この記事について:この記事は「広告(バナーやポップアップなど)が入らない無料ウェブ」の第4段として、2001年7月1日に書いたものです。すぐ下で説明するように状況は流動的なので(とくに virtue.nu がなんか不安定っぽい)、あなたがこの記事を読むときには、ここに書いてあることと状況が変わってるかもしれません。必ずその時点でのサーバの提供条件(TOS)を自分で確認してください。最新情報にアクセスしやすいように、妖精現実内でこのシリーズの Ver.5 以降をもし書いたら、なるべくfreeweb/ というディレクトリからリンクするようにします。一方、前のバージョン(Ver.3)は、もはや現状とあわないので廃止。
バナーやポップアップ広告が入らない「きれい」な無料ウェブスペースってのは、けっこうたくさんあって、モノによっては、お金を払ってるプロバのスペースよりかえって良いくらいなのですが、それなりのリスクもあります。
例えば Nifty とか ASAHIネットとかの商用接続プロバが提供してくれるウェブスペースは、ある日、とつぜん閉鎖なんてことは、まずないでしょう。サーバダウンは、あるとしても、それは一時的なもの。これに反して、無料スペースってのは、一般的に状況が変化しやすく、最悪、とつぜんサービス中止ということもありえます。
この企画の第1段で紹介した Angelcities は、途中からトップバナー入りに変わり、さらに利用規約(TOS)が変わってコンテンツは(日本語があってもいいけれど)英語がメインでなければならない、となっちゃいました。第2段の FriendFactory は、親会社がソニーだから日本語でもいいっぽい穴場と思っていたら、サービス自体がとつぜん中止という結末。で、第3段は、「やっぱ紹介するからには、サービスがとつぜん中止なんて可能性がなさそうなほうがいい」というわけで、日本国内の Cool Online を選んだのですが(これはフットバナーが入るけど、日本語圏の大規模サイトでほぼ広告なしだった)、これもデフォルトでポップアップ広告といういちばんうざいパターンに変わってしまいました。
FTPが使えなくてもいいなら sphosting あたりもいいという話もしましたが、ここもいわゆる「ポップダウン」という陰湿なパターンの広告入りになったうえ、TOSが厳しくなって「All websites must be written in ENGLISH, any website found to have non-English content will be removed.」という条項ができてしまったので、日本語ページはダメ。
このように、No Ads(広告なし)のスペースは、つねにいっぱいあるのだけれど、ひとつひとつについてみると、状況が変化しやすいのが難点です。初めは「広告なし。無料」と呼び込んで、そこがあなたのホームになってあちこちからリンクされたころ、「来月からバナーが入ります。月5ドルでバナーなしにできます」みたいなメールが来るキャッチ(わな)は、よくあるパターン。バナー入りになっちゃうくらいは、まだラッキーで、初めから広告が入ってたフリーウェブプロバイダ(FWP)がいきなりサービス中止になってページがなくなってしまうことも珍しくありません。妖精現実がけっこう重要なコンテンツを置いていた veoweb(ここは、たくさんリンクもしてもらってた)や spites、古いところでは exit.de なんかもその運命。TOSに違反したユーザのアカウントが削除されるなら当然としても、サービス全体がそれも予告なしに中止されるのは、やっぱいたいです。
そんなわけで、トップページだけは、たとえ有料だろうがバナー入りだろうが、とつぜん消えなさそうなところを選ぶか(独自ドメインなら現状いちばん安全。また接続プロバがスペースをくれるなら、そこを入口にしてもいい。容量が不足してきたら広告なしのFWPを別荘にする。ただ接続プロバにホームを置くと接続プロバを乗り換えにくくなるのが欠点)、それか、come.to とか i.am とか here.is みたいな転送URLにして、コンテンツの一部が消滅してもURLは存続するようにしておくのが、ぶなんでしょう。もちろん、サイトそのものが一時的な目的であれば、この限りでないのですが……。
