言及サイト転載集

目次

日々平安

平成15年2月7日 実録ネット事件簿1

多忙になってきたこともあって、しばらく日々平安の更新を休止していました。申し訳ありません。完全に停止しようかとも思ったのですが、ネタと時間のあるときに不定期で書いていこうと思います。今回はちょっと趣向を変えてみました。

「ども。越智太郎です」

「根戸奈々子です」

「「二人あわせてネットウォッチャーズでーす!!」」

「……ねえ。なんでいきなり私たちの座談会形式になってるの?」

「実際の事件を述懐するにあたり、松原本人が語ると個人的な主観が入りすぎるからだとさ。あと、性根の黒い奴だと思われるのがヤなんだろうな。このページを見てる人にはとっくにバレバレだと思うけど。……中の人もたいへんだねえ……」

「?なに、中の人って」

「気にすんな」

「……まあいっか。話は変わるけど、太郎君、ここしばらくずっと寝不足だっていってたじゃない。何か忙しかったの?」

「あ、アレな。もうほとんど騒動は収束したと思うけど……デカい祭があったんで、それ追っかけてたんだよ。すごかったぜー、みんな盛り上がってて」

「お祭りって、御輿でもかついできたの?そんな趣味あったんだ」

「違う違う。ある出来事に対して、大勢が勝手にネットでわいわい話すことを祭っていうんだ。ここんとこ大祭続きで、正直そろそろ体力の限界……」

「……馬鹿?」

「うるせ」

「でも、寝不足になるほど何にそんな熱中してたわけ?」

「ああ、まあこれが胸くその悪くなるような話なんだが……。あのさ、おまえ、自分が書いたのとよく設定の似た話を見かけたらどう思う?」

「え?世の中には同じようなこと考える人がいるんだなーって……。街歩いてておんなじ服着た人に会ったみたいに、ちょっといや、かも。ていうか、私が真似たんだと思われたらどうしよう!?」

「だろ?ある人がさ、自分の作品と似かよった設定の話を見て、サイトの日記にそのことを書いたんだわ。つっても、相手の名前はおろか、作品名もサイト名も書いてない。ちょろっと愚痴こぼして、『自分がパクリだと思われたらいやだな』程度の、まあなんてこたぁない雑記だな」

「それが?」

「それを見た人が、間髪入れずにBBSに書き込んできた。『あなたの言っているのは○○様の××という作品のことではないか』と」

「ええっ!?」

「仮に日記に書いた人をAさん、BBSに書き込んだ人をBさんとするわな。まず、Aさんの例の日記がUPされた直後に、Bさんが自分の日記にそのことを書いたんだよ。まあ要旨は全然似てないよっつー内容なんだけどさ、それがかなり口汚い文章でねえ。疑われるのは出来の悪い方とか、あからさまにAさんを誹謗してた」

「ひどいね」

「両者は知り合いじゃなかったけど、AさんはBさんのサイトにリンクを貼ってた。Bさんは解析でリファ取ってたんで、Aさんのサイトはたまに見てたらしい。で、Bさんの日記がUPされたあとにAさんがBサイトへのリンクを切ったんだ。それでBさんが、リンクをはずしたタイミングを指摘するとともに、パクリ疑惑をかけたことへの怒りをAさんの掲示板に書き込んできた」

「……なんでBさんがそんなに怒るの?似てる作品を書いた人じゃないんだよね?」

「そのへん、説明がめんどいんだけどさ。Bさんは自分のサイトのほかに、小説を投稿できる企画サイトを何人かで運営していたんだな。で、Bさんがこれじゃないかと書いた作品名は、企画サイトに投稿された作品であり、かつBさんが普段から世話になっているCさんの作品だった」

「だから人ごとじゃないってわけ、か。でもさ、Aさんも不用意だったかもしれないけど、自分が疑われたらやだって書いただけでそんな怒らなくても……」

「Bさんの書き込みに対し、Aさんはそれとは違う作品だといって、気を揉ませてしまったと謝ってる。でもBさんはさらにAさんを追及し、おまけにCさんまでメールや掲示板で非難を訴えてきた。その結果、Aさんはすでに無期限休止していた本館に加え、サイト別館も休止。BC両氏の要請により、サイトトップに経緯を記した謝罪文を載せざるをえない状況になったんだ」

続きます。

平成15年2月8日 実録ネット事件簿2

「Aさんはパクられたと騒いだわけでもないのに、相手に謝罪メールを送ったわけだが、BさんはAさんを謝罪が足りない、誠意がないと弾劾。残っていたAサイト掲示板に、閉鎖を謝罪とは認めないと、経緯説明・謝罪ページを作りトップへリンクすることを求めてきた。で、だ」

「ま、まだあるの?」

「ここからがえげつない。Bサイトに『ハジメテのオフィシャルネットバトル』とかいうページを作って、いかにもAさんがパクリ疑惑をふっかけたみたいに書き立てたんだ。Aさんの例の日記も引用してたんだが、故意なのか何なのか、『自分がパクリだと思われたらいやだな』の部分を中略してあったんで、一見ほんとにパクられたといってるような文面にも見えたな。で、すげえ居丈高にA掲示板でそのページへのリンクを命じた。ちなみに、そのページのファイル名はbaka.htmlだった」

「なんか……ほんとに頭にきてたんだとしても、そこまでやっちゃったら、同情できないよ。面白がってたたいてるみたいじゃない」

「『きゃほーーい!』とか『わくわく』とか、まあはしゃいだテンションだったな。Bさんは何人かで企画サイトも同時運営してたっていったろ?そこからも同時に『検証』としてリンク貼ったんだわ。それで、企画サイトの運営チームの人たちがAさんの掲示板に乗り込んできた。Aさんの作品を批評……つーか、けなしてたぜ。Aさんはもうひたすら謝るだけだったんだけど、それもコピペみたいだと非難されてな」

「Bさんたちはどう謝れば気が収まったのかな。言いがかりに近いことで急にたくさんの人から責められて、何を言ってもそれじゃだめっていわれたら、パニックになっちゃうよ」

「まだある。Cさんは自分のサイトを持ってたんだが、それが毒舌で鳴らしたテキスト系大手だったんだな。で、そこの日記でパクリ疑惑をかけられたと書いてる。相手の名前は明かしてないけど、タイミングからいって完全にAさんのことだよな。『はじめての名前&サイト名晒し上げになるかもしれない』と、こっちもバトる気まんまん」

「大手サイトってことは、アクセス数も多いんでしょ?そこで名前とか出されちゃったらすごく怖いよね。そこの常連の人たちが大勢非難にくるかもしれないもん」

「それを狙ってた節がないとは言えないな。とどめに、Bさんたちは企画サイトに『特別イベント』と称して、投稿されてもいないAさんの作品を勝手にUPし、掲示板にA作品の検証スレッドと感想スレッドを立ち上げた。運営チーム以外に、企画サイトに投稿してた常連も書き込んでたんだけどさあ、そりゃあひどいもんだったぜ。徹底的な作品批判、人格否定、おまけにAさんの子どもについても中傷してた。俺はマジで吐き気を覚えたよ」

「……なんかもう、言葉もでないよ……。私がAさんだったら立ち直れないかもしれない」

「マッツァの基本概念に『中和』ってのがあってさ。自己正当化が働いてナルシズムや利己主義に浸ることを指すんだけど、あの時点ではあいつら、自分がいかにひどいことをしてるかってことにまったく気づいてなかったんだろうな。自分たちを正義と信じて疑わないから、気持ちよく相手をののしれる。相手の心情なんか関係ない。だって、こっちには『被害者』っていう大義名分があるわけだからな、勘違いだけど」

「人間の暗黒面を直視しちゃった気分。なんだかもう、怖くてネットができなくなりそう……」

「まあ、そういうなって。ここでちょっとした転機が訪れる。このやりとりを見て、俺たちみたいにあまりにも行き過ぎだって思った人が他にもいたんだよ。で、その人は某巨大匿名掲示板で『疑いをかけられたからってこれはどうか』とBサイトのネットバトルページのURLを貼った」

「そ、それで?」

「そのスレッドの人たちも、これはひどすぎるって大いに怒った。基本的にそこでは、乗り込みっていって、貼られたURLのサイトにカキコしたりするのは禁止なのな。だけど何人もAさんの掲示板に励ましの書き込みをする人が現れた」

「少しでも力づけてあげたいよね。きっとすごくショックをうけてると思うもん。私もメールアドレスとかわかってたら、応援のメッセージを送りたいよ」

「あんま知らない人から反応がくるのも本人の負担になることがあるから、気持ちだけにとどめとけな。Aさん擁護の書き込みが集中したあと、匿名希望と名乗る人からAさんの自作自演じゃないかとあざける書き込みがあったんだ。だけど某所で『IPから正体が割れるんじゃないか』と発言があるやいなや、そのレスは削除された。どうもいろんな要素から見て、Bさんの書き込みじゃないかという線が濃厚なんだが」

「ええ?もし本当にそうだとしたら、なんか……最初から思ってたけど、変だよBさん、やり口が。Aさんの発言に真剣に気を害してて、本心からの謝罪と反省を求める人の行動とは思えない。それじゃただ単に、相手の出方に関わらずやりこめて叩きつぶしたいだけに見えるよ」

「前々からネットバトルしたいといってたらしいから、千載一遇の機会ではあったんだろうな。だが状況は一転。いままでは自分たちが一方的に相手を責めたてていたのに、今度は自分たちの掲示板で抗議や非難の書き込みが相次ぎはじめた」

