透音響界

2003年01月30日(木) 権利と義務と美辞麗句

 権利って、綺麗な言葉です。
 でも、裏には義務がある。

 自由ってのも、ほんとに見事な言葉です。
 でも、じゃ、本当に何も決まっていない自由ってあるのか。
 その自由は、何の上に成り立っているのか。

 そこまで考えての、権利であり、自由であると思うんだけどね。

         ***

 知人より、「子どもの権利条例」とやらについて、聞く。

 や、これ、己も初めて知ったんだけど。
「子供」じゃなくて「子ども」なんだそうです。
 供って字は、従属を表すから、使っちゃ不平等なんだそうです。

 …………ええと?

 や、あのね。
 従属って言葉は、耳にきついけど。
 でも、不平等も何も、子供と親とじゃ、不平等に決まってるでしょうが。
 
 これは。
 親が子供の行く末を勝手に決めていい、とかそういうことじゃない。
 無論、勝手に決めないとどうしようもない事はある。例えばどこに住むのか、なんてことを、いちいち子供に「はいそーね、どこがいい?」って聞いたって、ああた。
 しょうがないじゃないか、父親の転勤とかになったら。
 それを親も子も平等に意見を言う権利がある、だから子供の意見を聞いて決めましょうったって……
 ねえ。
 
 
 そもそも、この、「子どもの権利条例」なるものが、どっから出てきたかというと。
 ユニセフか何かの「児童の権利条例」から、だそうである。
 
 これは、まさに世界的な尺度からの、権利である。

 カースト制で乞食になったからって、憐れみを乞いやすいように、親が子供の手を切っていいか。
 ……そりゃ、いけないに決まっている。
 親がバイクを欲しいからって、子供を売っていいか。
 ……勿論、莫迦にすんなって話である。

 ただ、残念ながら、世界には、これほどまでに権利を踏み躙られている子供たちがいる。
 だからこその、権利条例なのである。

 
 だけど。

 確かに日本にも、親の暴力で傷つく子供たちがいるし、彼等を親から守ることには大賛成である。
 でも、普通に暮らしている人間が、毎度毎度幸せではいられないのは、当たり前のことで。

 そんなもん、権利が無いからでも何でもない。

 
 や。
 知人からの話も、相当強烈だったので、ネットで調べたんですよ。
 条例賛成側の、言い分を。

 するとありまして。
 川崎市子ども権利条例検討連絡会議ってとこが出している文章。
 引用は『 』でくくってみます。

『1 川崎の子どもたちは今
 学校・家庭・地域などにおける子どもの権利状況については,聞き取りでも多くの問題が指摘されています。現代の子どもたちは,時間に追われ,遊ぶ空間も少なく,心理的にも閉ざされがちな生活を強いられており,また,なにが子どもにとって最善のものなのか,その判断はいつもおとなが下してきました。このような,子どもを閉じ込めている現状を変え,子どもにいきいきとした「子ども期」を取り戻すことが課題となっています。 』

 や、まあ。
 すごーく尤もらしいけど。
 『子どもにいきいきとした「子ども期」を取り戻すことが課題となっています』

 ……取り戻す?

 今以上に、あったことがあるんか?


 『なにが子どもにとって最善のものなのか,その判断はいつもおとなが下してきました』

 なんか尤もらしいんですけどね。
 おとなには……次に引用するとおり……

『おとなの中には,子どもを管理の対象としてとらえたり,「子どもに権利を与えるのは子どもを甘やかすだけだ」などと子ども世代に不信感を持つ人もいます。しかし,子どもはおとなの従属物ではなく,一人の人間です。子どもも独立した人格と尊厳性を持つ存在であり,安心して生き,育ち,保護され,参加する権利が保障されています。 』

 子供を、安心して生かし、育て、保護する義務があるって言うんですよ。

 
 己には子供がいませんけど。
 だけど、手風琴教えている時には、己は堂々と、己に従うことを要求しました。
 この件については、何が最善かってのを己が判断しましたね。

 ええ、己の手風琴の技術ったら無いですよ。教え方だって、実はかなり間違えてたし。
 本当は、蛇腹のリズミカルな押して引いてを、それこそ何ヶ月とやらせて(その間右手だけ使わせて)、そしてようやっと左手の和音を教えるのが本当だそうな。
 でも己、結構最初から、両手で弾かせてみてましたから。

 そーゆー意味では。
 おまいが権威になったら、彼等にとっては不幸だとか。
 おまいが教えたお陰で、あたら若く豊かな才能を摘み取ったとか、言われるかもしれない。
 ただ、己は、当時の己が考え得る最善をもって、彼等を従わせた。
 それは、確かです。

 てーかね。
 目を離したら、連中カード遊びやってんだし。
 手風琴、じゃあ、己はもう教えないっって言ったら「やだやりたい!」って言うし。
 んじゃあ、教えるからには付いてこいよ、厳しいぞって言いましたよ。
 ……当たり前じゃないの、そんなの。

 ただね。
 たかが手風琴を教える立場だったけど、でも威張っただけ己は彼等が可愛かった。
 彼等の痛みに、泣かされた。
 彼等が喜ぶのは、本当に本当に嬉しかった。
 それだけは、本当。


 なんだかね。
 この、突っ込みどころ満載の条例議会の会報見た途端、知人の言ってたことに納得しましたから。
 行過ぎた自由や権利の、足がかりになるって。


 しょうがないじゃんか。
 痛い思いしてしか、学べないことのほうが多いんだから。

 これは、子供に限ったことじゃないですけどね。
 今現在の己だってそうです。
 痛い思いしないと学ばない。
 でも、痛い思いなんか絶対したくない。
 
 これ、本音ですもん。
 今、痛い想いをしないから、やっていないことが、一体どれだけ自分にあるか。

 
 なんかね、そういうことをわかった上で、言ってるんですかって言いたくなる。

        ***

 ねっとばとるの風景。
 ちっとだけだけど、己も参戦。
 反応有り。

 …………あり?

 や、なんかね。
 高圧的だったり、急に低姿勢だったり。
 わけのわからん人だなあ………

 詳しくは、プリシラ公園までどうぞ。プリシラさんの力作です。

        ***

 あ、最後に忘れてた。

 こ、き、く、くる、くれ、こい、だ!<完全私信

 へろへろと歩いて。
 今日はもう、帰ろうかな。



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