌いではないはずだと思うのですが、
ともかく操作自体は難しくありませんので、英語だというだけで、おじけづかないでください。
全部理解しなくてもできるので、「ともかく、できるところまでは、やってみよう」というチャレンジ精神でやってみてください。
「中道にして廃す」ってことっすね^^;
字幕をタイムするとかタイミングというのは、字幕が何分何秒~何分何秒まで表示されるのか、 字幕出現のタイミングと、字幕消失のタイミングを決めることです。
ハードサブとソフトサブ―― 「ハードサブ」は画像の一部として焼き込まれている字幕、 「ソフトサブ」は再生のときに動的に合成される字幕で、 前者は絵の一部なので消せません。 後者はソフト的なデータなのでオンオフ・切り換えが可能ですが、 再生時のCPU負荷が高いなど、 どちらも一長一短です。「サブ」(SUB)は「サブタイトル」(字幕)の略です。
SSAという略語は、「サブ・ステーション・アルファ」というソフト、 または、そのソフトが作るファイル形式(.ssaファイル)の両方の意味で使うことがあります。 SSAはデジタル字幕(デジサブ)よりもっと前のゲンロック時代のツールですが、 VobSub作者 Gabest によってデジサブ対応されました。 デジサブ以前のVHSテープに字幕を入れていた時代と違って、 今では初心者でもほんの少しの練習で字幕を作成できる環境が整っています。
前回はDVDからリッピングしたAC3の音声を、そのまま動画ファイルに使いました。 それはそれで良いのですが、ファイルサイズを小さくしたいときは、音声を再圧縮することも必要です。 CMカットや音量の調整、ノイズ除去などの音声の加工のため、 Windows のオーディオファイルの標準WAVの形に変換したいこともよくあります。
テレビ番組などをキャプチャーするときは、設定で可能なら最初から音声はWAVで録ればフォーマット変換の余計な無駄や手間も省けますが、実際には音声はMP2(MPEGレイヤー2)でキャプチャーすることも多いでしょう。その場合、DVD2AVIにかけると、拡張子MPAのファイルが出てくると思います。
AC3からの変換ツールとしては BeSweet が有名ですが、 ここでは foobar2000 を使います。 Special Installer でフルインストールするとAC3サポートが含まれます。 作者のページまたはこちらのミラーからダウンロードして、 フルインストールしてください。
インストール手順。(1) Next, (2) I Agree, (3) プルダウンリスト(デフォルトでは Normal)で Full を選ぶ(画像), (4) Next, (5) Install, (6) 関連付けを選んで(All supported formats を推奨。 ほかのプレーヤーを愛用していて関連付けを壊されたくないときは自己判断で)OK, (7) Finish, (8) もし One-time configuration というダイアログが出たら New をクリック
foobar2000 を起動、メニューの Playlist - Add files から、目的のAC3ファイルを開きます もちろん、関連付けや、foobar2000 のウィンドウにドラッグ&ドロップでプレイリストに追加してもかまいませんが、 その場合、再生はストップしてください。 プレイリストにファイルが追加されたら、そのファイルをクリックで選択後、 右クリックして、いちばん上の Convert - Settings に進みます。 設定ダイアログが出るので、下図のように設定します。
画像の説明: Output directory(どこに出力しますか?)で Same as source file directory(変換元のファイルと同じフォルダに書き出す)にチェックを入れ、Output format (どの形式に変換しますか?)で WAV (16bit undithered ) を選びます。(ちなみに、ここで Ogg Vorbis を選べば .ogg で出力できます。必要コンポーネントがあれば、 ここで一気に .aac に変換することもできます。詳細は後述。) 第三に、「AC3が5.1チャンネルで、それをそのまま6チャンネルで動画に合体させたい場合」以外は、Use DSP にチェックを入れてください。 あとはデフォルトのままでOKです。
以上ができたら、[go to DSP settings] をクリックして、別の画面に行って次のように設定します。