まだ続きます。

平成15年2月9日 実録ネット事件簿3

「Bさんは自サイト掲示板への抗議に最初は挑発的な口調で応対していたんだが、抗議レスが加速度的に増えてくると、今度は一転していきすぎた発言への謝罪をはじめた。Aさんの端的な謝罪レスをCさんがコピペみたいだって非難してたんだけど、まるっきり同じような答え方だったな」

「でもさ、謝る相手が違うよね。ひどい批判をされたのはAさんなんだから、抗議してきた人たちに謝っても、意味がないんじゃないかな」

「そうかな。バッシングされはじめた時点で、Bさんは知人に累が及ぶっていって、掲示板とメールフォームを残してリンクページとかを閉鎖してたのな。ところが、突然掲示板も削除。トップに『先方と和解が成立した。あちらの希望により、関連記事をすべて削除する。何か質問があればメールで』って謝罪文を出してサイトを畳んじゃった。でさ。当事者同士で解決したっていってるけど、納得できる?」

「え?うーん……解決したのはよかったと思うけど、なんかすっきりしないっていうか……急に蚊帳の外に追い出されちゃったみたいな感じが」

「だろ。ネットに純然たる第三者なんてないんだよ。誰でも見えるフラットな場所で発言してるって意識のない人間が多すぎる。天下の往来で無抵抗の相手に殴る蹴るの集団暴行を加えておいて、通行人にとがめられたら『アンタには関係ない』なんて通らないだろ。メールでのやりとりならともかく、公共の電波に文章をあげた以上、その時点でまわりの人間を巻き込んでるんだって。リンチの現場だけ見せつけておいて都合が悪くなったら『ハイ、部外者はここまで』なんて虫が良すぎる」

「そっか……ネットバトルの企画ページを作ったのはBさんだもんね。自分からこういうことをしてるってみんなに教えたんだから、話を広めた責任で、ちゃんと説明もしなきゃいけないのかもね」

「そゆこと。あのさ、誰だか忘れたけど、日本人の『罪』の概念が薄いのは神がいないからだ、っていった人がいたんだ。唯一神を持つ信仰の人は、いつも神様に見られてると思うから悪事を働くのにブレーキがかかるってことね。いままでの日本は『恥』の文化がモラルを支えてきたと思うんだけど、それもだんだん薄れつつあるからなあ……。でも、ネットに限っていえば、『神』はいると思うぜ、俺は」

「どういうこと?」

「いつどこで誰が見てるかわからないから。怖いぜ、ネットは。生粋のヲチャだったら消されそうなページは速攻ローカルに保存するし、サイトを消して逃げたところで、みんなでデータ持ち寄ってあっという間にミラーサイトを構築されちゃう。過去の悪事やら恥ずかしい発言やら、芋蔓式にたどって晒されたりな。ぐぐる先生やうぇぶあーかいぶ先生をなめるなよ」

「目が据わってるよ、太郎君……」

「web上のデータは簡単に消すことができても、それを見た人の記憶まで消すことはできない。悪事千里を走るっていうだろ?自分の発言がどこでどう伝わってるかなんてわからないんだぜ」

「そう思うと、ネットでの発言にはすごく慎重にならなくちゃいけないんだね。責任を持てないようなことはいっちゃいけないってことか」

「そんなにかまえるなよ。ネットでの発言だってリアルと同じだぜ。嘘をついてはいけません、人の悪口をいってはいけません、破ったらなんらかのペナルティがあるってのはどっちも同じだろ」

「そっか。そしたら、よくいわれてるネットマナーも、オフラインでのマナーを守ればだいたい大丈夫なのかもしれないね」

「本当のネットマナーってのはネットならではのマナー、たとえばHTMLメールはやめるみたいな、相手への配慮だと俺は思うんだがな。カキコ強制とか踏み逃げ禁止とか、そりゃオマエのマイルールだっつーの。それをさも常識のように広めるな……っと、話がそれたな」

「あんまり危ない発言はやめようよ……荒らされたら困るでしょ?それで、両者が和解してBさんがサイトを閉鎖して、騒ぎは収まったんだ」

「いいや。企画サイトの方は、イベントページも検証掲示板もそのままだったんだ。日記でAさんを『晒したあげくに本気で追い込む』と脅したCさんや、企画サイトで中傷レスを入れた人たちからは何のリアクションもなかったしな。で、今度は抗議がそっちに飛び火した。抗議された運営チームは次々に謝罪文をUPしたんだが、なんかテンプレでもあるのか、判で捺したみたいにBさんとそっくりだったぜ。Cさんはしばらく掲示板でレスを入れてたんだけど、やっぱり同様の紋切り型の謝罪文で閉鎖。あ、違うな。発端はあくまでAさん、加熱しすぎたBさんたちを止めなかったことのみが自分の過失で、Aさんへの非難は正当なものだったという主張がオリジナルだった」

「……」

「企画サイトもイベントページを削除し、謝罪文を載っけたんだけど、『今回の企画を楽しんでくださった方にも申し訳ない』とかよけいな文章が入ってたせいで、よけい抗議の声をあおる始末になった。このサイトはもともと期間限定で20日で終わる予定だったんだが、関係者に迷惑がかかるからと掲示板を消してさっさと繰り上げ閉鎖しちまった。結局運営チームはおろか、便乗して中傷してた常連からも謝罪らしいレスはつかなかったぜ。最後にUPされた謝罪文は、悪いのは運営チームであり、掲示板に書き込んだ投稿者たちに責任はないというものだった」

もうちょい続きます。

平成15年2月10日 実録ネット事件簿4

「でも、Aさんは本当に災難だったよね。出合い頭に交通事故に巻き込まれたようなものだもん」

「ま、Aさんの対応に落ち度がまったくないわけじゃなかったんだけどな。Bさんが掲示板にこの作品のことじゃないかって書き込んだとき、Aさんは最初はそうだってレスつけたんだよ。でも、Bさんのレスがつく前に別の作品のことだとレスを訂正してる。それをBさんは見てたんだ。あと、鯖落ちだって偽ってファイルを削除したことなんかも相手の気にさわったらしい」

「そうだったんだ……。もしAさんが最初からうまく対応していれば、ここまでことが大きくならずにすんだのかな」

「隠し日記でこっそりつぶやいたことにいきなり噛みつかれて、Aさんは怖かったんだと思うよ。相手は大手だしね。でも、嘘をついちゃいけなかった。そのへんの対応のまずさはBさん周辺の関係者にもいえることだけどな。下手に自己弁護したり事件をぼかすような謝罪文を書くから、よけい責められる。そりゃ、人間間違うこともあるよ。だけどきちんと経緯を明らかにして筋の通った謝罪をすれば、たいていの非難は収まるものなんだ」

「うん……本当に反省して落ち込んでる人を責めたら、その人の方が心ない人に見えるよね。もうやめなよって止めたくなると思う」

「Bさん周辺の人は一連の騒動に関する謝罪文を出して、掲示板を削除したりサイトを閉鎖した。だけどAさんが関連記事の削除を求めたことをお題目に、謝罪文には詳しい経緯を書かないし、当然Aさんの名前も載せない。事情を知らない来訪者には何がなんだかわからない。状況が見えないから、お気に入りサイトが閉鎖する原因になったAさんを恨んでる人もいる。それが抗議してる人たちには納得いかないんだ。だって、明らかにAさんの希望を利用してるだろ。中傷発言を削除するのと、口をぬぐって自分の不利になることを黙秘するのとは同じはずがないんだよ。勘ぐっていえば、メールでAさんにそういえって圧力をかけたんじゃないかとも考えられる」

「根拠のないことを軽々しく口にしたらだめだよ。でもそうか。そういう風に思われないためにも、メール同士で決着をつけるんじゃなくて、外から見える場所で話し合った方がよかったんだね。たとえばAさんとBさんたちが掲示板で話し合って、お互いが謝罪しあって納得して和解したんなら、そのあとまでこんな風にこじれることはなかったのかもしれない」

「そうだな。あと、Aさんにはあれだけ綿密に謝罪の仕方を指示したのに、自分たちの謝罪はまるでずさんなものだということも怒りをかってる一因なんだ。ダブルスタンダードもいいとこだろ」

「だぶるすたんだーど?」

「二重標準。相手によって不平等に判断基準を変えること。で、企画サイトで中傷してた常連たちはそれっきりトンズラしてたんだけどさ、ヲチャたちの怒りと執念は並じゃなかった。企画サイトに書き込まれてたHNとメアドを頼りに、本人たちのサイトを見つけだしたんだ。それで掲示板に突撃して追及した」

「そこまでしなくても……」

「だってひどい言い様だったぜ。オコサマ作文だの脳の代わりにメロンパンが詰まってるだの。ここではっきりいっておくが、もし仮にAさんが起訴したとしたら、奴ら侮辱罪で敗訴確実だから。それぐらいのことやっておいて、逃げて知らん顔してればすむと思ってる奴らを許容しちゃったら、ネットなんて本当の無法地帯になっちゃうだろ」

「それもそうか」

「自浄作用の働かない世界は最終的に、滅びるか、絶対的な力によって縛られるかしなきゃならなくなるよ。ま、話を戻して、中傷した常連たちだが。反省して謝罪する奴、しぶしぶ口だけの謝罪文もどき載っける奴、開き直って逆ギレする奴とさまざまだな。早いとこ改心した方がつきまとわれずにすむと思うが。Cさんも自分の言及は間違ってないというスタンスをかえてないから、サイト再開のあかつきにはまた相当たたかれるんだろうねえ」

