[事件の始まり]

今回の事件について、考察を試みる。

きっかけはA氏の日記であった。訪問する者がある程度限られた隠しサイトに
置いてある日記だ。影響はないと思ったのかもしれない。しかしその時
心のどこかでプリシラ氏がA氏のサイトを見る可能性について考えていなかったか。

大変残念な事に閉鎖前のA氏本館や別館に、アクセス解析がついていたかどうか
確認できないのだが、もしついていたとすれば、プリシラ氏の数度の訪問に
気づいていた可能性もある。
プリシラ氏は今回の件まで、ほとんど訪れた事はないと言っていた
しかし、それは自己申告であるし、またその最初の1回を偶然見つけた可能性もある。

日記で呟けば、常連の反応があるのは予想ができた事だろう。
果たして常連の一人が掲示板で尋ね、A氏がそれに答えた
これがなければ、プリシラ氏は行動を起こさなかったかもしれない。
実際、プリシラ氏を始めとしたA氏追及側は、A氏がその際に使った説明を利用して
辛辣な批評をしている。

A氏は掲示板で常連に返信した時点で、言質を取られていた。

プリシラ氏が日記にA氏が読めばすぐわかる日記を書いたのは、本人も言っているが
A氏への匿名メッセージであった。
A氏はプリシラ氏の日記を読み、自分のサイトから貼っていたプリシラ公園へのリンクを切った。

プリシラ氏は言う。 「わーーー!リンク外されちゃった!なになに?怒っちゃったの?」

A氏がいかなる意図で、リンクを切るという行動を取ったか。
A氏はプリシラ氏に、賭けたのではないだろうか。

普段のプリシラ氏の雑文を読んでいると、子持ちの30代女性が抱えている不満や鬱屈が
気持ちいいほどにざくざく書かれている。またその内容も、プリシラ氏側から見た物事であるから
常に正しい立場であり、それは同じ境遇の人から見れば正義の代弁者たりえたのだ。
同じようなジャンルのA氏が、<プリシラ公園>にリンクを貼っていたのは、氏への共感と
「ここにもひとりいるよ」という合図だったのではないだろうか。

しかし、不幸にしてプリシラ氏はA氏の作品をなんとも思っていなかった。
しかも大変痛烈な批判をした。
これを読んだA氏はラブコールが失敗した事に気づき、リンクを外したのではないだろうか。
まさか相手が違う意味で追いかけてくるとは、思わなかったかもしれない。

プリシラ氏が掲示板に現われ、A氏は動揺した。
来るとすればメール、そう思っていなかっただろうか?
公の目に触れる日記の内容については、公の場で。プリシラ氏がそういう方法を取るタイプだと
それまでの日記などで気づいていなかったのだろうか?

気づかなかったのではなく、考えなかったのではないだろうか。
なぜならば、A氏にしてみれば、あの設定は「似ていた」のだ。
何があっても自分が悪い立場に追い込まれるとは思っていなかったのではないだろうか。
また、A氏のサイトはあまり大きくなかったため、派閥の恐ろしさに気がつかなかった事はありえる。
A氏にしてみれば、相手は多くても日記で言及したプリシラ氏と、「桃」作者の間宮氏、両名だけだ。

ホームグラウンドの掲示板に突然、自分の作品を低く評価した相手が書き込みをしてきた。
しかもその中身はA氏にとってみれば、別段詳しく答える必要がない事。
プリシラ氏が問題の作品がどれか気がついたという事は、似ている証とも考えられるのだから。
この判断がA氏を、ずいぶんぞんざいに見える応対に駆り立てたのではないだろうか。



ここで、プリシラ氏の行動を考えてみよう。
なぜプリシラ氏が、他人の掲示板に高圧的な態度で乗り込んで行ったか。
前述にある「ネットバトル」からわかるように、A氏の日記だけならば
『 「似てるー」ってだけならまだいいよ?失笑するだけで終わるよ?』だったようだ。
しかし前述したように、掲示板でのA氏の返信を目にして、彼女は言質を取った。

さて。

もう一度、A氏の日記を読む。

なんだかちょっとショッキング。
私が書いたフィクションの「夏の日に」と同じ設定のテキストを読んでしまいましたの。
そんなことってあるのか・・・。
私の場合はね、あれは、本館の詩の更新に行き詰まって
苦し紛れに10分ほどで書きましたの。
最初はラブラブな恋人の話にするつもりが、いつの間にかあんな感じに。
それと同じ思考を辿る人がいるってことね。
そんなことってあるのか・・・。
その方が私の文章を読んでる可能性はほとんどないわけで。
まぁ、いろんなとこに出してる文章だから、皆無とは言わないけど。
そんなことってあるのか・・・。
半信半疑。
疑心暗鬼。
知らない人だから、聞けないし(笑)
どうなんだろ、客観的に見たら、似てる・・・とか思うのかな。
「パクられたっ」と私が思われたらやだな。
そんなことってあるのか・・・。
なんだか自信喪失。