無料でしかも広告が入らないという特別な条件のFWPであってみれば、それ相応のリスクも覚悟しなければならないということです。本当に安心してやりたい場合、月500円~1000円くらい出すつもりなら、CGIやSSIが使えるいいスペースを探せるハズ。また、じつをいうと、無料の広告なしスペースでも、消えたりしにくそうな(おまけにCGIばかりかPHPやASPやCFMが使えちゃったりシェルにまで入れる)サーバも、ごくまれには、あります。しかし、そういうサーバを使ってるユーザは、通常、そのスグレモノなサーバのことを、不特定多数には —— 少なくとも、初心者でも指示通りにやれば簡単にアカウントがとれるような形では —— 教えないと思います。理由は言うまでもないでしょう。
これまでやってきたみたいにアカウントの取り方を図解入りでていねいに説明するということは、結局、その国のことばがよく分からないかた —— 規約(TOS)を読むのも困難なかた —— がそこに群がるかもしれないというリスクをはらんでいるわけです。これは、かなり紹介する側の責任つーことにもなるでしょう……当然、規約の概要は日本語で説明してきましたし、規約が大幅に変わったことに気づいたらできるだけフォローもしますけど、例えば、あるユーザのスペースの使い方に関してそのサーバから個人的に警告メールが行ったりした場合、その人がメールを読めない(読まない)としたら、かなりまずいかもしれないわけです。
こういうテキスト中心の(それも単純に笑えるネタじゃない長文も多いコンテンツの)サイトを定期的に見てる読者は、それなりに文章をちゃんと読んだり自分の頭で考えてきちんと判断するかたが多いとは思うのですが、goo とかで「無料ホームページ 広告が入らない」とか「広告バナー 消す」なんてタイプして検索して飛びこんできて、こういう記事を斜め読みして「なんか長文うぜえなぁ。要するに結論、こうやればいいんだな。簡単なことをもってまわって言うんじぇねー」と突っ走るかたも少なくないだろうと思うと、ちゅうちょしてしまう部分もあります。
無料ウェブプロバイダを紹介する専門っぽい日本語ページでは「オランダでは日本人が嫌われてる」という伝説が広まってるのか、いまかえってオランダが狙い目かもしれません。「なんか知らないが嫌われてるらしい」と厨房がオランダを避けるようになったので、すいてるような……。それと、ハンガリーあたりも、あんがい、いいっぽいです。開拓精神があるかたは、バベルフィッシュのようなオンライン翻訳を利用してオランダ語なりハンガリー語なりのTOSを解読してチャレンジしてみても、おもしろいかもしれません。
gTLD な独自ドメインなんか1万円くらい出せば簡単にとれるけど、珍しい ccTLD をフリーでゲットするってのは、それなりに楽しい。
最近、英語圏は、しぶくなってる気がします。でもホームページ作成の練習とかに気軽に使うには、やっぱり英語圏のほうが規約とかも理解しやすくべんりでしょう。このシリーズも、ホームページを初めて作ってみるかたがとりあえずページをアップロードできる場所をご案内する、という基本路線でやってきてます。広告が入らない国外のウェブスペースでも、やり方さえ知れば、日本のジェオシティなどより簡単にアカウントをとれるので、それを紹介してるわけです。
広告が入らない無料スペースとしては、.nu(ニウエ・ドメイン)に手っ取り早いサーバがいくつかあります。とくにfreehost.nu は、1分でアカウントをゲットできます(と、ここだけ読んで、うえの注意書きを無視しないでくださいね)。sign up のリンクをクリックして、ほしいアカウント名と名前とメールアドレスの3つだけフォームに記入すれば、すぐにメールアドレスあてにパスワードが送られてきます。
上の画像は春川菜美さんが http://www.freehost.nu/members/elf/ というURL(広告なしの無料スペース)をゲットしようとしてるところです。
FTPじゃなくてファイルマネージャですが、ホームページをこれから本格的に勉強しながら作ろうとか考えてるかたは、とりあえずFTPソフトの使い方を覚えないでいいぶん覚えることが減ってHTMLの勉強に集中できて、かえってべんりかも。ファイルマネージャは、よくあるパターンのやつで、簡単に使えます。TOSもシンプルで、禁止事項は「ワレズ、アダルト系、スパム、中傷、犯罪行為」とごく当たり前な線。