「これだけの騒ぎになっちゃって、ほんとに再開するの?このまま閉鎖しちゃいそうだと思うけど」

「だって独自ドメインまで取ってるしな。あれだけ育ったサイトを捨てるのは惜しいだろ。ところで、俺は今回で絶対独自ドメイン取るのはやめようと思った。あそこまでレジスト丸見えじゃな……」

「……よくわからないけど、怖いから聞くのはやめる。でも、もうほとんど騒動は収束したんだっていったよね」

「まあいまだに細々とネタを提供してくれてはいるけど、そのへんは事件の主眼からはそれるから省くな。思うにさ。今回の騒動が収束したのは、事態が広まって、Aさんを擁護する第三者が大勢流入したからだと思うんだ。もし誰もBさんたちをいさめなかったら、もしくはそれをはやし立てるような発言が主流だったら、Bさんたちは謝罪するどころか、完全にAさんがつぶれるまで攻撃をやめなかったと思う。だからBさんがネットバトルのページを作って、それが人目に触れたことは不幸中の幸いでもあったんだ」

「そうだね。Bさんが急に態度を変えたのって、自分の掲示板で抗議があふれかえってからだもんね」

「事件の詳しい記録はこことかここ、あと考察はここダークマターさんとかも取り上げてる。当事者のHNがそのまま出てるところもあるから、知りたい人は自己責任で行ってくれ。たぶん、こういうサイトが作られることは、そっとしておいてほしいだろうAさんからしてみれば不本意だと思うけど、今回は事件が大きくなりすぎた。それにこの件をうやむやにしちゃったら、きっとまた同じことが起きると思うよ。二度と同じことを起こさないためにも、みんなの問題意識を高めなくちゃだめなんだ」

「うん。それに、ここまで大がかりじゃなくても、似たようなことはきっといろんなところで起こってるんだろうね。ネットは文章だけだから、細かいニュアンスが伝わらないこともあるし、顔が見えないことで気が大きくなる人もいるもんね」

「そうだな。たとえ顔が見えなくても、画面の向こうにいるのは同じ生身の人間なんだって忘れちゃいけない。あと、ネットにあげる文章は送信ボタンを押す前に一度深呼吸して見直す。それだけでもずいぶんトラブルが減ると思うぜ」

「うん。これからはもっと気をつけるよ。ところでさ、太郎君」

「ん?」

「この形式って、ふつうに事実を述べるより主観が入るんじゃない?」

「…………気にすんな」

平成15年2月11日 実録ネット事件簿 蛇足

「……蛇足って、なくてもいいものじゃなくて、ない方がいいもの、むしろあっちゃいけないものって意味なんだよなあ……」

「なに落ち込んでるの?っていうより、この対談前回で終わりじゃなかったの?」

「その予定だったんだけど、俺の言葉が足りなくて誤解を生んじゃったみたいだから、少し補足しておこうと……。あのさ。今回の事件はどうして起こったんだと思う?」

「え?AさんとCさんの作品の設定がかぶったから……」

「それはファクターにすぎない。トリガーはやっぱりAさんの日記だよ。もちろん、それでAさんがあそこまで追い込まれなきゃならなかったかっていうと、それは絶対に否だけどな」

「???どういうこと?」

「断っておきたいんだけど、俺が今回問題としたかったのは、両者の作品の類似性じゃない。俺は誰かと設定がかぶろうが、そんなの全然かまわないと思う。意図的にパクったんじゃなきゃ、どっちの発表が早かったとかいう主張も無意味だよ。自信を持って胸を張っていい。有名な言葉だけど、『物語のあらゆる要素はすでに神話に出尽くしている』っていうだろ。今回の両者の作品の相似点だって、猫の擬人化という点だけなら、両方『吾輩は猫である』のパクリってことになっちゃう」

「そっか……全然知らなくても似た作品になることだって、絶対にないとはいえないもんね。これは誰かがもう使っている設定なんじゃないかと疑いだしたら、創作なんてできなくなっちゃうよね」

「盗作や剽窃は創作意欲を枯渇させる憎むべき害悪だけど、パロディ、パスティシュ、オマージュは大いにけっこう。どんどんやれ。同じような設定だって、書き手が十人いたら十通りの味付けがあるし、読み手によって好みもそれぞれ違うだろ。似てるから排除するなんて馬鹿馬鹿しいことだぜ」

「そういえば、ロミジュリと金色夜叉は似たような筋立てだけど、ネタかぶりとは思わないなあ。どっちもそれぞれの雰囲気がすごく好きだよ」

「だろ。で、だ。俺は今回の事件は、関係者たちが文章を公開する影響力を正しく認識していなかったことが原因だと思う」

「え?」

「いったん公表された文章ってのは、書き手の手を離れて一人歩きするもんなんだよ。Aさんはあの日記を相手に見せるつもりなんかなくて、ただの気晴らしに愚痴っただけなんだろう。Bさんたちも中傷文をネットにあげた当時はこんなにバッシングをくらうなんて思ってもみなかっただろう。だけどその結果、これだけの人を巻き込む大騒動になっちゃった」

「うん……。たとえば、Aさんが愚痴をアナログの日記帳に書くにとどめたり、BさんがAさんとのやりとりを最初からメールですませていれば、こんな風に事件にまで発展しなかったかもね」

「すべての文章は人に読まれるために存在している。公開された以上、絶対にそれを読む人がいて、なんらかの感想を抱くんだよ。そして、書き手がその文章の受け取り方を完全に誘導することはできない。現に今回だって、本人たちの意図をはずれて事態が発展してるだろ。両者にいえることだが、その文章を読んだ人間がどんな気持ちになるだろうかということに考えを及ぼせなかった点が、今回の事件の最大の元凶だと俺は思ってる」

「文章を公開するときには、読み手の視点に立って、自分の文を客観的に見られなきゃいけないってことがよくわかったよ。Aさんたちも、今回のことできっと発言には慎重になるだろうね」

「どうもBC周辺はログをあさった限り、過去何度も同じようなパーティーアタックを繰り返してたっぽいけどな。人を毒舌で叩き斬ることで尊敬されてきた人たちらしいからさ。今回で痛い目を見ただろうから、そういうパフォーマンスはもうやめてくれるといいんだがな。つか、俺、自称毒舌とか毒吐きとかいってる奴って、正直嫌いなんだが」

「またそういう危険なことをいう……。やめようよ、むやみに敵を作るようなことは」

「だってろくな奴がいたためしないぜ。単なる暴言とかわがままを毒舌なアタシ、かっこいい!と思い込んでる勘違いチャンとかな。ほんとの毒舌家ってのは自分からそんなこといわないし、裏に人に対する思いやりがあるから、心底傷つけるようなことはいわないもんだ。泉谷しげるとか松山千春を見てみろよ」

「いわれてみれば、好き勝手なこといってるけど嫌味がないよね。チャリティーコンサートとかしてるし、けっこう優しい人たちなのかな」

「毒舌なんてのは一本筋が通ってて、自分に対して厳しくないとカッコつかない。吐いた毒が自分にそのままあてはまるようじゃちゃんちゃらおかしいぜ。暴言とばして悦になってる奴やそれをありがたがって持ち上げてる奴は、適切な言葉も選べない社会不適合者なんだって気づいてくれ、頼むから」

「それって、太郎君のことだね!」

「ほっとけ」

※このコラムは読み物であり、文中の主張は越智太郎の言い分です。

平成15年2月12日 実録ネット事件簿 顛末

「……あちゃーあ……」

「今度はなに?」

華麗に たろたまにあヽ(´ー`)ノさんからリンク貼られてるや。最近俺、すっかりたろたまスレの速度についてけなくて3・4スレ遅れて追ってたんだけどさ、事前に10-173さんの発言見てればリンク貼らなかったのに……」

「HIT数多いサイトに拾われて後込みするくらいなら、最初から威勢のいいこといわなければいいの!ていうか、それならリンクはずしてもらったら?」

「こっちが先にリンク貼っといてそれは筋が通らないだろ。それにネットはリンクフリーだっていうのが俺の持論だからさ。ホント、ネットって自己責任だよな。ふふ、ウフフフフ……」

「涙目になってるよ」

「……まあ、気を取り直して。今回の事件の中核だったBさん・Cさんだけど、それぞれのサイトに動きがあった」

「えっ、本当に!?ど、どうなったの?」

「まずBさんな。自サイトトップに改めて謝意を表明し、時系列に沿った事件の経緯説明と、自分なりの動機をつづったページをUPした。和解の条件となったAさんの希望もあきらかにして、三日間限定だが掲示板も設置した。Bさんの掲示板のレスを見てきたけど、いままでに比べたら格段に誠意のある対応だったぜ。少なくとも俺は好感を持った」

「そっかあ……。いろんな人たちの訴えかけが通じたのかな。わだかまりは簡単にはなくならないだろうけど、これがきっかけで、少しずついい方向に向かっていけばいいね」

「ただ、BさんはいまでもCさんは悪くない、責任は自分にあるって姿勢は変えてないんだよな。Cさんがメールや掲示板でAさんを喧嘩腰に追及したり、日記で脅すような文章を書いた事実は厳然としてある。そこがクリアされない限りは、今回の事件を追及してきた人たちは納得いかないと思う」