A氏の掲示板での返答も読んでみよう。

そうですねぇ。
「夏の日に」の場合どうなのかなと。
ちらりと思いましたの(笑)
恋人同士のような書き出し、なあんだ猫だったのね・・・ってとこ、
相手の男の子が結婚しちゃう・・・ってとこ。
が一緒だったもので。
まあ、そんな風に思いつく人もいるんだなぁ・・・と。
あまり深く考えないことにしますです。
もしね、どこかで私のを読んでらしたとしても。
心の中に残ったから、それが出てくる・・・ってこともあると思うし。
うんうん。
フィクション・・・もなにかきっかけがあって書くものなのでしょうからね〜。
私もすぐ文章は影響されちゃうので。
気をつけなくちゃなぁ・・・と思います。

これだけである。

このほんの18行の日記と14行の返信から、プリシラ氏はあの日記をしたためたのだった。
A氏の作品名以外、なにも、どこにも、この文章から間宮氏の「桃」を指していると匂わせるものは、ない文章から。

では、どうしてプリシラ氏は過剰反応したのか。
氏は、A氏のサイトを訪れる人は、いつかはかならず<いろは中毒>も読む、と思ったのではないか。
いつか誰かが、間宮氏作品だと指摘してしまったら。
そしてそれが、プリシラ氏もよく訪れていたと言う2ちゃんねるのパクリスレッドに持ち込まれたら。

今回の事件は、確かにきっかけはA氏の日記と掲示板への返信であった。それそのものがなければ事件はなかった。
が、もうひとつ、プリシラ氏が気がついた時点で「自分の胸にしまっておく」という選択肢があったのだ。
<いろは中毒>の運営チーム責任者として、気がついてしまったからには放置しておけない、という建前の他に
実はプリシラ氏に野心があったのではないだろうか。

他人の掲示板で執拗に追及し、事情を知っている者が読んでもずいぶんひどいと思える言葉を、何度もA氏に投げつけて
2ちゃんねるを始めとした外野から指摘されるまで、全くその蛮行に気がつかなかったのは、彼女の目的が
正義感以外から発生したからではないだろうか。
間宮氏をぱくりだと批判しているサイトを見つけ、交渉し、相手から謝罪を取り付ければ、自分の眼力が周囲から認められる。
そのために、プリシラ氏はメールではなく、サイトの掲示板という衆目の集まる場所への確認の書き込みをしたのだ。

しかし、プリシラ氏は日記でA氏の作品を罵倒してしまった。A氏の人格に関わる部分にまで、突然言及してしまった。
そういうものを見て、冷静でいられる人は少ないと思う。
自分が賭けに失敗した失望と、故なき罵倒をA氏はリンクを切る事で忘れようとしたのかもしれない。
もしも喧嘩をする気だったならリンクを切ったあと、罵倒された事を日記に書くはずだ。

しかしそういった記録はない。
リンクを切り、それで終わったと思っていたのだろう。
プリシラ氏はそれを「逃げた」と取った。
自分が間違った事を言ったからリンクを切って逃げた。しらばっくれようとしていると。

そういう判断に至ったのは、日記を書いた時点でプリシラ氏が、一人で戦争を始めていたからだ。
A氏の日記をシグナルではなく宣戦布告と取り、自分が臨戦態勢だから相手もそうだと思っていた。
リンクを貼っていた理由が、好意や共感、またはある種の媚びとちょっとした希望だとは思わず、A氏のサイトから
晒し目的で貼られていたと考えた可能性も考えられる。
A氏がここで逃げなければ、プリシラ氏はどうしただろうか。

実は、他のサイトでもプリシラ氏を始めとした<いろは中毒>関係者は、論争を繰り広げていた。
(これについては「記録」をご参照下さい→「マリタナ小説祭をウタガエ」ログ)
そこでの書き込みを見るとおわかりかと思うが、プリシラ氏は論争相手が一言謝るたびに、その何倍もの返信をいれている。
プリシラ氏にとって、謝罪すると言う事は、もっと謝罪した相手に突っ込んでもいいのだという合図にしか見えないと推測される。
サイトの方向性や主催者の方針に納得できない人達がプリシラ氏と同調し、そこから<いろは中毒>が立ち上げられる
きっかけが生まれたらしい。

今回のA氏掲示板への乗り込みは、その時と大変似た状態にあった。
プリシラ氏が先陣を切り、追い討ちをかけるように数人が書き込む。この時は計算した上ではないと思われるが
「マリタナ小説祭をウタガエ」の時はそれが成功し、プリシラ氏は意見を同じくした他のメンバーとともに
<いろは中毒>を立ち上げ、運営責任者となった。

この経験がプリシラ氏に、自分は論争に強いし、発言は必ず多くの人に支持される、という根拠のない確信を抱かせたのだろう。
その幻想の大本は<たろたま>の間宮氏だったはずだ。
有名なサイトからリンクされたおかげで、カウンターが異常なまでの数になり、オフ会を開けば何十人もの人間が
彼女のために集まり、オフ会報告では関係者全員を賛美する。
プリシラ氏はそんな間宮氏に、憧れと同時に、いつか自分も肩を並べられる日が来る想像をしていたのではないだろうか。

その道具を見つけた喜びが、次章「掲示板での応酬」にある資料7「ハジメテのオフィシャルネットバトル」のはしゃぎぶりからわかる。
またその際、プリシラ氏はA氏の日記転載において大変恣意的な引用省略を行っている。これは考察2にまわす事とする。

以上で「事件の始まり」考察を終える。
2003/02/08 考察犬、記す

なおこの文章は、後ほど改訂することがある。

掲示板での応酬1へ

考察2へ (工事中)