趣味Web 小説 2003-01-03

新横浜プリンスホテル その2

新横浜プリンスホテルは庶民にはいささか高級すぎて困る。ユニットバスなのに浴槽が実家のものより大きいのはいいとして、浴槽の脇にビデまでちゃんと用意されているのはさすがにやり過ぎだと思った。

ツインに泊まったのだけれども、同室者が「これは何か?」としつこく問う。「ビデ」という名前を教えたのだが、ピンとこないらしい。ウォッシュレットの機能という認識しかないようだ。実演するのもあれなので、簡単に説明してお茶を濁した。

妹尾河童「河童の覗いたヨーロッパ」にはビデがよく登場する。ヨーロッパなどでは必ずしも浴槽につかることができない宿は少なくないが、その場合はしばしばビデが代わりに用意されている。浴槽とビデの両方がある宿も意外に多い。新横浜プリンスホテルは、こうしたヨーロッパの風習を真似ている。

横に並ぶ便器と輪郭のそっくりなビデを見ながら、日本人と西洋人の入浴についての認識の違いをあらためて感じた。日本人の考える、一日の疲れを癒すといった視点はそこにはない。あるのは、汚れた部分を洗い清めるという機能だけなのである。

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