「……いくら友達だからっていっても、どうしてBさんはそんなにCさんをかばうの?お世話になってたっていうけど、そこまでするほど恩義のある人だったの?」

「あー、俺も門外漢だから、見当はずれの分析になるかもしれないけど……。あのさ、心理学用語なんだけどメサイア・コンプレックスって聞いたことある?」

「コンプレックスは、劣等感って意味だよね?メサイアは、うーん、メシアのことかなあ」

「コンプレックスと劣等感は本来は区別されるものなんだけど、説明が長くなるからはしょるな。『抑圧』や『葛藤』といった無意識の強い情動と結びつきのある一種の神経症的心理で、『人を救う』ことに関するコンプレックスのひとつだよ。つらくて苦しい、誰かに助けてほしいといった感情を抑制している人は、同じような状況にある人を見ると、自己の抑制している感情を投影しやすくなる。これを防衛機制のひとつで『投射』っていうんだが」

「ああ、何となくわかる気がする。自分と同じようなつらい思いしてる人に会うと、すごく同情しちゃうよね。親身になってあげたくなる」

「でだ。投射をおこなった人は、抑圧された自分自身の感情を満たすために、対象を救おうとする。対象と自分を同一視し、対象を救うことで自分自身をかりそめの満足に導くわけだ。これを適応機制の『代償』とよぶ」

「そっか。自分自身は自分がつらいことに気づいてないから、無意識に人を救って、自分が救われたつもりになろうとするんだね」

「そういうこと。あと、『補償』や『逃避』が原動力となる場合もあるな。人を救うことで相対的に自分自身の存在を肯定する、自分の苦境から目を背けたい、そんなパターンか。ま、こんなのただの素人の当て推量だから大して的を射ちゃいないだろうが。でも、BさんはCさんのやったことをきちんと見つめてあげてほしい。無条件にかばいあうだけが友達じゃないだろ?逆にBさん一人が罪をかぶろうとすることで、Cさんが引き返す道を閉ざしてしまうことにもなりかねない」

「うん。身近な人だからこそ、苦言にも耳を貸してもらえるかもしれないよね。親しい人に注意をするのは勇気がいるけど、ほんとにその人を大切に思うんなら、間違ったことをしたら指摘してあげるのも優しさだと思う」

「Bさんは自分の後始末に足を踏み出したから、俺は黙って見届けたいと思う。しんどいだろうけど、自分がやったことなんだから、ふんばって乗り越えてほしいな。問題はCさんの方なんだよなあ……」

「Cさんは謝罪したんじゃなかったの?」

「Cさんは9日にサイトトップの謝罪文を書き換えてたんだけどさ。相変わらず自分の不利になる経緯の説明はいっさいなく、Aさんの非ばかりをあげつらってた。で、『自分の攻撃によってAさんのサイトが閉鎖したという事実はない。いままで書いてきた文章で叩かれたことはないので、今回も言葉の醜さは問題だとは思っていない。企画サイトには自分は関係してないが、運営チームとして名前だけは貸していたのでその点は謝罪する。自分に嫌がらせをしてきた者がいるが、公的機関に相談中である』と一方的な主張で締めくくってた。……えーと……。ゴメン、俺この人と、どうやってディベートしたらいいか思いつかない」

「…………」

「ある意味、うらやましいくらいの逞しさだよなあ」

「私、あんまりうらやましくないなあ……」

平成15年2月14日 実録ネット事件簿 終幕

「モシカシテ コレハナニカ サラシアゲノイッシュナノデスカ トクホタン……」

「一人でぶつぶついってないで本題に入ろうよ」

「おまえ、つれなくなったな……。まあいい。11日に開放されたBさんの掲示板には、一般公開される前から怒濤の勢いで質問が殺到した。三日間限定だから14日で閉鎖されたけど、レスしきれなかった書き込みへの返答も、なるべく早くつけた方がいいな。遅れれば遅れるほど、やっぱり逃げてると思われちゃいかねないからさ」

「耳が痛いものも多いだろうけど、それはきっとみんなの本心からの意見だよね。落ちついてからでいいから、ひとつひとつゆっくり目を通してみてほしいな」

「実際、あれだけの意見を一人で相手するのは相当精神的にきついと思うよ。Bさんのレスに納得できない人もいるだろうけど、叩かれるのを承知で意見の交換場所を設置し、姿を現したことは評価できると俺は思う。引っかかる発言がないわけじゃないけどな。でさ。この掲示板でのやりとりが、意外なところに波及したんだ」

「どう?」

「14日早朝、Cさんが自サイトTOPの謝罪文を書き直した」

「ほ、本当!?」

「Cさんはいままでかたくなに自分は悪くなかったという主張を押し通していた。で、Bさんの開設した掲示板を見て、やっぱり外野は難癖つけてただ吊し上げたいだけなんだと最初は怒ったらしい。でも、掲示板に書き込んでいる人の多くが、Bさんに『お疲れさま』というねぎらいの言葉をかけていた。やさしく気遣う書き込みをする人もいた。それに気づいて、Cさんは周囲が理由もなく自分たちを攻撃していたんじゃないと思い至ったんだ。今回の謝罪文ではじめて、Aさんの友人やこの騒動を目にした人たちに向けて、Cさんの口から明確な謝罪の言葉がでている」

「なんか感動しちゃったよ……。ようやくわかってくれたんだ。これもあきらめないで説きつづけた人たちがいたからだよね。努力すれば、やっぱり人は分かり合えるんだなあ」

「Cさんの経緯説明は依然自分の視点で、Aさんの非の記述に大部分を費やすところは変わってないけどな。肝心のAさんへの謝罪がないのは、百歩譲ってお互いにメールで解決済みだからと見よう。正直いうと、サイト削除して逃げたり、本心では舌出してても表向き頭だけ下げて穏便にすます方がずっと楽だと思うよ。謝罪しながら自分の主張も曲げないのは、ある意味誠意のある態度だともいえる。あとは記録サイトなり考察サイトなりにリンクを貼ってくれれば申し分ないんだが」

「Cさんも謝罪したんだし、これで一連の事件も落ちつくんじゃない?そしたら、記録サイトにリンクを貼らなくてもいいんじゃないの?騒ぎが収まったら近いうちに削除されるんだろうし」

「今後、BさんやCさんが掲示板を設置するかサイトを再開するかしない限り、これを区切りに騒動はだんだん下火になるだろうね。ただ、今回作られたサイトはこのまま存続していくはず」

「事件が鎮まっても、記録サイトって残されていくものなの?」

Style Lessパクリ騒動なんかは、いまだになんかあると悪しき先例として引き合いに出されてるぜ。たとえが良くないんだけど、時効ってあるだろ。刑事訴訟法250条で規定される『公訴時効』の主な存在意義は、法律の解説書によれば

(1)犯罪が行われてから長い期間が過ぎると、社会に与えた犯罪の影響も薄れ、処罰の必要性が弱まる(2)証拠が散逸して、正しい裁判が期待できなくなる

から、ということなんだよ。ネットにおいては、この二点ってあんまり重要性をもたないからな」

「どういうこと?」

「まず(2)だが、ネットは情報が広まるのが非常に早い。だから目撃者が多く、事件の関連ログがすみやかに集まることが多いんだ」

「今回の事件も、表沙汰になってすぐにいろんな資料が集まったもんね」

「それから(1)な。web上の資料は誰でも簡単に閲覧できるゆえに、事件をまったく知らなかった人が偶然たどり着くこともある。はじめて知った人にすれば、そのとき事件が起こったのと同じことなんだよ。当時の関係者にとっては風化した出来事でも、そうした新規の参入者たちの手でどんどん流布されていく。そういった意味で、ネット事件に時効はないと思った方がいい。本当に反省して謝罪した人を叩くのはどうかと思うけどな」

「事件を起こしちゃった人には、重い枷になるんだね。でも、ネットって同じ人の再犯や似た事件の発生率がすごく高いし、仕方のないことなのかな。本当は、そういうサイトが作られないのが一番なのにね……」

「記録サイトや検証サイトは当事者を叩くためのものではなく、事件を広く知らしめ、同じことを起こさないための抑止力として価値がある。願わくば、それを目にした人たちが同じ轍を踏まないことを祈りたいな」

「私も肝に銘じとく。何かあったら、友達にも教えてあげるように心がけるよ」

「大きな展開がない限り、この事件を取り上げるのは今回で最後にするな。某スレの論客たちの意見には俺もすごく考えさせられたし、勉強になった。俺はROM専だから、ここでこっそりお礼をいわせてもらうよ。ありがとまにあヽ(´ー`)ノ」

「……なに?それ」

「秘密の合い言葉。深く考えるナー」

アドレナリンショック死。

2003年 2月14日 (金)

最近だらだらと更新もせずにいたら、Tさんからのメール。更新が遅れているので心配してくれたのだが、そのついでに「今、こんなネットバトルが話題になっているのを知っていますか」と、とあるサイトを教えてくれた。(かなり話題になっているようなので知っている人も多いだろう)

うーん。はじめて知った。事件の中心になったサイトも、どれもこれも見たことないところばかり。資料が多すぎて最初はひるんだけど、上記の検証サイトの文章は読みやすくてよくまとまっているので、二日かけてむさぼり読んだ。特に「考察1・2」は必見。何が起こったかも時系列に沿って記述してあるので各自読んで。よーするに、

