趣味Web 小説 2004-02-04

雨降って何とやら

雨降って何とやら。

権利侵害の判断の項にはてなは申し立ての内容に基づき、当該情報が他人の権利を侵害しているかどうかの判断を行う。とあることは重要。判断基準を明確にするといっても、最終的には管理者の裁量ということになります。はてなが自ら示したガイドラインに則り独断で決定を下す方針を示しているのは、よいことだと思います。(→id:smoking186

別に腰が引けているわけではなく、せっかく下がった技術的な敷居まであげることを是としたくないので、「自分でサーバーを立てろ」とはしなかったのです。

自分でサーバを立てない限り、サーバ屋が特定電気通信役務提供者として責任を負うことになります。個人向けに技術提供のみ行い、特定電気通信設備を保有しないという業態は一般的ではありません。技術的な敷居をさげるなら、個人で全責任を負うことは困難です。いくら発信者が身分を明かして最後まで戦うのだといっても、サーバ屋がひよったらコンテンツは消えてしまうのではないでしょうか。

トラブルは当事者間で解決してください、といっても、じつは特定電気通信役務提供者も(ある場面においては)当事者なんです。そうである以上、ごねる発信者との交渉に見切りをつけ、サーバ屋に話を持っていく申立者はいなくならないでしょう。法律によれば、サーバ屋がまずいと判断したコンテンツは発信者の同意を得ずに非公開にしても免責されるからです。

申立者は裁判をしたいのではなく、問題のコンテンツを消したいのです。発信者の身元云々なんて、本質的にはどうでもいいことだったりするわけです。である以上、発信者自身が特定電気通信役務提供者とならない限り、発信者の頭越しにコトが進むという状況は解消されません。

なお、当然のことながら、不当なコンテンツ削除に対して発信者側が提訴することも可能です。しかしたいていの発信者は、「そんなバカな」と思うような削除であってもいちいち法的手段に訴えません。要するにそこまでして発信したい情報でもなかったということなのであって、「被害」にあって裁判所に訴え出た企業などと比較して(誤解を恐れずに書けば)不真面目なんです。

企業は強者には違いないでしょうが、打ち出の小槌を持っているわけではありません。裁判なんて企業だってやりたくないのです。いや、儲けを追求する企業こそ、無駄金も無駄な時間も絶対に使いたくないはずなのです。それでもやらざるを得ないところまで発信者が追い込んだのだ、という事実を見据えない方が少なくない。だから、裁判を起こされると「横暴だ!」なんていったりします。あまりに安易に考えている方が多いのです。

いずれにせよ、ishinao さんのご意見には概要で同意します。

現実問題としては「ならない」のは当然でしょう。Google の PageRank を不当な手段で上げようとしているという疑惑についてはともかく、仮にその件が立証されたところで、だから「悪徳業者」と呼んでいい……という話にはなりそうもないからです。PageRank の不正操作は、ウ社の宝石販売の手法に問題があることの根拠となりえないからです。とはいえ、不正操作疑惑の件で(立証はともかく)Google を動かすことができるなら、ウ社のイメージダウンを図りたい勢力には朗報となります。

おそらくGoogleには既に数件(その程度だと思います)の指摘が届いているはずで、その結果をしばらく注視する必要があるでしょう。ただし SEO SPAM は違法行為と異なり、「ルール違反」が決定的な社会問題を引き起こさないので、「おそらくダウト」というレベルでは対処に二の足を踏む可能性があります。しかしながら、あれがOKなら SEO 解説書の少なからずは記述を見直す必要が出てくるのではないでしょうか。(もっとも、倫理的問題を考慮し現行の記述を守るという発想もありましょう)

ところで、不正操作疑惑の件で Google を動かすために、株式会社ニューコンセプトとウ社の関係を示す必要はありません。そもそもこの手の不正操作は、手段を選ばない SEO 業者の常套手段といわれてきました。あるいは、悪意あるグループがおかしな単語で特定のサイトが上位表示されるようにする「攻撃手段」として、知られてきたという経緯があります。

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