趣味Web 小説 2003-12-31

やむを得ず?

携帯電話キャリアの違いで解説した通り、iモードやボーダフォン在来機・LモードではCSSが使えません。

このため、これらの端末ではスタイルを当てていないプレーンな表示にするか、本来なら排除されるべき物理要素でデザインしなければなりません。

(中略)

但し、あくまでも携帯電話ではCSSが使えない為、やむを得ず使われるものですので、PCでは使わないようにしましょう

「装飾したいから装飾するのだ、それはいいことなんだ」という発想が根底にある解説なので、私は推奨しない。「お客様は神様です」というプロならともかく、素人の趣味でやむを得ずなど、ありえない話だ。私なら、非推奨属性など解説しない。「シンナーは身体によくありません」といいつつ「どうしてもシンナーがほしい人は、**街の裏道にたむろっているイラン人に声をかけなさい」と解説するなんて、おかしいではないか。どうしてもというなら……その気持ちは理解するけれども、解説しないのが正解だと私は思う。装飾できないものはできないのであって、「だから諦めなさい」というべきだ。

スタイルは文書のオマケに過ぎないのに、HTML を文書の表示スタイルの記述言語と勘違いするから、おかしなことになる。HTML 文書のスタイルは「指定できない」というのが基本線である。CSS を使おうとどうしようと、それは同じことなのだ。

あなたの好きなHTMLタグアンケートの一番の見所はオリジナルタグを考えてみよう。の項で、読むといろいろ考えさせられる。とんだ素人まるだしの格好の悪いページが出来上がると思うけど、はじめはそれでいいと思う。ホームページを作り続けていく必要があなたにあるのならきっともっとうまいサイトや正しいサイトを作りたいと思うし作り方も勝手に憶えていくもんだと思います。というのだけれど、この発想には罠がある。

きれいなサイトを作ろうと思って HTML を勉強していくと、結局、HTML はそういうことができない言語だということがわかる。CSS だって同じで、製作者がどんなに意を尽くしても、閲覧者はそれを無碍にできる仕組みになっていることがわかる。なぜそういう仕組みになっているのか? その理由は、わかるときがくればわかるものなのだけれど、多くの人は最後まで理解できない。

私も、疲れてくると「HTML はスタイル指定言語でもよかったんじゃないか」と思う。ブラウザの歴史がテキストブラウザから始まっている以上、それはありえない話なのだけれども……。ほとんどの人にとって、「スタイル指定に使えないなら HTML なんて意味ないじゃん」であるわけで、結局どうにもこうにもこのバカの壁を突破できない。一瞬は理解してもらえるのだけれど、持続しない。困った話である。

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