  1. Aさんが自分のサイトの日記で「自分が書いた小説に似ているものを見つけた。(自分の方が)パクったと思われたらイヤだな」とつぶやいた。
  2. Aさんのサイトからリンクを張られているBさんが、「それはCさんの書いた小説のことを言っているのか」とBBSで質問。パクリ疑惑をかけたことについて非難。
  3. 問題の小説の作者である大手サイト管理者のCさん(Bさんの友人)も登場。同じくAさんを非難。

ってなことが騒動の発端だったと。んで、非難を浴びたAさんは全面的に謝罪してサイトを閉じたが、Cさん側の怒りは収まらず事態は泥沼へ。ところが、謝罪した人間をいつまでも叩きすぎたせいで、某巨大掲示板の野次馬たちにも騒ぎが飛び火して逆にB・Cさん側への叩きが始まる。結局BさんCさん他、関係者全員がサイトを閉じて謝罪。ところがその謝罪に反省の色が見えないとの理由から、現在もなお騒動はおさまらない(※以下繰り返し?)。だそうだ。

うちの掲示板でもたまに殴り込みがあったりしてゴタゴタが起こるんだけど、管理人が着火型のわりには飽きっぽくてすぐうんざりするのと、常連さんが頃合いを見て消火に回ってくれるため、いつも事なきを得ている。荒れている間は確かに野次馬が集まってくるが、上記のような大騒ぎにはなったことがないのは、冷静な常連が多いせいじゃないかと思っている。管理人がバカでカッとなりやすいので、これでバランスが取れているというか。まあ所詮は弱小サイトだからなんだけど。危うい所でいつも助かっている幸運を今さらながらにかみしめた。失言と暴言ならAさんの比じゃないからなあ。

しかしこの事件の経緯を見てみると、常連がそろって火に油を注いでいるようなので理解しがたい。特にこの「BBS「ぱくられちゃったかも!」と訴えるサイト登場!」というのをBさんが設置した意図がさっぱり。Aさんの作品をBさんを中心としたお仲間がみんなで貶して、「Aさんの作品よりCさんの作品が優れている」→「優れている方が劣る方をパクるなんてことはありえない」→「よって、Cさんの作品はパクリではない」という無茶苦茶な三段論法を用いて、パクリではないことを証明しようとしている。

いや、そもそも前提が間違っているので証明できっこないんだけど。しかも「Aさんの作品よりCさんの作品が優れている」という評価も、この小集団内における主観に過ぎないんだけど。それは言わずもがなとして。Aさんが謝罪・閉鎖後にこの仕打ちはないだろうと思う。

もっと理解しがたいのはCさんの行動で、Bさんたちを止められる人が内部にいるとすれば、彼らの慕っているネット界の大御所・Cさんだけだったと思うのだが、完全に傍観している。(日記やBBSでAさんを叩いていることから見て、止める気はなかったんだと思うが)べつに「責任回避だ」と咎めたいわけじゃなくて、わたしがCさんの立場だったら、こんなことが起これば自分のために慌てて鎮火に回ると思うからだ。論拠がムチャクチャだから見ていてどうしようもなく恥ずかしいので、いくら自分の作品の擁護だろうとやめてくれと泣いて懇願する。

つーか、たとえどんなに画期的な論法を発見して、「Cさんの作品はAさんのパクリじゃない」と証明できたとしても、Aさんが「自分の作品に似ている」と思ったことまでは変えられない。つまり、他人の感じたことまで変えさせる権利はない。BさんCさんたちは「人目につく所に証拠もなしに疑惑を書いた」ことについてAさんに謝罪を要求できても、それ以上の権利、「パクリじゃないと確信しろ」と要求する権利まではないのだ。(大体そんなことはCさんではない以上、Aさんにわかるわけがない)

しかるにAさんが軽率な記述をしたことを謝罪してサイト閉鎖した時点で引き下がらず、「誠意が見られない」「『似ている』と発言したことに対しての謝罪を要求しているのではない」と言って責め立てたり、上記のBBSでAさんの小説を貶めて、「レベルの低い小説の作者はパクリ疑惑を持つことすらおこがましい」という方向へ話を誘導したのは何故か。わたしはどうしてもAさんに、「パクリだとか似てるとか思うこと自体許せない」と迫っていたようにしか見えない。しかし思っちゃったからこそ日記に書いちゃったんであって、今さらそんなことを要求しても不可能なんである。無茶しよるなー。

いや、それはそれとして。「なんでCさんが常連を止めなかったのか」という抜きがたい疑惑は残るわけですが。責任者としてはもうどーでもいいので、あくまで自分の保身のために、あの三段論法にもなっていないパクリ検証という名の中傷だけでも止めるべきだった。逆に、常連はなぜ火に油を注いで、Cさんのサイトを結果的に荒らすことに荷担したのか、というのも不思議なんだけどね。一サイト持ちとしていろいろな教訓を得ましたわ。無名サイトだから大丈夫、とか言うてる場合じゃないな。

地獄の坂の敷石は〜善意・善意でできている、と。(この場合は「正義・正義」か)

補足。

現在も当事者の一人であるBさんが、自サイトに設置した特設掲示板で、閲覧者からの質問(と非難)に一人で答えている状態なのだが、ありゃ大変だろう。とても読み切れる量じゃない。(このことからも、どれだけ多くの人が注目している事件かがわかるんだけど)

どーでもいいけど、質問はともかく単に自説を展開したい人は、自分のサイトで書けばいいと思う。文章を書き慣れている人が多いようだし(全部読んだわけじゃないけど)、サイト持ちが多いんだろう。最近忙しかったり体調も悪かったりで更新が途絶えがちなわたしとしては、他人事ながら勿体なくてしょうがない。そんな長文書くヒマがあったらサイト更新すればいいじゃん。匿名で持論をぶって楽しいものかなあ。とまあ、自分ちのBBSでさえレスが滞りがちなわたしだからこその感想を抱きました。あー、あんまり長文ばかり読んでると眼精疲労から頭痛が。

友人と電話で大岡越前の話をしていて(なんでそうなる)、有名な「大岡裁き」の話になった。前にも書いたかも知れないけどもう一度。

二人の女が赤ん坊を取り合って、私の子だと言い張り譲らないので、越前守は「お互い綱引きのように子供を引っ張り合って勝った方が母親」と無茶を言った。ぐいぐい両側から引っ張られて子供が泣き出すと、片方の女は見ていられず、手を放した。越前は「子供を本当に愛しているのは手を放した方なので、おまえが母親」という裁きを下した。

という話なんだけどね。

「でもさー、『勝った方が母親だ』って言われたら本当の母親は必死になるに決まってるよね。だって、永遠に自分の子供を奪われるかもしれないんだもん。他人に取られた後の子供の運命とか考えれば、どんなに可哀想でも一時心を鬼にしてぐいぐい引っ張っちゃうかもね。大岡越前って母親の心理を解ってないよ」

と、一児の母親である友人は抗議した。(わたしもそう思う)

しかしこの「大岡裁き」は、大岡越前の賢明さを語る時に引き出される逸話なので、「そんなのありかよ」「越前ずるい」と文句を言ってもしょうがないわけで。

つーか、これとそっくり同じ話が旧約聖書にあるってのも有名な話なんだけど。「列王記」におけるソロモン王の逸話。

イスラエルの王ソロモンのもとに、子供を取り合う二人の女が裁きを求めてやって来た。ソロモン王は、「子供を二つに裂いて、一人に半分を、もう一人に他の半分を与えよ」と命じたところ、一方が驚いて、「殺さないでください。私はその子をいりません。もう一人の女に与えてください」と譲り、もう一方は「いい考えー。早く二つに裂いてよ」と喜んだので、譲った女を本当の母親だとした。

そのまんま。

時代から言ってソロモン王の方がオリジナルであることは確かなんだけど、やっぱ日本人には大岡裁きの方がなじみが深いよな。でもキリスト教ベースの欧米で、大岡越前の明哲なお裁きを証明するためにこの逸話を持ち出したら、鼻で笑われるんだろうな。ということでおともだちにも、「アレは聖書のパクリらしいよ」と教えておいてあげました。

つーかまったく関係ないけど。

「ソロモン王が大岡越前の裁きを噂に聞いて、『余の裁きと似ている』とポツリと漏らしたところ、越前守とそのシンパが『パクリって言っただろ?謝罪しろや』と怒りだし、ソロモン王が泣きながら謝罪してイスラエル王の座を退位しても、『退位して済むと思ってるの?』『追い込みかけますから』と宣言」

という展開が、頭の中をグルグルしてしょうがない。

2003年 2月20日 (木)

前略

先日の雑記で言及したネットバトル騒動ですが、なんか不思議な展開で終息しつつあるようです。紹介した検証サイトの管理人さんがボクの終戦工作なるテキストをアップして、「一抜けた」宣言をしている。あまりにもこの徳保さんという人の考察文の出来が良すぎたため、世評が妙に高くなった上に騒動は収まらないってんでいいかげん疲弊してしまったようだ。

ウチも含めて、ふだん他のサイトにあまり言及しないようなとこまでリンク張って語るくらい有名になっちゃったからかね。テキストサイトのことをほとんど知らないわたしでも興味を持ったのは、検証サイトのおかげだと言っていいし。確かに果たした役割は大きかったと思う。

「終戦工作」つーテキストは、広く支持を集めた「考察1・2」の主張を覆すもの。「考察」における糾弾対象であった大手サイトの管理人さん(14日の雑記参照)に対して、「悪いと思ってなくてもいーからとっとと謝っちゃいなよ」と、裏工作をしていたメールを暴露したもので、内容自体はさもありなんと思ったもののそれをサイトで公表したのには驚いた。