ご承知のように、スパムというのは「うひひなキノコ売ります」みたいなあやしいメールを不特定多数に送りまくることで、そのメール本文の詳しくはここを見てねの「ここ」としてこのサイトを利用すんじゃねーぞ、ということ。あと、ワレズってのは、ごく簡単に言えば、売られているソフトウェアのコピーをみだりに配布する行為。国や地域によっては必ずしも「違法」じゃなくむしろ買うほうが例外だったりするみたいですが、とにかくウチでやらんといてーねという規約です。
freehost.nu の欠点は、PNG画像を使えないことです。pngを認識できないサーバは、まだけっこうあります。さしあたってはgifを使えばいいのですが、画像をgifに変換するフリーのツールが、最近、ある事情で前より入手困難になってます。
この事情に詳しいかたのなかには、GIFという画像圧縮アルゴリズムそのものを悪者だと(GIFが邪悪だと)錯覚している極端な思想の持ち主も多いのですが、考えればすぐ分かるように、gifそのものが悪いのでなく、そこに今さら特許を主張してる会社が問題なわけです。ちなみに、どっちにしても、どーせもうすぐ特許期間が切れるみたいです。
一般の画像をgifに変換するのは、dibas32というフリーウェアを使えば簡単です。dibas32は上記のいきさつによって窓の杜やVectorでは配布中止されてますが、googleで検索すれば、きちんとしたサイトでいくらでも再配布してるのが簡単に見つかるでしょう。(日本ではアルゴリズムに特許は成立しないので、日本製のdibas32を日本国内で使うぶんには問題ないと解釈してください。かつてのPGP「国際版」みたいなもんです。)
でも、pngが使えないと実際問題、ふべんなこともあります。そんなかたは、virtue.nu を検討してください。こっちは png を使えます。ただし、サインアップが freehost.nu よりほんの少しだけめんどうなのと、最近、サーバが少し不安定なようです。
virtue.nu とよく並べられるサーバに envy.nu ってのもあります(同じ会社がやってるという説も)。もし今でもサインアップできるなら、ここもいいサーバです。http://www.envy.nu/aamin/ には、妖精現実のページもあって、ごらんのように png 画像が使えます。なお、envy.nu の FTP の comming soon というのは前から「comming soon」と書いてあるので、あまり期待しすぎないでください。
Virtue.nu だと、こんな感じの簡単な掲示板もついてきます(というか設定できます)。広告が入らないぶん、ティーカップよりましかも。
Q. むかし妖精現実の記事を読んで、Angelcities とかにサイトを作ったら、英語じゃなきゃダメになってしまったぞよ。どーしてくれるあるね。
A. こんなこともあろうかと(というだけの理由じゃないけど)コンテンツは英語版も作ったほうがいい、少なくともトップページだけでも英語にしておいたほうがいい、とおすすめしといたハズ。つまり、「言語を選択してください。英語版は、こちら」のリンクは、そのままでいいわけで「日本語版は、こちら」のリンク先を、どっかべつの日本語OKなFWPに変えればいいわけです。そーすれば、いまのURLを表紙としてそのまま継続して使えますし、もし仮に日本語版コンテンツを置いてるFWPがまたどうにかしたときも、Angelcities という表紙は不動なのでリンクだけ変えればなんとかなるでしょう。なお、Angelcities と eccentrix は、英語コンテンツがメインなら、英語以外のコンテンツがあってもかまわないみたいなので、ちょっとだけラッキーだけど(詳しくは各自TOSをご確認ください)、たまたままだばれてないからといって日本語メインで続けるとアカウントそのものを削除されてあなたのホームページとして周囲に知られているURLが無効になってしまうので、そっちを心配してください。また、sphosting は英語以外が完全に禁止されたようです。使用中のかたはTOSをご確認ください。
どのサイトの紹介であれ自力発見であれ、非日本語圏のサーバに日本語のコンテンツを置くってことには、そもそも潜在的なリスクがあるわけです(ロシアのサーバの一部のように、置きたくても日本語が化けちゃうこともあります)。
Q. 英語じゃなきゃだめなのに「日本語版はこちら」というリンクをどうやって作ったらいいんだよ、ばーろー。
