趣味Web 小説 2003-02-02

コロンビア号、大気圏突入に失敗

私はかつて宇宙開発にかかわる技術者になりたいと思っていた。チャレンジャー号の爆発以降、宇宙開発は長い停滞期に入っていたのだけれど、高校時代まで私は他の進路をまじめに考えたこともなかった。科学技術が人間を滅亡へと加速度的に追いやっていることは十分にわかっていた。しかし人間はそれでも科学技術から逃れられない。ならば私はむしろ科学技術を極めて最も人間らしく生きてみたいと思った。科学技術の頂点は何か。それは宇宙開発だ! だから、宇宙開発に憧れた。

スペースシャトル1号機、それがコロンビア号だ。世界をリードする米国による現代の宇宙開発の象徴。向井千秋さんが1994年に土井隆雄さんが1997年に搭乗した機体。

スペースシャトル・コロンビア号は18世紀のアメリカ人、ロバート・クレイの帆船(はんせん)にちなんで名づけられました。帆船コロンビア号は現在のカナダ南西部やオレゴン州周辺を航海し、1600キロメートルもある川を発見しました。これが現在のコロンビア川です。また、アポロ11号の司令船も帆船コロンビア号にちなんで同じ名前がつけられています。「コロンビア」とはアメリカ合衆国そのものをさす名前で、それは15世紀の探検家クリストファー・コロンブスに由来しています。

そのコロンビア号が、大気圏突入に失敗した。機体の破片はテキサス州および他州に飛散したという。なぜだ? 初のイスラエル人宇宙飛行士が搭乗しているので従来になく周到な準備が進められたミッションだったのに。誰も油断などしていなかったはずなのに。

コロンビア号は20年以上もミッションをくり返してきた機体なので、数え切れないほどのエピソードを持っている。その機体が、もうなくなってしまった。7名の命とともに。宇宙開発に、また冬の時代が訪れる。

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