もともと、「自分が納得するために」だけ考察したり論理を構築することに慣れた人(自己完結型)は、思惑以上に他人から支持を受けると戸惑うもんだろうと思う。基本的に自分を納得させるためのロジックなんであって他人様を納得させることが主目的ではないからだ。(ってのはよーするにわたしのことなんだが。理解してもらえれば、それはそれで当然嬉しいもんだけど)

徳保さんはメールのやりとりで、考察(自分のための論理や倫理観)を用いて相手を説得する試みを放棄してしまっている。どれだけ自分的には隙なく作られ、大勢に支持された論理でも、強固な意志や価値観を持った相手には無力であるってことを知ってる人だなーと推測。

わたしはその無力感を何度も感じているし、また逆に、「あんたの論理がどうであろうと、それはあくまであんたの理屈であって、わたしには通用しない」と突っぱねた経験もあるので、「筋さえ通っていればわかってもらえるはず(あるいは、相手をやりこめられるはず)」と確信している人間の無邪気さには日頃から辟易している。人間はそう単純な生き物じゃない。

だからまー、「『正しいことを言いさえすれば常に勝てる』と確信して生きている人間のお目出度さ」を感じないという点で、この人の文章には、必然的に好感を抱いたわけですが。相手の価値観に手をかけることを放棄した以上は、騒動を収めるための技術的方便を与えるしかないわな。(わたしは「話にならない」と思ったら、コミュニケーション遮断して、「勝手にして下さいモード」に入るけど。実際、根気のいい人だなあと思う)

とはいうものの。「人を動かして説得しようとする者は、まず己が感動し、己を説得しなければならない」という格言があるわけで。 自分のロジックにすら酔っぱらえない人には他人の説得は難儀を極める、とあらためて思ったんだった。

つーかこの人の文章(終戦工作)にはすごい人間性に対する諦念や厭世的距離感を感じるのに、感じ悪く見えないところがおもしろい。(「鬼の人帰り」とかもいきなり出てくるし・・・小松和彦か)

後略

BIBLIOTHECA

ネットバトル

1月末から2月はじめにかけて、規模の大きなネットバトルがおこり、関係した複数のサイトが軒並み閉鎖するという事件があった。詳しい経緯は以下のリンク先を参照のこと。

インターネットは記憶のメディアだって言ったのは勝谷誠彦だけど、騒動の発端から一字一句が記録され、将来に渡って誰にでも参照可能な状態で保存されているということを可能にするメディアはそうそうあるものではない。件の騒動は、かなり極端なパターンであるとはいえ、人間のもつ悪意というものが実生活の中でどう発現するのかという実例であり、関係者は全て、程度の差はあれども、市井の無名人である。つまりマスコミが注目するような大事件ではないが、逆に誰もが関係しうる日常の延長上にあるような出来事の、具体的詳細な記録である。ネットの上で完結するような行動というのが可能になって、それについては全ての記録が残るということ。インターネットによって変化していく世界の、これは新しい一つの側面ではないか。

おっと忘れてた

下の日記の続きです。大事なリンクを忘れてました。

これは寓話です。事件が人口に膾炙して、物語となる過程までもが、ネット上に記録されているわけです。 事件の生々しさが昇華されて、いい話に仕上がってます。ラストなんてちょっと目頭が熱くなったり。

2ちゃんねるというシステム

昨日のリンク先華麗に たろたまにあーヽ(´ー`)ノにシステムとしての2ちゃんねるの利用法という話があったんで、ちょっと考えた。2ちゃんねるとは、そもそもどういうシステムなんだろうか。

サブジェクトごとに関心のある人間を集めて、知識、意見を抽出集約してその影響力を増幅させるシステム、といったところだろうか。参加者はあくまでも個人なんだけれども、スレッドの中での意見交換を通して認識が共有化されていくことで、一つのシステムとして機能することが可能になっている。スレッドごとに独立しているんだけれども、複数のスレッドで横断的に意見交換がされることもあるし、なにより「2ちゃんねらー」という自称や独特の2ちゃんねる用語の共有など全体としての連帯感が存在している。全体で一つのシステムと見ることは可能だと思う。

規模が巨大である、ということにはより多くの意見を集約できるメリットと、屑もいっぱい集めるというデメリットがある。単なるバカもやたらと頭のいい人も、感情的な人冷静な人、専門知識に詳しい人詳しいフリしてる人、雑多な集合体は愚劣な混乱に陥る危険性も大きい。それを免れて秩序を作っているというのは、やっぱりすごいことなんだと思う。幾度かの混乱の中から、自治による秩序を獲得していく過程には、「民主主義の実験場」という言葉を連想してしまう。

利用法を考えるという時には、そのシステムの秩序に対する信頼感が問題になってくるんだと思うが、このへんはまた今度。

The Day After

やっぱり「たろたま騒動」をここまで盛り上げたのは徳保氏の「華麗に たろたまにあーヽ(´ー`)ノ」の影響が大きかったんだろうなあ。「贖罪と赦し」を模索する姿勢や抑えた筆致で要点を絞った考察が、いわゆるネットバトルに縁の薄い人にも訴求力があったし、「火のない所に煙を立て」るという一言で焦点を剔出してみせることで事件のわかりやすい解説としてなにより利用しやすかったから。紛争の沈静化を願い、「社会的制裁」を招くことになる「たろたま周辺」の暴走を彼女たち自身のために悲しむような「考察」の文章は、皮肉や敵意に満ちた文章の溢れる中では価値中立的・客観的な観察に映ったのかもしれない。「加害者」と目された当事者の内面に向かう「考察2」は、これだけ読めばむしろ加害者側に感情移入しかねないくらいだし。しかし、だからこそ逆に、感情移入しきれないそもそもの謎、疑惑の段階で嬉々として釣りを始めた「火のない所に煙を立て」る異常さが際立った。

結局、徳保氏の「考察」の言葉をそのまま借りて責め立てるような文章がふえてったからなあ。「掲示板への突撃」自体は社会的制裁として正当化する一方で、紛争の沈静化を模索する文章が紛争の拡大に寄与しているという矛盾に悩んだ末の徳保氏の選択が、自サイトを敢えて貶める「自爆」だったんでしょうか。

2ちゃんの世間、広いか狭いか

えー、忙しいときに限って逃避的ヒマつぶしに没頭する、というわけで、「たろたま騒動」の盛り上がりを量的に検証してみたいなぞと思いつきました。関連の2ちゃんのスレでIDを数えてみれば、書き込んでるおおよその人数が見当つくのではないか。

まあほぼ一日一スレが消費されてったわけですが、スレッドごとに数えると150〜300、全スレ合わせて時間で区切って数えると、一日あたり平均で270個のIDがありました。全ての人が1日おきに書き込んでるとすれば540人。どうだろ、400人前後ってくらいで、当たらずといえども遠からずでは。

地涌の名無しさん

て、点呼してるし…… たろたまにあーヽ(´ー`)ノ

2月24日0:40現在、呼び掛けからほぼ丸2日で120人。でも103番がいないような気もしまつ。 ほぼROM専という人が34人、1スレ(脳内)以前からと言う人が40人、コメントなしが58人でした。乙ー。

わたしもダークマターで知ってずっと見てました。多分騒動自体よりも、徳保氏の解釈の方に興味があったんだと思います。氏のサイトで紹介されてる言及サイトにもいろいろ興味深い視点があって、しばらくいろいろと考えるタネができました。

酔いどれ猫屋敷

たろたま騒動について

*今回の件に関して、これ以降追記する予定はありません。事態が収束するであろう頃合いを見計らって、UPした文章も削除しようと思っています。もし叶うならば、今回の騒動に関連する形でのリンクもできればご遠慮したいかなぁ・・と思っております。いきなりのアクセス増で、正直びびっているのもあります。・・へたれでごめんなさい。

すいません。本音言わせてください。・・・なんでウチのサイトなのよ・゚・(ノД`)・゚・
(他のサイトだったら良かったのに、とか、そういう意味ではありません。誤解ないように) 2003.2.8

たろたま騒動について
  • 2003年2月7日

まず、私信として那智(偽)様へ。

事情のわからない方も閲覧されると思いますので、申し訳ありませんが書き込みを転載させていただきます。(なお、BBS上の該当投稿記事は混乱を避けるため削除いたしました。心情、ご理解ください。)

[150] 無題 投稿者:那智(偽) 投稿日:2003/02/06(Thu) 14:22:22

たろたまBBSログの書き込みを見てお邪魔しました。玉のサイトに何度か書き込みなさっていたようですが、おたくもたろたまーですよね?貴サイトでは今回の件に何も反応していない模様ですが、たろたまーとして今回の祭りについて何か意見はないのでしょか?うちらのおかげで、ばかやったヲバ厨の方々も(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブルのようです(w

あなたも自サイト潰されたくなかったら、たろたまなんかに味方せずに黙って見てた方が得策ですよ。返事お待ちしてますねぇヽ(´ー`)ノ

一言だけ言わせてください。あなたが当サイトBBSに書き込まれた『自分のサイト潰されたくなかったら〜味方せずに黙って見てた方が得策』・・という一文。これはおどしですか?怒りや呆れを通り越して、とてもやるせない気分になりました。

