ファイルローグは現状たいした能力がないのですが、ソフトが日本語版なので、日本語圏のかたがキラクに(もちろん無料で)P2Pを味わえるという意味では、試食に役立つわけです。Windows版の使い方を簡単にご説明します。
ファイルローグは最初に触れたようなホームビデオの動画の直接転送などにも簡単に使える可能性があるすぐれたツールです。ブルーリボンでおなじみのEFFも、No one should assume by default that we're criminals「(違法な使い方もできるというだけで)初めから違法と決めつけては、ならない」と強調しています。ほかはともかく、この点はもっともで、メールは犯罪にも使えるからすべて監視するだの、ブラジャーは中に麻薬を隠すことも可能だから中を改めるだの、たとえ話として、そういうことになっては困るわけです。ファイル交換は違法なアダルト画像の配布にも使えるから、という理由ですべてのトラフィックを監視されて、罪もないホームビデオまで傍受検閲されては不愉快だし税金のムダだからです。
不適切な画像を含むファイルを公開したり、著作権を侵害するようなファイルをネットに接続すると、問題になる可能性がありますが、どちらもアップロードした側の問題です。よほど特殊なケースでない限り、ダウンロードする側には問題は生じません。当たり前のことで、例えばNHKがわいせつ映画を放送したからといって、NHKの視聴者が逮捕されるわけありません。放送した側の問題です。
わいせつ物は公然陳列が発覚すればただちに問題になりますが、著作物のほうは民事です。著作権者や関係者が訴えない限り、何も起こりません。たとえ違法コピーしたからといって警察につかまるわけでは、なく(それを売って商売するとかのよほど悪質な場合は別として)、権利関係者から民事で訴えられる可能性がある、ということです。
当事者間の民事であって、刑法上の犯罪ではないので、何を目撃しようが、あなたに通報の義務は、ありません。
例えばショパンの作曲した曲なんか、とっくに著作権が切れてます。持ち主が自分で弾いたショパンの曲を共有フォルダに入れても、なんの問題もありません。売っているCDのコピーなら問題があるかもしれませんが、chopin.mp3 というファイル名だけ見ても、どっちだか分かるわけありません。「自分で弾いたショパン」と書いてあっても、実はホロビッツかもしれないし、「ホロビッツ」と書いてあっても、実はピアノ科の学生が自分で弾いたのかもしれません。ファイル名なんてどうとでもつけられます。実際、著作権があるかないかは、ファイルの属性でなく、それに対する人間の信仰にすぎません。
「ファイルローグ」の規約では、著作権を侵害したり、不適切な画像を含むような、違法とされるファイルをアップロードしてはいけないことになっています。したがって、相手が規約に違反していない限り、あなたがダウンロードしたファイルは合法です。相手が規約に違反しているかどうかについて、勝手な先入見を持つべきでは、ないでしょう。
EFFは、とくにP2P技術に対する圧力を懸念して、Peer-to-peer file-sharing technology platforms like Morpheus are not only capable of noninfringing uses, but are being used for noninfringing purposes today. としています(EFF Defends MusicCity Peer-to-Peer Technology)。P2Pはインターネットが本領を発揮するうえで絶対に不可欠の技術。将来、「音楽業界などはP2P技術をつぶそうとしたことがあるんだよ」というのが「カセットレコーダーを違法だと言い張った時代があるんだよ」というのと同じ笑い話になることでしょう。
いずれにせよ、すでに説明したように、ダウンロードするだけなら基本的に問題ないので、あなた自身の共有フォルダには、著作権とかの問題のない画像とかだけ入れてログインしてみてください。「ファイル交換」と言っても、ファイルローグは、とりあえずダウンロードだけでも試せます。「このようなキーワードでヒットするだろうか」と試すだけ試すのでも良いでしょう。昔のファイル交換用FTPサーバだと(WinMXでも)持たざるもの持つべからずみたいのがありましたが、今は分母が大きくなったので、けっこう共有数が少ないユーザも受け入れられていると思います(良い悪いは別として)。
「ファイル交換」という言い方をすることもありますが、特定の相手と「これとこれを交換だ」などと交渉して承諾を得て始めるわけでなく(昔は、それが多かったらしい)、勝手に検索してほしいものを落とせばいいのです。
ファイルローグのサイトは日本語で書いてありますから、そこの説明にしたがえば簡単です。「ファイルローグ(日本語版)」などと書いてあるリンクをたどるだけです。
当たり前のことですが、公共の場所に公開されているソフトですから、とりあえずソフトをダウンロードすること自体は、違法でも何でもありません。
ダウンロードするには、利用規約に同意しなければなりません。初めに「当ソフトウェアをダウンロード・利用するためには、専用のアカウントが必要です。必要事項を入力し、アカウントを取得してください」と書いてありますが、この時点ではアカウントは関係ありません。ファイルローグを使ってファイルを転送するとき、最初のログイン時にアカウントとパスワードを決めます(後述)。
サイトの説明にあるように、Windows の場合、JREというものと、ファイルローグ日本語BETA版のふたつをダウンロードして、まずJREをインストール、次にファイルローグ日本語版をインストールします。どちらもダウンロードしたファイルをクリックして画面に出る指示に従うだけです。(将来は、JREとまとめてワンクリックでインストールできるようになるかもしれません。)インストールは極めて簡単、何もいじらず2、3回、クリックするだけ。
インストールが終わると自動的に起動します。手元では、日本語版だとDOS窓が開きますが、使用上は別に問題ないです。
メインウィンドウ: ごくふつう
DOS窓(どすまど): もし開いても気にする必要なし
次回からは、Windows のスタートメニューからか、またはデスクトップアイコンをクリックして、起動できます。
バッチへのショートカットがデスクトップアイコン?