画像の説明: 初期状態では Volume Control だけが左の欄にあります。右の欄の Convert 5.1 to stereo を選択して、 <= をクリックして左の欄に追加。Up をクリックして Volome Control より上に持ってきます。
現在のfoobar2000 では、 AC3が5.1チャンネルでなく、もともと(実質は)ステレオの場合にも、Convert 5.1 to stereo を明示的に指示する必要があります。
[Close]でダイアログを閉じたら、変換したいファイルを選択して右クリック、 Convert - Run conversion で変換が始まります。プログレスバーが全部終わるまでちょっと待ちます。 これでAC3ファイルがステレオWAVになりました。
AC3から Ogg Vorbis にする場合もほぼ同様です。 ひとつだけ違うのは、変換のプルダウンリストで Ogg Vorbis を選んだあと、 そのすぐ右下の Settings... をクリックして、品質を指定する必要があります。 AC3のデコードと、Vorbisでの再圧縮を一気に行うため、少し時間がかかります。
動画の音声で Vorbis を使う場合、品質の設定は 0.00(音質・サイズとも最小)~5.00 (高音質・サイズ大きめ)の範囲が良いでしょう。(マイナスの値にしてはいけません。マイナスにしてまでサイズを小さくしたいくらいなら、 音質を犠牲にせずサイズを小さくするもっと良い方法があります。) .ogg音声のファイルは、前回と同じVDMを使う方法で、映像と結合できます。 ただし音声がOgg Vorbisの場合、AVI動画にしてはいけません。 必ずOGM動画かMKV動画にします。
MPEGレイヤー2の場合、拡張子を .mp2 に変えてから foobar2000 で開けば、上と同じように .wav や .ogg にできます。
もしくは、ぷっちでここという日本のソフトをおすすめします。 こちらは拡張子がMPAのままでWAVに変換できます。(Oggへは変換できません。)
MP3からの変換は、何も難しい点はありません。foobar2000 でやってください。
mp3やmp4 (aac) への変換は、覚えることが他にあるので、次回以降に説明します。
動画の字幕の作成に使うSub Station Alpha (SSA) ですが、 音を聞きながらキーボードとマウスを操作することで、 字幕の表示タイミングを決めます。 Sub Station Alpha には、そのためにWAVファイルを再生しながら波形を表示する機能がありますが、 このとき一般のWAVファイルは使えません。このソフトに適した特別なWAVファイルをまず作る必要があります。 この変換は簡単で、慣れればすぐできます。
もし、すでにオーディオエディタをお持ちで意味が分かるかたは、 「末尾に10分くらい無音を挿入して、8ビット・モノラルに変換」してください。 単にタイミングをとる作業用なので、変換は最低音質・最高速でかまいません。 意味が分からないかたは、以下の手順をお読みください。
ここでは、フリーのオーディオエディタAudacityを使います。 もうすぐ1.2.0の時代になるので、先を見越して1.2.0-pre1で説明しましょう。 とりあえずインストールしてください。 2003年9月2日現在、1.2.0-pre1はBeta Versionsというページにあります。
インストール手順: インストーラー(.exeファイル)をクリックして、 すべてデフォルトのまま「はい」「Next」「Install」などをクリックするだけ。 (1) はい, (2) Next, (3) Yes, (4) Next, (5) Next, (6) Next, (7) Next, (8) Install, (9) Finish
Audacity を初回起動した場合は、 メニューの File - Preferences で設定ダイアログを出し、 File Formats タブに行って 次の図のように1か所、設定を変えます。
画像の説明: Uncompressed Export Format を WAV (Microsoft 8 bit PCM) にします。