文面から、騒動に対してお怒りになってるのかな?と読みとれるのですが、この一文は許せるものではありません。例の騒動を起こした面々の行為も酷いと思いましたが、あなたの書き込み内容はそれに匹敵するような卑怯な行為だと感じました。現時点で私自身が確認する事はできませんが、もし同じような書き込み、もしくはメールなどを他のたろたまー(イチ閲覧者たち)のHPにもなさっているのなら、どうか、どうかお辞めください。もう少し冷静になって行動なさってください。

これ以上、騒動の輪を広げるような、巻き込まれた誰もが得をしない情けない行為を続けるような事はお辞めください。書き込んだあなたが、人の心を理解できるのなら。

***

さて。書くつもり無かったんですが、やはり状況的に意見を述べなくてはいけないのでしょうね。

※尚、この『たろたま騒動』に事の顛末については私は詳しく書く気になれませんので、興味のある方は下記リンク先をご覧ください。纏めている方がいらっしゃいます。

今回の騒動で感じたこと

私がよく書き込みに行ってたサイト『たろたま』および『プリシラ公園(こちらは閲覧のみ)』『いろは中毒(閲覧のみ)』(騒動に参加したお仲間たち)が起こした今回の騒動は、後から知ったので、当初何が原因だったのか把握するまで一苦労でした。色んなサイトを廻り、事の次第を知った時かなり複雑な気分になりました。騒動を起こした方々は皆、掲示板でお見かけしたお名前ばかりだったからです。状況を把握し、その人達に抱いた感想は『失望感』と『とても悲しい気持ち』だけでした。

何を馬鹿なことやってるんだろう。何故誰もその異常さに気付かなかったんだろう。

騒動の顛末を追いながら各サイトを巡ると、どこも謝罪文だらけ。ほんの一週間前まではみんな楽しくレスを付け合っていたというのに。ただ不思議と怒りは無く、悲しいだけでした。彼女らが許されない行為を行ったのだ、という事はわかっているけれど、それでも私は彼女らに対し、怒りの気持ちは湧きません。叩いている方たち、弁明を続ける彼女たち、双方の気持ちが判るから、だから悲しいのです。

たろたまと私の繋がりについて

騒動の中心である『たろたま』へは、管理人・間宮様の人柄に惚れ(猫好きということでも惹かれるものがあったし)、BBSでの色んな世代の方々とのレスの応酬なども楽しく、時間の空いた時にBBSへ書き込みなどさせていただいていました。毎日の巡回先としてブックマークし、BBSを読み、常連さんたちの会話を楽しみ、自身書き込みやレス付けを楽しむ・・。たろたまと自身のお付き合いはそんな感じでした。まあ、他のイチ閲覧者と同じ立場だったとお考えくださいませ。

私自身は今回は事の経過を見守ろうと心に決め、サイト上でも特に触れることなく静観の構えでいようと思っていたのですが、こうなってしまった以上しかたありませんね。自分の姿勢だけでもはっきりさせようと、急遽、上記のような(多少感情的な)文章を立ち上げました。今後、騒動の元サイトとどう係わっていくかは今のところ考えておりません。様子を見てってことで。

参照リンク

今回の文を閲覧されて不愉快な気分をされた方々には、心よりお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。

当サイトで起こった騒動について・その後

2月7日に当BBSに書き込まれた一件で当サイト上で事の経緯をUP後、書き込んだ本人から謝罪のメールをいただきました。

やはり2ちゃんで騒動を知ったらしく、当サイトのアドレス等は考察サイトなどで転載されている「たろたまBBSログ」からリンクを辿ってきたようです。私の書き込みに騒動に関係なさった方がレスをつけており、知り合いなんだと思い込み、ふざけ半分で当サイトBBSに書き逃げしたそうです。まさかここまで大事になるとも思わず、2ちゃんでも話題となり、怖くなって謝罪メールを私宛に送ってきたとのことでした。

土日に何度かメールをやりとりし、当サイトへの書き込み以外は他サイトにはどこにも書きこんでいない事や、もう二度と馬鹿な事はしない旨のお返事をいただきました。

メール返信の際こちらの連絡先を明記していたのですが、10日、本人の親御さんから謝罪の電話連絡をいただき、自身納得いたしましたので、それをもって当サイトで起こった件は解決したことを報告いたします。

尚、相手の素性やIP、やりとりをしたメールの内容等は一切公開するつもりはありません。

ともすれば新たな火種の元になるでしょうし、自身、これ以上悲しいだけの展開は望んでいません。

2003.02.11

追記
  • 2003年2月11日-2
  • 2003.02.11執筆/02.17改訂

当初UPしていた文章は、当サイトで起こった一件と前後して一連の騒動の状況を知った直後にUPしたものでした。多少感情が高ぶって書いたものでしたので、冷静に読み直していくと中立的立場であろうとして一方を加害者と決め付けているかのような表現がありました。閲覧される方々にこれ以上謝った認識をさせぬ為、および当サイトでの騒動も自身は解決したと判断したので、該当記事は削除いたしました。また、そのUPしていた文章によって関係者をさらに傷つけたかもしれないという自身の浅はかさ。ただただ反省するしかありません。本当に申し訳ありませんでした。

ただ一つ、これだけは判ってもらいたいのは、ホントはあんな言及めいた文章を書くつもりは全然ありませんでした。巻き込まれたが故に(当時、騒動の全容を完全に把握していなかったために、ホントにサイトを潰されるかもしれないという恐怖感もありました)書きたくもない文章を強要された屈辱。当時の追い詰められた気持ちだけは察して欲しいです。

ゆいちゃんのリボン

『ゆいちゃんのリボン』

「マネしたんだと思われたらヤダなぁ」

ゆいちゃんは塾の帰りにそうつぶやきました。というのは、今日学校で隣のクラスの田宮さんがピンクのリボンをしてきてたのですが、それがゆいちゃんがずいぶん前に買ってもらったりぼんに似ていたからでした。トモダチにその事を教えてもらった後、確かめに行ったのですが確かにそれとなく似てはいました。田宮さんは隣のクラスの人気者で、トモダチも多くちょっと気性が荒いので有名です。ですから、ゆいちゃんはもしかしたらマネしたんじゃないかなとは思ったもののそんなこと言うと後でどうなるか分かりません。

「そうだね。似てるかもしんない。マネしたんだと思われたらヤダなぁ」と言うにとどめておきました。

***

次の日学校に行くと、田宮さんのトモダチの金実さんがゆいちゃんのクラスにやってきて「あんた、田宮さんがアンタのリボンのマネしたって言いふらしたでしょ!」と、こういうのです。金実さんは隣のクラスの子で、田宮さんのトモダチというのが一番の自慢だといつも言ってる子です。ゆいちゃんとは同じ塾に通っています。昨日の塾の帰りにゆいちゃんがつぶやいた言葉を聞いていたとのことでした。

ゆいちゃんは、「そんなこと言ってないよ」と言い返しましたが、「そんなことない。昨日塾の帰りに言ってたのをちゃんと聞いたもん。わたし、昨日アンタのことつけてたんだもん。だから、絶対間違いないのよ」金実さんはとりつく島もありません。

とりあえず、授業が始まる時間だったのでその場ではそこまでで終わりました。ゆいちゃんははっきりマネしたんだと言ったわけでもないしそんなにたいした問題にはならないだろうと思っていました。ところが放課後、また金実さんがやってきました。

「あんたあのリボン誰がしてると思ってんのよ!田宮さんがしてるんだよ。あんたのマネなんてするわけないじゃない。田宮さんの方がセンスいいし。センスいい人がアンタみたいなセンス悪い人のまねするわけないでしょ。田宮さん、すっごく傷ついてるんだよ。田宮さんのこと傷つけたってことは、私たちのことも傷つけたってことなんだよ」

ゆいちゃんははっきりマネしたと言ったわけでもないのにしかも金実さんのことを言ったわけでもないのになぜ金実さんがここまで怒るのか分かりません。

「気に障ったんならゴメンね。でもそんなこと言ってないんだけどなぁ」

この言葉に金実さんはバカにされたと感じたようでした。

「アンタ見てなさいよ。私の後ろには田宮さんとか藤尾さんとか成子さんとかいっぱい怖い人がいるんだからね」

こうまで言われるとさすがにゆいちゃんも怖くなってきました。「ごめんなさい。確かに似ていると思いました。本当に私が悪かったです」でも、その謝罪は遅すぎました。

「絶対許さないんだから。覚えてなさい」そう捨て台詞を残して金実さんは帰っていきました。

ゆいちゃんはその日も塾に行きました。するとそこでは金実さんと藤尾さんと成子さんがピンクのリボンを持って話をしていました。周りには結構ギャラリーもいます。そのリボンというのは田宮さんが昨日つけていた物でした。

「このリボンとね、ゆいちゃんが持ってるリボンって似てると思う?」「あの子のって、なんかセンス悪いしちょっとイマイチって思わない?」周りのギャラリーも「全然似てないよねー」と頷いています。すると金実さんが「でしょう?あんなにセンスが違うのに、似ているなんてよく思えるわよね。きっとあの子のお母さんとかもセンス悪いのよ」