本来のアイコンはコレだが……
ファイルローグはJAVA(ジャバ)ソフトといって、Windows上で、ほかのオペレーションシステムのようなもの(Java VM)を起動し、その Java VM の上で動きます。この説明がよく分からないかたは、要するに起動に数秒~数十秒かかることもある、と覚えておいてください。Java VM を起動できる環境なら、Mac や Unix のようなほかのOSのユーザでも、理論的には同じソフトを使えるので、ファイル共有という考え方からすると、Windows ユーザだけで閉じている WinMX より、こっちのほうが良いのです。その代償として、ソフトが少し重いですが。
まず、どこかに新しいフォルダを作ります。めんどくさければ、マイコンピュータ→Cドライブを開いたすぐに「共有」とかいうフォルダを作れば良いでしょう。ここに、あなたが共有したいファイルを入れます。ここに入れたものは、なんであれ、ファイルローグにログイン中は、外から見えて外へコピーできる公共物になるので、プライベートなものを入れないでください。
もうお分かりと思いますが、P2Pでの共有というのは、共有するファイルをどこかの共有サーバにアップロードするのでなく、あなたのマシンのフォルダを直接ネットに公開することです。
そしたら、ファイルローグのメインウィンドウにある「共有フォルダ」メニューから「編集」を選び、「追加」をクリックして、いま作ったフォルダを指定します。これだけです。
デフォルトではダウンロード用のフォルダも共有に入っていると思いますが、これは共有から外して(削除して)ください。ファイルローグに限らず、ダウンロード用のフォルダを直接、共有しないでください。でないと、ダウンロードの途中で切れてしまった中途半端なファイルもカタログに載って、壊れたファイルが広まってしまう原因になります。また、ダウンロードしたものを入れておくフォルダが共有されていると「ダウンロードだけだから合法」と言えなくなってしまいます(ダウンロードしたあと、それを送信可能化しているから)。版権などの問題のないファイルで、ダウンロードしたものを共有するにしても、正常なファイルであることを確認してから共有フォルダに移しましょう。
最初は、「ファイル」→「新しいIDを取得」を選んで、好きなユーザーID、パスワード、メールアドレスを記入して「OK」をクリックします。
次回以降は「ファイル」→「接続」。パスワードがばれると誰かがあなたになりすまして勝手にあなたあてのIMを受信したり返事したりできるのでIDと同じとかは、ダメです。忘れてしまったら新たなIDをとれば良いです。メールアドレスは、いちおう捨てメアドでも書いておいたら良いでしょう。ニフティや接続プロバの本メアドを書くのは、お勧めできません。
ログインできたら、「検索→ファイルの検索」でお目当てのファイルを探してください。検索エンジンと同じです。
いろいろヒットしたら、そのうちほしいファイルをクリックで選択して「ダウンロード」をクリックするだけ。
保存場所を選ぶダイアログが出ます。特に理由がなければデフォルトのままで良いでしょう。
ログインしたからには、作業後、ログアウトする必要があります。さしあたっては、必ずモニターの前にいるうちに「ファイル」→「切断」してから、メインウィンドウを閉じてください。仕様上は、たくさんキュー(ダウンロード待ち)を入れてログインしたまま席を外して眠っててもいいのですが、そのへんは自分で見きわめてください。いくら回線が常時接続でも、ベータ版のJavaアプリでWindowsのフォルダを共有させたまま学校に行くのは、おすすめできません。
友だちにおすすめしたいファイル、珍しいファイルを見つけて、共有フォルダをおもしろくすること。貴重で入手困難なファイルであればあるほど、即座に共有しよう。みながそう考えると、おもしろくなります。反対にダウンロードばかりで自分から共有しないユーザばかりでは、寂れてしまうでしょう。
ファイルローグに慣れたら WinMX や Gnutellaも試してみてください。WinMX は英語のソフトですが、操作は単純なので慣れればほぼ誰でも使えると思います(「WinMX」で検索すればすぐ分かる)。いろんな国のファイル(非英語圏も多い)があって楽しいです。
知り合いのかたと待ち合わせての転送に使うときは、ファイル名を一般の人から検索できないものにして、パスワードをかけたGCAにすると良いでしょう。プライベートな転送の内容を第三者に覗かれる心配がなくなります。