A. 英語のページに多少の「エキゾチックな画像」があっても、かまわないでしょう。下の「文字」は文字じゃなくて gif 画像(妖精現実内の、KUBOTA Hironobu's Photo Reports on Afghanistan のページで実際に使っている画像)。バナーみたいに、この画像からリンクを張ればOK。
マウスを合わせるとほかのリンクとまったく同様に色が変わるので画像に見えないかもしれませんが、コピペしようとマウスをドラッグさせてみれば、「ホンモノの文字」じゃないことがすぐ分かります。
こういう画像の使い方は多言語なページを作る上での基本的なワザなので、覚えておいてください。日本語フォントのない環境(例えばパキスタンのかたのPCとか、東欧あたりのインターネットカフェのマシンとか)でも、ぜったい文字化けしない(画像だから当たり前)。
逆に、英文でも日本語版のHTMLエディタが「shift_jis」というメタタグを勝手に書きこんでいると、そのページは「日本語のMS Pゴシックフォントとかで書いてあるローマ字」と認識される可能性が高いので、以前にも注意しましたが、必ず iso-8859-1 と書くか、それか、よく分からなければ meta ... charset ... とある行を削除しちゃってください(がんばって英語で書いたのに「非英語ページなので規則により削除しました」と通知がきたらうろたえるでしょう)。
Q. どーしたら削除されにくくなるか?
A. 現時点では、ウェブページそのものは、どっちにしても(たとえ有料のスペースでも)あまり長くは存続できないと認識しとくほうがいいと思います。その認識のうえで、そのときそのときの「まごころ」というか「情報」というかを出しておけば、ページは滅びても、その「まごころ」は、なんらかの形で伝えられてゆくかも。もちろん、いわゆる独自ドメイン(faireal.net のような)も、レンタルサーバであっても月1000円ちょっとで使え、独自ドメインなら自分から手放さない限りそのURLをずっと使えるわけですが(広帯域常時接続になって固定IPが割り振られたら、各自のマシンを「無料」で自分専用のサーバにもできますが)、しかし、あなたが手放さなくてもやがてあなた自身が消滅するという現実を考えると、URLそのものが存続することには本質的意味がないように思います。
Q. 規約改定でつづけられなくなった日本語版コンテンツは、どうしたらいいか?
A. もちろんコンテンツは適切な新しい場所に移動する必要があります、が、ウェブは、どこからどうリンクされてるか分からないので、ページ自体は削除せずに残したほうがいいです。自分では、もう使わないつもりのページでも、どーせ無料スペースだし、なんか絵か写真でもおいて、enter とか書いてそこを「表紙」みたく残しておくといいでしょう(でないと404エラーになって、検索エンジンとかからせっかく来てくれた趣味が同じ人があなたの現在位置までたどりつけない)。かくいう妖精現実も、faireal.net に移った今でも、mion.wisnet.ne.jp からも入れるようにしてあります。なお、使わなくなった無料スペースは放っておくとアカウント削除されることがあるので、30日にいっぺんくらい嘘でもログインするか、それか、この機会に本格的にそこを英語版のホームに改築してみるのもいいかもしれません。何事も姿を変えた祝福ってことで(謎)
Q. 英語以外ダメというサイトにフレームだけおいて、フレームのなかみは英語以外でもいいサイトのページにできるか?
A. 理論的には、もちろんできるけど、やめたほうがいいです。サーバによっては、ほかのサーバにあるコンテンツ(画像とか)を自分のサーバのページ内に混在させることを規約で禁止してます。
Q. よくある「ページが移動しました。5秒後にジャンプします」みたいなのの書き方は?
A. これも、できれば避けたほうがいいのですが、参考までに……
いずれも head に書けますが body 内に「自動的に切り替わらない場合は、クリック」のふつうのリンクも用意したほうがぶなん。ユーザの意思と無関係にナビゲートすることになるので、乱用は避けてください。条件によっては、戻るボタンで直前のページにうまく戻れなくなります。
CGIや .htaccess というファイルを自由に設定できるともっと効率的なリダイレクトができますが、その手が使える無料ウェブは、ほとんどないので、ここでは説明省略します。