2003年現在、通常のWAVファイルは16ビットで「量子化」されています。 音楽CDと同じです。音の強弱が2の16乗、つまり65536段階のデジタルで表現されるのです。 このくらい細かく量子化すると、量子的(離散的=よく見ると階段状にギザギザ)しているといっても、 人間の耳にはアナログの曲線と等価です。 これを8ビットに落とし込むということは、音の強弱を2の8乗=たった256階調にしてしまうことです。 これでは電話の音声のようなもので、人間の耳でも明らかに自然な音声と違うことが分かります。 実際の動画では8ビットWAVなど経由させてはいけません。しかし、SSAで時間を計測する、 という特殊な作業用に限っては、SSAの仕様上、8ビット、しかもモノラルにする必要があるのです。 8ビットへの変換は極めて重要で、これをしないとSSAから開けるWAVファイルになりません。 もし、Audacity を単なる変換用でなく、まともにオーディオエディタとして使う場合、 間違えてSSA用のWAVを書き出したときのままの設定で出力しないよう、 気を付けてください(オーディオエディタとして使うときは、設定を16ビットに戻す)。
さて、設定が済んだら、さきほど作った16ビットのWAVファイルを読み込み、 0秒の位置よりもっと左にある▼をクリックして、プルダウンメニューを出し、 Split Stereo Track します。
ステレオが2つのモノラルに割れるので、片方は要らないので×を押して消し、残った一方でもう一度▼を押して mono を選びます。これでモノラルになります(ステレオの左側か右側かのどちらか一方だけを聞く状態)。
画面を横スクロールさせて、波形のいちばん右端(つまり音声の末尾)のさらに右をクリックし、 カーソル(縦棒)が後ろに出るようにします。
この状態でメニューの Generate | Silence を実行すると末尾に30秒無音が挿入されます(縦棒は移動しませんが、色が濃い部分が伸びる)。 10~20回くらいやって5~10分くらい末尾に無意味な無音をいっぱい入れてください。 SSAの波形表示にはWAVを最後までちゃんと読み込まないバグがあるので、 それを見越して最後が切れてもいいようにこうするわけです。アホなようですが、まあ、 たいした手間じゃありません。なお間違えて末尾以外の変なところに無音を挿入しないよう注意。 必ず縦棒が末尾より後にある状態でやります。
準備ができたら、メニューの File | Export As Wav を実行します。 特殊作業用の低音質8ビットWAVなので、間違えて動画の音声に使ってしまわないように必ずSSA用だと一目で区別がつくファイル名にしましょう。 適当なフォルダを選択したら、foo-ssa.wav のように、ファイル名を -ssa.wav で保存すれば良いでしょう。 なお、SSAが選ぶのは「8ビット・モノラル」であって、サンプリングレートは48000だろうが16000だろうが、かまいません。サンプリングレートはいじる必要ありません。
foobar2000でこのWAVを再生し、プレイリストで右クリック、Show file info (下から2番目)でファイルの情報を確認。 「channels = 1」「bitspersample = 8」になっていれば正しいです。SSAでWAVがちゃんと開けない二大原因のひとつはここなので、きっちり確認しょう。正しくできていたら、Audacity はもう用済みなので閉じます。 プロジェクトを保存するか聞かれますが、要らないのでNoで終了。
いよいよ Sub Station Alpha です。バージョン4.08をインストールしてください。このZIP書庫には、SSAとASSの仕様書のほか、VirtualDub / VirtualDubModで字幕を焼き込むためのTextSubプラグインが同梱されています。
インストール手順: 古いタイプのインストーラーなので、安全のため、一度PCを再起動して、余計なソフトが動いていない静かな状態でインストール開始。インストーラー(.exeファイル)をクリックして「はい」。 もし16ビットサブシステムについての警告が出ても「無視」して続行。 しばらく待たされてから、Welcome が出たら、あとはすべてデフォルトのまま Next, Yes, Next, Next, Next, のように進んで Finish 。スタート→プログラムに Sub Station Alpha v4.08 が追加されたことを確認してください。
このソフトはOSのロケール(地域の設定)が「日本」では正しく動作しません。 Windowsのコントロールパネルの「地域のオプション」で、 ロケールを「英語(カナダ)」などにしてください。 「システム言語」は日本語のままでかまいませんが、ロケールを英語にすることは重要です。 ロケール違いが、SSAからWAVを開けない二大原因のもうひとつ。 英語圏では発生しない問題なので、英語のページを検索してもなかなか分からないことです。しっかり頭にきざんでおこう。 OSのロケールを「英語」にすると、不特定多数のソフトで、一部表示が英語になる場合があります。
「英語(U.S.)」ではいけないのですか?
