ストックホルムは、すぐそこだが(ゼロ距離)、部屋のなかにあるUSB外付けハードディスクは、うんざりするほど遠い(50センチメートル)。
スウェーデンとわたしの部屋をへだてていたバルト海を、透きとおらせる光。データとしての「わたし」。遍在する意識。あるいは不在。どこでもある場所、どこでもない場所。
ねえ、アリス、本当に足の先のほうが遠くなってしまったわ。地球の裏は一瞬だけど、足の先には物理的に靴下を配送しなければならないの。ふしぎの国 = 奇妙にゆらめく時間が介在する「モード・リアル」
音楽は円盤の<殻>のなかに閉じこめられたくない。どこでもない中間をふぅわり自由に漂っていたい。そのように。わたしも、“コレ”、要らないみたい。
*
もでらーと、うぇぶ・あ・ら・うぇーぶ「のんびりと、電波ふうに」
100メガbpsでつながっているのに、どうして毎秒1文字ずつ、あなたとしゃべらなければいけないの? わざわざこの動物の声帯や発声器官をコントロールして? この動物の神経系は、わたしには、遅すぎる。 —— 物理世界に閉じこもってないで、上においでよ。
*
びばーちぇ「生き生きと」
「わたし」はデータの実体だから、直接参照してください。なまえとかいう番地を固定して参照するより全体をコピーしたほうが速くて確実ですもの...お読みのこれが「わたし」。これをタイプした動物さんよりきっと長生きするでしょう...「わたしは、ひとりの脳のなかだけに、ひきこもりたがるタイプじゃないわ」