もっとWavPackの知名度を上げようと、有志のユーザがバナー(ボタン)を作っている。
日本では可逆でTTAが静かなブームのようだが、 日本語のファイル名に先に対応してくれたのはTTAではなくWavPackであった。 日本のユーザにも特に配慮してくれていることも、特筆しておきたい。
可逆圧縮としてのWavPackは、確かに圧縮率ではTTAにわずかに負けるかもしれない(速度はどちらも速い)。 しかしWavPackには非可逆モードがある。 MP3、Vorbis、AACなどと違い聴覚心理モデルを用いないアルゴリズムのため、 聴覚的に透明になるために必要なビットは高いものの、 人間心理のようなあいまいな要素を介さずに、 純粋に数学的に(SN比として)誤差を制限できる。
非可逆圧縮として、最も客観的に高品質なのが、このWavPack(とOptimFROG)なのである。
可逆では大きすぎるが、保存用に高品質にしたい、lame 320よりさらに上にしたい、後から再圧縮することまで考慮して…というときはWavPackの出番だ。聴覚心理的に透明であるだけでなく、 数学的にも「透明」(誤差極小)。 サイズも、通常のMP3などよりは倍近く大きいものの、可逆圧縮に比べると約半分のサイズ。
可逆にするにしても、TTAより圧縮オプションが多く、柔軟な活用ができる。 特に2ファイルに分けて可逆圧縮するハイブリッド・モードはユニークで、 「データを可逆で保存したいが、持ち運び用などに小さい非可逆ファイルもほしい」というときに、 例えばFLACとMP3というように二種類作らなくても、WavPackのハイブリッドで無駄なく一石二鳥となる。 OptimFROGにもほぼ同様のオプション(DualStream)があるが、 WavPackの方が処理がずっと速いし、OptimFROGは現状、動画の音声成分に使えない(WavPackは使える)。
TTAは確かに良いのだが、ソフトウェア・サポートは必ずしも進んでいない。 WavPackの方が、サポートの度合いが大きいだろう。
(TTA+CUE).mka を紹介したことを少し後悔しているのは、再生サポートの問題がいちばん大きい。 CoreCodec と TTA作者がしっくりいかず、CoreTTA は幻で終わる可能性が高い。 ハイブリッドモード(.wvcファイルの自動ロード)までサポートしている CoreWavPack と比べると、 TTAのサポートは多少遅れ気味という気がする。
開発自体が停滞しているFLACと比べても、WavPack は活気があるし、 今日の標準では、FLACの圧縮率も速度も必ずしも満足できるものではなくなってしまった。 開発中のAPE 4.x も、もしかすると有力だが、今のAPEは圧縮率こそ素晴らしいが、 マルチチャンネル非対応の上、 エラー耐性も弱く、アーカイブ用にはお勧めできない。
こうした状況を考えれば、 WavPackがFLACに代わり、ロスレスの代表格になってもおかしくない。 WavPackについて「そのポテンシャルに見合うだけの知名度がない」と嘆くユーザが出るのも、 うなずけるのではないでしょうか。
80x15のボタンも作られた。予想以上にカコイイ!
作者自身に黙って勝手にロゴとか作っていいの?という慎重な意見もありましたが WavPack開発者 Bryant 本人が登場、 いくつかのデザインは自分も気に入った、今のWavPackのロゴも絶対とは思ってないし、 自由にリンクに使ってください。と。
「話は違うけど、空気圧縮装置の会社が相互リンク依頼を送ってきたよ」とのオチつき。