もちろんかまいませんよ。
ではなんで「カナダ」なんかに・・・?
しゃれだって。
警告 OSのロケールを読んで動作が変わるインストーラーがあります。 以前、OSが英語になっているままでCanopusの日本国内向けソフトをインストールしようとしたら、 正しくインストールできないことがありました(インストールだけ日本語でやれば英語に戻しても大丈夫でした)。 SSAが日本語ロケールで正しく動作しないように、 ごくまれですが、英語ロケールで正しく動作しない日本語ソフトもあるのです。 そういう可能性のことを、 頭のかたすみにとどめておいてください。
スタート→プログラム→ Sub Station Alpha v4.08 からソフトを起動。Options | Preferences で設定ダイアログを開きます。
フォントの名称が日本語(例「MSゴシック」)だとトラブルがあるので、 分からなければ常に MS UI Gothicにしてください。 日本語の字幕を作る場合、メニューの Styles | define | Edit でデフォルトスタイル(*Default)も MS UI Gothic/日本語などにしておくと良いです。 あとからスタイリングで変更して日本語のフォント名も通るので、ここのはとりあえずの仮設定。
File | Open でファイルの種類を Plain Text にして、一行ごとに改行してあるテキストを読み込みます。
次の例は、ウェブ上にあったテキストを、 単にそのままコピペで保存しただけです。 最も単純な例です。日本語の場合、とりあえずSJISで行ってください。 曲のほうもサンプルが新居昭乃さんのページにあります。 Real Audio ですが、Real Player がインストールされていれば、Media Player Classic (MPC) で大丈夫です。
人間の子供 作詞:新居昭乃 作曲:新居昭乃 編曲:菅野よう子 声をたてないでね あなたを助けに来たの 教室の誰にも 私が見えてないのよ ...
SSAを覚えたいかたは、ご自分で短いサンプルを用意して、実際にやってみてください。 メモ帳などに一行ずつタイプしてtxtファイルとして名前を付けて保存、 それをSSAから開きます。 練習なので日本語の番組に日本語で字幕をつけるようなことでも、かまいません。 いっけん無意味なようですが、耳が不自由な人にはクローズドキャプションが役立ちます。 ――その場合、本当は、会話だけでなく、物音も「(電話が鳴る)」「(笑)」などと描写するのです。――
SSAで読み込むと空行は無視され、1行ごとに別のデータとして読み込まれます。表示上、 文字化け(末尾切れ)が多いですが、あまり気にしないでください。
最初にやるべきことは、コメント行はコメントアウトすることです。 この例では、最初の2行(「人間の子供」と「作詞:……」)は字幕としてタイムするわけでないので、 コメントアウトします。コメント行をクリック選択したら、ソフトの上のほうでDではなく#のボタンを押し下げ、フラグをコメント(#印)に変えます。 我々はすでにデフォルトのタイミングをすべてゼロにしたので、コメントアウトしなくても、 ハードサブで焼くときは、タイムしていない行は消えますが、ソフトサブにしたいとき、ダイアログ(字幕データ)なのかコメントなのかハッキリさせておかないとトラブルの原因になります。 あとあとUSFのようなXMLベースで透明にデータをコントロールすることまで考えると、コメントかデータかはきちんと区別する習慣が大切です。SSAはすべての変換の出発点になるので、ちょっと気を入れてやってください。
次に覚えるべきことは、ちょっと何かしたらF2を押すということ。 最初にF2を押すと、Script credit というダイアログが出ますがぜんぶ空欄のままOKでかまいません。 そして名前を付けてSSA形式で保存します。2回め以降はF2を押すたびに上書き保存されます。 SSA自体は手元ではめったにクラッシュしませんが、タイミングというのは場合によって手間がかかることです。 例えば、2時間映画をタイムして終わりかけたところでOSがフリーズしてデータが失われたら悲劇なので、 10行くらいタイムするごとにF2を押してこまめに保存しよう。
メニューの Timing | Time from WAV file にチェックを入れ、 画面上部に現れる Open ボタンをクリックして、さきほど作ったSSA用WAVを読み込みます。 Preview/Grid sizeの▲▼ボタン、y-scale、zoomを適当に設定して波形がいちばん見やすい状態にします。 以下の操作を何度か試行錯誤するうちに、自分のやりやすいサイズが分かると思います。