ギャラリーはさらに激しく同意していました。

これを聞いたゆいちゃんはもうどうしようもなくつらくなってきました。そのまま家路につきました。

***

次の日も学校に行くのはイヤでしたがお母さんに怒られて仕方なく登校しました。教室にはいると、後ろの掲示板の前でクラスのみんながざわついています。

何かな?と思って見ると、田宮さんからのメッセージが書かれてありました。

〜ゆいだかゆみだかしらないけど、あんた人のことマネしたんだなんて言いふらしといてよくそんなごまかすようなこと出来るわよね。このまま許すつもりないからね〜

ゆいちゃんは、もうどうしてこうなったのか分かりません。急いで田宮さんのクラスに謝りに行こうかと思ったのですが授業が始まってしまい、それすらもできません。

授業の間中ゆいちゃんはいろいろ考えました。どうやって謝ったらいいんだろう。どうやったら許してもらえるんだろう。ずっと考えてみましたが、これと言ったことは思いつきません。そうこうしてるうちに放課後がやってきました。授業が終わると同時にゆいちゃんは隣のクラスに走ります。

「ごめんなさい。もう二度とちょっと似てるくらいでマネしたなんて言いふらしたりしません」

「私が持ってるリボンはもう二度と付けてきません」

「ちゃんと周りのみんなにも説明しました。ですから許して下さい」

これがゆいちゃんが考えた謝罪でした。

今日は、金実さん、藤尾さん、成子さん、そして田宮さんもいます。

金実さんが言います。

「アンタ、そんなことで許されると思ってるわけ?アンタが傷つけたのは田宮さんだけじゃないのよ。だまそうとした私のことも、それに田宮さんと仲のいい人もみんな傷つけたのよ。クラスの人に説明しただけじゃ許さないから。学校の人みんなに謝ってよ」

ちゃんと謝れば許してもらえると思っていたゆいちゃんは金実さんの言葉にどう反応していいのか、言葉すら出てきませんでした。

田宮さんがこう続けます。「ともかく私の気が済むまで謝ってよ」

ゆいちゃんは泣くしかありませんでした。

その日も塾がありました。もちろんゆいちゃんは行きたくて行っているわけではありません。

学校の帰りに田宮さんから「学校とか塾とか休んだら許さないからね。そうやって逃げようなんて思わないでよね」と言われていたからです。泣きそうになるのをこらえながら塾に行きそこでもゆいちゃんは塾の周りのみんなにいきさつを説明しました。

当然金実さんはそれをずっと監視しています。「ホントにみんなゴメンね」ゆいちゃんはみんなに謝った後、誰とも話さずに家路につきました。

***

次の日もゆいちゃんは学校に行きました。一晩泣きはらしたので目は真っ赤でした。教室に入り席に着こうと思いましたがクラスの雰囲気が昨日までと少し違います。クラスの子たちがなんだか怒っているようです。「あいつらなんだかひどくない?」「単なる言いがかりだろ」「いじめたいだけじゃないのかな?」

それまでゆいちゃんとは話したことのない子がひとりゆいちゃんの所にやってきました。「もう気にすることないよ。ちゃんと謝ったんだしね」この2日間ずっと暗い顔が続いていたゆいちゃんに少し笑顔が戻りました。

休み時間になり、ゆいちゃんは田宮さんたちのクラスにむかいました。もう一度謝るつもりでした。教室のドアの前に立ち深呼吸してから中をのぞき込んでみました一番後ろの席に田宮さんが座っているのが見えます。その周りには金実さんと藤尾さんと成子さんがいました。

金実さんは藤尾さんと成子さんに「アタシ初めてのケンカなんだよ〜。徹底的にやってやるんだ〜」と、楽しそうに言っているのが聞こえました。ゆいちゃんの足はとまってしまいました。田宮さんは関係ないといった顔ですが、不機嫌そうなのは間違いありません。とうとう、ゆいちゃんは彼女たちの教室に入ることが出来ませんでした。

授業の始まりを知らせるチャイムが鳴り、ゆいちゃんは教室に戻ります。授業中、金実さんと田宮さん宛の手紙を書きました。ゆいちゃんの精一杯の気持ちを込めて。そして、次の休み時間にトモダチにお願いしてその手紙を金実さんと田宮さんに渡してきてもらいました。

お昼休みになり、もう一度ゆいちゃんは隣のクラスに行こうかどうか迷っていると金実さんがゆいちゃんの教室に入ってきました。

「こんな手紙で許してもらおうなんて甘いのよ」これが金実さんの第一声でした。給食が終わったばかりなので、まだたくさんの人が残っていました。金実さんはさらに続けます。「田宮さんもアンタのこと絶対許せないってゆってたんだからね。クラスの子や塾の子に謝っただけじゃ許さないから。学校のみんなに説明して謝ってまわりなさいよ。今日も塾で待ってるからね」

これだけ言うと金実さんは教室から出て行きました。教室の外には田宮さんと藤尾さんと成子さんが待っていておもしろそうに帰っていきました。クラスの子たちは目を丸くして何もしゃべれません。ゆいちゃんは目に涙が溜まるのを我慢していました。

クラスの子たちが本当に怒り出しました。

「ゆいちゃん、ちゃんと説明してたのに」「ひどすぎるよ」「塾なんて行く必要ないよ」

みんな口々にゆいちゃんを励ましてくれます。さっきの金実さんの声が大きかったのか全く関係ないクラスの子たちまで大勢やってきています。

「話聞いたけど、なんだかひどいよね」「オレちょっとあいつらの所に行ってくるよ」「オレも」「いくら何でもひどすぎるだろ」

みんなの言葉に、ゆいちゃんはもう涙をこらえることが出来ませんでした。その日、学校から帰ったゆいちゃんは熱を出してしまい塾はお休みしました。その次の日になっても熱は下がらず学校もお休みしてしまいました。そして翌日、やっと熱が下がりました。

***

登校してすぐ、ゆいちゃんは隣のクラスに行きました。もちろん学校と塾を休んでしまったことを謝るためです。

ところが授業が始まる寸前になっても、金実さんは来ません。金実さんどころか田宮さんも、藤尾さんと成子さんも来ません。仕方なく自分のクラスに戻り休み時間が来るのを待って隣のクラスに行きましたが、やっぱり来ていません。周りにいた子に聞くと、今日は彼女たちはお休みだそうです。

教室に戻ったゆいちゃんは4人そろってお休みだなんておかしいなと思ってどうしたんだろうね?と聞くと「昨日スゴかったんだよ」と、昨日の学校の様子について説明してもらいました。

おとつい金実さんがゆいちゃんのクラスに乗り込んできた事件はその日の内に学校中に知れ渡ったそうです。ゆいちゃんの学年はもちろん下の学年にも上の学年にも。はじめは、何人かが休み時間に金実さんたちの所に抗議をしに行ったそうです。

その時はまだ金実さんはいつもの調子で「私は悪くないもん。あの子があんなことするから悪いんだもん」藤尾さんと成子さんは「あの子がマネしたって言ったのは間違いないんだから仕方ないでしょ」と言っていたそうです。田宮さんはその時も知らん顔でした。

昼休みになると、今度はもっと大勢の人が抗議にやってきました。金実さんたちの顔は青ざめていたそうですが、謝ることはありませんでした。放課後が来てさらに大勢の人がやってきました。教室に入りきれないほどの人だったそうです。

とうとう金実さんが謝りました。藤尾さんと成子さんもそれに続きました。田宮さんも謝るには謝りましたが「見て見ぬふりをして悪かった」と、一言言っただけだったそうです。それに怒った人たちとの言い争いがずっと続いたそうです。でも、冷静だった上級生たちが田宮さんのおかしいところを指摘すると田宮さんは泣き顔になって、とうとう「ごめんなさい」と言いました。それを見た、金実さんたちはこらえきれず泣き出してしまったそうです。

その日、学校から家に帰ってくると金実さんたちから電話がありました。「言い過ぎてごめんね。これで許してね」と。

***

それから2日経ちましたが、いまだに彼女たちは学校にやってきません。学校ではまだいろんな人たちが彼女たちの噂をしていますがゆいちゃんにとってはもう済んだことでした。なぜならゆいちゃんも謝ったし、彼女たちも謝ってくれたのだから。

ゆいちゃんは思います。

「またあのリボンつけて学校行けたらいいなぁ」

おまけ『あっぱれ木保先生』

木保先生「よ〜しみんな、田宮も謝ったし両成敗って事でお開きだ〜!」

生徒A「先生ちょっと待ってください!悪いのは田宮さん達です!ゆいちゃんは悪くありません!両成敗っていうのは撤回してください!」

木保先生「アホか?こんなもんにどっちがいいも悪いもあるわけねーだろ!大体ゆいが誤解されるような事するからいけないんだろ!そんなもん自業自得だ!!!」

生徒B「先生それは絶対に間違ってます!」

木保先生「理屈じゃねーんだよ!!」

生徒C「先生!それ以前に田宮さんは謝ってません!」

田宮「うえ〜ん、あたしかんけ〜ありませ〜ん」

木保先生「ほら、こんなに謝ってるだろ!かわいそうにこんなに泣いて。。。もうこれ以上やる必要がどこにあるんだ?!ていうかお前らホントは田宮の事いじめたいだけなんだろ!」

生徒D「全然謝ってないじゃないですか!関係ないって言ってるじゃないですか!それにどう見ても嘘泣きじゃないですか!」

木保先生「理屈じゃねーんだよ!!!」

生徒E「先生お願いだから少しは話を・・・・・・」

木保先生「理屈じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇんだよ!!!!!!」

木保波平先生のプロフィール
  • 平等を主張しながら贔屓が激しい。
  • 通勤手段は新幹線。
  • ガンダムとアクセスがだいすきヽ(´ー`)ノ