「話しかけたほうが良いか」 —— ファイルローグのことを知らないのでよく分かりませんが、人間が好きなかたは、ファイルのアップロードが始まったら(誰かがあなたのファイルをダウンロードし始めた)、とりあえず相手の共有フォルダをのぞいて、どんな趣味の人だか見たら良いでしょう。
上はアップロードが始まった場面です。見たい相手をクリックして選択したら、右クリック→「カタログ表示」で相手の共有ファイルが見れます。
なお、転送速度は、相手の速度と自分の速度の遅いほうになります。たとえあなたが高速な回線を持っていても、相手が 28kモデムだったら、相手の速度になります。ファイルローグは、WinMX と違い相手の速度があらかじめ分かりません。
あなたのファイルを欲しがるということは、もしかしたら趣味が合うかもしれませんよ。気に入ったら順番を先にしてあげるとか。諸事情で難しい場合は「10~20分待ちになりますが良いですか」という意味のことを通じそうな言葉で送るのも良いでしょう。気に入った相手がインドあたりから 1kb/s などで大きなファイルを落としてたら「キラクにどーぞ。ずっとオンラインだから」とか言うのも良いでしょう。蹴るつもりでなく間違えて転送キャンセルをクリックしてしまったときは、間違えたのでリトライしてほしいと伝えたほうがぶなんでしょう。ファイルローグがどうなるか分かりませんが、一般には、話しかけられたくない無口なユーザも多いということは覚えておいてください。
ファイルローグは、なんと受信したIM(インスタントメッセージ)を保存できます。電話やチャットじゃなく「メール」のノリ?
ウェブページでも、ぜんぜん専門外のことを読んでみることがあると思うのですが、P2Pでも、たまに、自分がほしいファイルでなく、ぜんぜん知らない曲をダウンロードして聞いてみると世界が広がるかもしれません。ウェブでもそうだけど、もし有料だったら、おかねを払ってまでそんなに冒険(新分野の開拓)をしないけれど無料なのでキラクに手を出して学べる、という要素が大きいように思います。
ファイルローグでおおざっぱな感覚がつかめたら、ぜひ共有量の大きい WinMX や Gnutella を試してください —— ファイルローグと違って共有ファイルのリストを中央で一元管理していないので、よりP2Pらしい自由さを感じられることでしょう。
2001.11.10 「人に優しい」ファイルローグ —— WinMXに慣れてると初めとまどうものの、これには、これの良さも。mx(デフォルトの使い方)はシステム的に「相手の人間を保存できない」ファイル中心の世界(ログアウトしたらさよなら)なのに対して、frは、特定のユーザを保存できるうえ、ユーザ名でいきなりダイレクトに「人の検索」ができる人間中心の世界 —— 昔のナップとかの伝統的システム(mxでも、実際には相手のフォルダの中味から同じ人だと分かることがあるし「検索用ファイル」を用意してる人もいるが)。うざい面もあるが、友だちにログイン名を教えて「待ち合わせ」てP2P転送ができる。昔ならがのftpサーバ的な使い方。使いようによっては、(・∀・) あとでさっそく実験してみよっと…
WinMXの最大の欠点のひとつ、IMがついても分からない(ときどき自分で見るしかない)に対して、frはまともで、メッセージが届くと音が鳴ってポップアップ(こっちが当たり前なのだが)けど肝心の、ふつうの意味の共有は、そもそもユーザがいない。ファイルがない。ステータスバーの左下に1.4TBと出るのが共有ファイルの総量????1テラ?!平均一人1ギガとして1000人?????????すくねーーーー例えば、mxでmad newsと入れるとペリーだけで↓これですが。
WinMX は、けっこうファイル量が多い
それにひきかえ、frではmad news全体で数えるほどしかヒットせず。
1000人しかいなかったら、簡単に「人が」見つかってしまう。「ファイルを」共有したいのにファイルは無くて、「人が」見つかるという。例えば、Kokkonenとかのちょっと珍しいファイルを共有してるに違いない相手は、kokkonen で検索すると、すぐ見つかるでしょう……。
Morpheusの例/超高速・超分散/誰も言わなかった広帯域の本当のポテンシャル/雑魚とは違うんだよ、雑魚とは/現実/おまけ