右手はマウスを握り、左手はキーボードのホームポジション(人差し指がFのポッチの上)にします。 とりあえずPlayをクリックしたらWAVの再生が始まるので、マウスのホイールボタンかFキー(左手の人差し指)でいま再生している波形の部分を常に追いかけてください。再生中に左手薬指Sを押すと、再生が止まります。
いま3行めの「声をたてないでね」をタイムするとして、「声を」のコがどこで鳴るかよく波形を見ていて、 「声をたてないで……」と聞こえたらSを押して再生を止め、見ていたから分かるはずの出だしの波形の直前で左クリックします。「スタートライン」の黄色い線が出ます。
次にどこで「たてないでね」の「ね」が終わるか適当に見当をつけて、このへんだろうという波形の部分で右クリックして「エンドライン」の赤い線を出します。
S(左手の薬指)を押すといま選択した黄色~赤の範囲が再生されます。 D(左手の中指)を押すと選択部分の最後の0.5秒が聞こえます。 これらによって、もし勘が外れていたら左クリック、右クリックをしなおして、 タイミングを正しくします。知っておくべき重要なことが4つあります。
慣れるまでは、無理に速くやろうとせず、急がばまわれで、よく確認してください。 S(左手薬指)を押すと選択区間が再生されるので、何度か聞いて納得がいったら、左手の人差し指をずらしてGを押します。 これでタイミングが確定して次の行のタイムに進みます。Gは、押すとタイムが決まってしまう重要なキーなので、 間違えて押さないように、Gを押したらすぐ人差し指をFの上に戻しておきましょう。
間違えたタイミングのままGで確定させてしまったら、選択行はすでに次の行になっているので、 もとの間違えた行をクリックで再選択して[Play Row]してから、修正すると良いでしょう。
左手の人差し指と薬指をSとFに置いて、右手はマウスを握って、マウスの左右のボタンを使い、あまり考え込まずに、テンポ良くさらっとタイムしましょう。 左手のキーボード操作と同等のことを、マウスによるクリックでもできますが、それは動きに無駄があり、時間もかかるし目も手も疲れます。マウスカーソルは波形の黒いエリアから出さずに、横の動きでタイミングの目印だけに使い、タイム処理は左手からキーボードでやるのが「プロ」のやり方です。
Playで再生して……と説明しましたが、実際には、慣れると波形だけ見て出だしと終わりの見当がつくので、ぜんぶ再生する必要ありません。この曲は最初に10秒くらい前奏があるな、と分かっていれば、そこはホイールかFで飛ばしてしまい、 「このあたりだろう」という場所で試しに左クリック、右クリック、Sで聞いてみて、 それをもとに修正していけばうまくいきます。したがって2分の曲を2分より速くタイムできます。30分アニメを30分かけずにタイムできます。 ほかのカラオケツールであるような「曲を流しっぱなしにして、歌詞の行頭と行末でEnterを押す」といった行き当たりばったりのタイミング法ではタイミングがずれてもよく分かりませんが、 SSAではSとDで納得いくまで確認できますし、声がない場所は飛ばせるので合理的かつ最短です。 (各行のタイミングを確認したい場合も、いちばん上を選択してから [Play Next] で進めば、 声があるところだけを拾って再生するため、効率的に確認できます。)
やってみればそんなに難しくないので、何度かやってみてください。 慣れるまではSを使って着実に確認すると良いでしょう。 慣れたら、 「出だしが正しくタイムできたら、あとはSしなくてもDでエンドだけ決めればいい」という考えでやると良いです。
タイミングがひととおり終わったら、いま作ったSSAファイルをメモ帳などのエディタで開いてみましょう。 まずヘッダです。
[Script Info] ; This is a Sub Station Alpha v4 script. ; For Sub Station Alpha info and downloads, ; go to http://www.eswat.demon.co.uk/ ; or email kotus@eswat.demon.co.uk Title: <untitled> Original Script: <unknown> ScriptType: v4.00 Collisions: Normal PlayResY: 1024 PlayDepth: 0 Wav: 0, 3555,S:\test\001 10 人間の子供-ssa.wav LastWav: 1 Timer: 100.0000
