ver.5.5 beta 6 まで出ていた「窓の手」ですが、ついに本日 ver.5.5 正式版が公開されました。
今回のバージョンアップでもいろいろべんりな機能が増えてますが、とくにIEでソースを表示させるエディタを自由に変更できるようになったのがうれしいです(これまでにもレジストリ書き換えのワザや専用ツールがありましたが……)。これでEUCやJISのソースでも、ttPage(シンプルで一般向け)やページブラウザないしxyzzy(高機能でヘビーユーザ向け)で簡単に見れるわけです。
ご存知のようにEUCやJIS(ISO-2022-JP)で記述されているページは、非常にたくさんあります。ヤフーのようなCGIを使いまくるページではEUCがふつうなくらいです。ところが、従来、そうしたページのソースを IE for Win で見ようとすると、メモ帳が起動して、SJISしか表示できないため(Win 2000 ではユニコードも使えるがEUCなどは認識できない)、事実上ソースが見れませんでした。また Win 2000 以前のメモ帳では、あまり大きなサイズのファイルは、うまく処理できないという問題もありました(Win 2000 では巨大ファイルもメモ帳でひらける)。
百聞は一見にしかず、ISO-2022-JP で記述されている「セキュリティホール memo」の1ページをとりあげてみましょう。このようなSJIS以外のコードのページの場合、従来のIEではソースを表示させると、下記のようにメモ帳が立ち上がり、内容は判読困難でした。
窓の手の新機能を使ってソース表示用のビューアとして例えば ttPage を指定してみましょう。すると、それ以降「表示-ソース」を選択した場合、次のように ttPage が起動し、SJIS以外であっても漢字コードが自動判別され、ちゃんと表示されます。以下の画像(上と同じ「セキュリティホールmemo」のソースを表示させたもの)では、ついでに「Netsape」という文字列を検索してみた状態です。単に各種の漢字コードに対応できるだけでなく、このようにメモ帳にはないエディタ独自の機能も使えるようになるところが大きいのでは、ないでしょうか。
このことは単にHTMLのソースを(好奇心などの理由で)見ることができる、というだけにとどまりません。ISO-2022-JP のソースを直接、日本語文字にデコードできるということは、これまで日本語が通らないと言われていたような外国のサーバのウェブメールでも、文字化けしてしまった日本語のメールを簡単に「文字化け復元」(もとの日本語として表示)できる可能性を意味しています。単にソースを表示させれば、もう文字化けがなおっている、というわけです。(この種の文字化け復元については、窓の手でこのようなディープなカスタマイズをしなくても、ほかに簡単にできるハックがあります。それについては、べつの機会に紹介します。また、すべての海外ウェブメールの文字化けに対応できるわけでは、ありません。)
ちなみに秀丸は漢字コードを判別してくれないので、上記の意味では使えません。秀丸の歴史的価値は大きいですが、いまどき4000円も払う気があるなら、無料でもっとずっと高機能のxyzzyを強く推奨します。とくに、ソースを見るだけでなく、表示させたものを編集したい場合は、ページビューアよりxyzzyのようなエディタを指定するべきでしょう。もちろん、「自分はSJISしか見ないし編集しない」と割り切れば、使い慣れているどのエディタでもいいわけですが。
Windows 2000 の「名前を付けて保存」コモンダイアログでは、標準では左側にプレースバーが出ます(マイドキュメントなどの特殊フォルダをダイレクトにひらけるアレ=下図参照)。
このプレースバーをカスタマイズできる機能は、なんともべんりです。「名前を付けて保存」ダイアログは、初期状態で前回の保存先フォルダが保存先になっていますが、前回の保存先と今回の保存先がぜんぜんべつの場所の場合、ナビゲートがめんどうだからです。とくに、保存先として常用しているフォルダが複数ある場合は、それらのあいだをナビゲートして行ったり来たりしなければならないわけです。
ところが、窓の手5.5の新機能を使えば、保存先としてよく使うフォルダをプレースバーに並べておいて、ダイレクトでオープンできるのです。実際の画像で説明しましょう。以下、IEでアフガン・オン・ラインニュースのページを保存しようとしているところです。「名前を付けて保存」のダイアログがひらいています。
このHTML文書は、ある場所にある「AOP」というフォルダに保存するのですが、前回、なにか別のHTML文書を保存したとき保存先としてぜんぜん違うフォルダを選んだため、そのぜんぜん違うフォルダがまず保存先候補としてひらいてます。このフォルダから目的の「AOP」に行くまでは、階層を上がったり下がったり、けっこうめんどうでした —— 従来だったら。
それが、窓の手を使ってプレースバーに保存先としてよく使う「AOP」を入れておいたので、これからは、この「AOP」をクリックするだけで、ダイレクトに目的の保存先フォルダがひらけるわけです。いかにも重宝な機能です。
また、Windows 2000 では、何かのウィンドウが「自発的」にアクティブになったとき、タスクバー上で点滅することがよくあります。この点滅したのをクリックしてやらないと、ほかの操作がうまくできなくなることもあります。窓の手5.5には、これを無効にする機能もあって、そうすると、今後、勝手にタスクバー上でうるさく点滅して自己主張するかわりに、ユーザが別のウィンドウで作業しているときは黙ってフォアグラウンドになってくれるのです。 —— この機能は場合によって善し悪しですが、自分としては、あの点滅をかねがねうざいと思ってたので、この新機能もさっそく使ってみてます。
ほかにも、窓の手5.5では、Windows のシステムリソースの割り当てを調整できるディープな(ちょっと危険そうでさえある)、非常に意欲的な新機能がついています。
ご存知ないかたのためにいちおうつけくわえると「窓の手」は、まさに「かゆいところに手が届くような」Windows のさまざまなカスタマイズ —— 自分でやろうとすると難しい —— をだれでも簡単にできるようにした非常にべんりなフリーウェアです。最新版は「窓の手 ver5.5 for Windows」からダウンロードできます。フロッピーの形のアイコン をクリックしてください。