このうち重要なのは、PlayResYの行です。 ここの数値を実際の動画の縦解像度に変えます。640x480の場合、PlayResY は480になります。 またPlayResXという行をその上に自分で追加して、 640なら640と明示しましょう。WavとLastWavの行はSub Station Alpha にとってのみ意味があり、 タイミング終了後には削除してもかまいません。特にSSAが正しく開けなくなったら、 ここが問題なので削除します。以下が修正例。
[Script Info] ; This is a Sub Station Alpha v4 script. ; For Sub Station Alpha info and downloads, ; go to http://www.eswat.demon.co.uk/ ; or email kotus@eswat.demon.co.uk Title: <untitled> Original Script: <unknown> ScriptType: v4.00 Collisions: Normal PlayResX: 640 PlayResY: 480 PlayDepth: 0 Timer: 100.0000
次に[V4 Styles]セクションを見てください。
Style: Default,MS UI Gothic,20,65535,65535,65535,-2147483640,-1,0,1,3,0,2,30,30,30,0,128
例えば、このようになっていると思います。後から詳しく説明しますが、 カンマ区切りの最初がスタイル名、2番めがフォント名、3番目がフォントサイズ、あと色とか。 末尾の128がコーディングで128はSJISです。プラグイン等で日本語が正しく表示されない場合、 末尾が間違えて0(欧米語)になってないか確認してください。
さらに [Events] セクションを見て、日本語の文字化けが起きていないかよく確認してください。
[Events] Format: Marked, Start, End, Style, Name, MarginL, MarginR, MarginV, Effect, Text Comment: Marked=0,0:00:00.00,0:00:00.00,*Default,,0000,0000,0000,,人間の子供 Comment: Marked=0,0:00:00.00,0:00:00.00,*Default,,0000,0000,0000,,作詞:新居昭乃 作曲:新居昭乃 編曲:菅野よう子 Dialogue: Marked=0,0:00:18.46,0:00:21.28,*Default,,0000,0000,0000,,声をたてないでね Dialogue: Marked=0,0:00:21.91,0:00:27.08,*Default,,0000,0000,0000,,あなたを助けに来たの Dialogue: Marked=0,0:00:27.52,0:00:30.32,*Default,,0000,0000,0000,,教室の誰にも Dialogue: Marked=0,0:00:30.83,0:00:35.55,*Default,,0000,0000,0000,,私が見えてないのよ
ごらんのように、Stylesヘッダで「Default」という名前で定義されるスタイルは、 Eventsセクションでは「*Default」として、*がついて参照されています。 スタイル名が例えばSongならスタイルを呼び出すときもSong、 KaraokeならKaraokeで良いのですが、 Defaultに限って本家SSAでは、*Defaultのように*がつきます。 いくつかのSSAパーサは、この例外規定を正しく処理せずトラブルが起きます。 はやい話、Defaultというスタイル名はトラブルのもと。使わないほうがぶなん。 エディタの一括置換などの機能で、*DefaultをすべてSongなどほかの名前に変えてください。 それに対応してスタイル定義も名前を変えておきます。
Style: Song,MS UI Gothic,20,65535,65535,65535,-2147483640,-1,0,1,3,0,2,30,30,30,0,128
注意: Style名は分かりやすく!: ここで指定したスタイル名は、 ソフトサブとしてMPCで再生する場合、 そのまま設定ダイアログのタブ名になります。 「会話がSongというスタイル名、 歌がTitleというスタイル名」といったトリッキーな名前になっていると、 ユーザはMPCのタブで混乱してしまいます。
作ったSSA字幕が実際にどのように表示されるか、画面で確認しましょう。
タイミングのチェックには DirectVobSub がべんりですが、 ここでは実際にエンコしちゃいましょう。
SubStation Alphaの書庫に同梱しておいた textsub.vdf を、VirtualDubMod (VDM) の plugins フォルダにコピーしてから、 VDMを起動、字幕をつける目的の映像を開きます。念のため、TextSub Pluginだけ単体の書庫も置いておきます。
もともと絵がない「曲」の場合、 音声とのタイミングだけチェックしたいなら、 映像は適当なAVIファイルでもかまいません。 VDMのVideoメニューでFull procession modeが選択されているのを確認してから、Video | Filters メニューに進み、Add をクリックして、下から3番目くらいにあるはずの TextSub 2.23 の上でダブルクリック。TextSub settings というダイアログが出たら Open をクリックして、さきほど作ったSSAファイルを指定します。2回OKを押してダイアログを全部閉じます。
次に Options メニューの Swap input/output panes にチェックを入れ、処理後の絵が左に出るようにします。 この状態で右矢印で早送りすると、タイミング通りに字幕が出るはずです。
PlayResX, PlayResY の指定が間違っていると 文字が異常に小さく見えるので注意。 同じフォントサイズ指定(20なら20)でも、表示の大きさはPlayResX, Yに依存します。 地図の縮尺が違うと同じ1cmでも実際の意味が違う……というのと似ています。 (逆に言えば、PlayResX, Y が実際の解像度と違っても、それに合わせてフォントの大きさの指定が適切に設定されていれば、 問題ないわけです。)
色とかフォントの種類とか味もそっけもなく気にくわないかもしれませんが、スタイリングは次回にして、とりあえずハードサブで焼いてみましょう。 前回と同じ手順で、 Stream List に音声を入れます。 最初に作ったoggファイルとか、タイミングしたのと同じ音声で、ただし8ビットWAVは音が悪すぎなので本番のここでは使いません。 ハードサブを入れるときは動画を再圧縮しないといけないので、Direct stream copy ではだめで、 Full procession mode です(ハードサブが画質が悪いことの一因)。Videos | compression から XviD MPEG-4 Codec を選び、 [Configure] [Load Default] で 1-pass quality のデフォルト(85)にします。OK、OKで閉じて、 [F7] を押し、(音声がOgg Vorbisなら)OGMまたはMKVで書き出しましょう。
歌の歌詞につれて気持ちよく字幕が出ましたか。まだカラオケは指定していないので字幕の色は変わりませんが、 これでも初めてだとけっこう感動するでしょう。好きな曲や映画なんかで、やってみよう。
念のため、実際のサンプルを置いておきます。 最初の数行だけですが、こういうふうになるのだな、という状況は飲み込めるはず。 タイミングだけが目的なので、絵は1枚の静止画のまま動きません。
カラオケ字幕まであと一歩まで来ました。 SSAを作れれば、今度はソフトサブという話にもなります。 SRTに変換することでOGMにMUXできますし、MKVならSSAのままでもSRTでも、どっちでもいけます。 (今回の例はタイミングの見本であり、同じ色・サイズ・種類の一つのフォントしか使っていませんから、 本来SSAにする意味もなく、SRTに変換しても良いのです。)
現代の.ssaファイルは、VobSub作者 Gabest によって Sub Station Alpha 本来のファイル形式より拡張されています。 SSAを一部変更したGabestの形式が Advanced SSA (.ass) ですが、 Gabestのツール(TextSubプラグイン、VSFilterなど)では、ASSのタグをSSAで使うこともできます。 SSAとASSは似ているが互換性はなく、Sub Station Alpha は ASSファイルは読み込めません。 ASSのほうがSSAより合理的・実践的な形式ですが、SSAより少し複雑です。 MKV動画では、SSAだけでなくASSをMUXすることも可能です。