趣味Web 小説 2004-04-23

三悪映画宇宙

会社帰りに寄ってきました。今晩、上司は徹夜で実験に没頭しているというのに、平社員の私はさっさと退勤して中華ちまきを頬張りながら楽しい映画鑑賞。幸せな罪悪感。ごめんなさーい。

週の半ばごろに、一通の小包が届いた。差出人は高校時代の美術部仲間、大野尚人だった。茶封筒を開封すると、中から出てきたのは1本の VHS テープと手紙。なんと大野くんは現在、映画監督を目指すドリーマー(フリーター)なのだという。学生時代を映像製作に捧げ、「天子のしっぽ」で法政大学映画祭大賞を受賞し井土紀州監督に絶賛されたが、世間的にはまだまったくの無名といっていい。

そうか、消息が途絶えていた彼も、こうして頑張っていたか! さわやかな感動に胸がいっぱいになったが、私の部屋にはビデオデッキはおろかテレビさえない。さて、どうしたものかなあ……と思ううちに、金曜日になった。仕事が一段落したのが午後7時。「そういえば、三悪映画宇宙の日だったよなぁ」と、ふと思い出した。ふらっと会社の門を出て、取りとめもないことを考えつつ歩みだす。次に気がついたときにはもう、帰路とは逆方向の電車に乗っていた。

金曜夜の新宿の喧騒は池袋とは段違いで、駅舎を出た途端に我に返った。会場のロフトプラスワンって、どこ? アルタの方へ進めばいいのだとは聞いていたけれど、アルタというのがどこにあるのだかわからない。東口を出たことは間違いなくて、それなのに「新宿アルタ」という大看板はひとつも見当たらない。泣きそうになった。こういうときは足で勝負だ。あてどもないのに、横断歩道を渡って歩き出す。と、百果園のネオンが前行く人の頭の上に! 助かった!

最後の関門が劇場前に待っていた。蕎麦屋とコンビニの間にロフトプラスワンはあるはずなんだけど、探し方が悪いみたいで、風俗の客引きのお兄さんに声をかけられるばっかりで埒があかない。いっそこのお兄さんに場所を聞こうかと思ったのだけれど、それだけですまないような気がしたのでグッと堪える。しばらくビルを遠くから眺めて呻吟していたのだけれども、ひとつひとつ看板をていねいに読んでいったら、ようやく見つけた地下2階。うわ、そんなところなのかよ。ていうか、看板が小さいよー。

というわけで約50分遅れの7時50分頃に会場入り。画面では「ロッキー3」を上映中だった。ううむ、面白い。でも、こっちは会場に到着して安心した途端に空腹に襲われていてもたってもいられない気分。中華ちまきとくろう茄子を注文する。名作映画のパロディもひたすら食べながらの鑑賞。宮本さんが麻草さんに惨殺されたとき、私は茄子をパクついていた。「あーっ、ザ・ニンジャが見せ場もなしにやられてしもうたモゴモゴ」いや、おいしいんだ、これが。次回があれば麻草さんお勧めの鶏蒸し飯に挑戦しよう。

で、麻草さんのタイトルでネタばれという「すごく怖いホラー作品」の頃には追加注文のフライドポテトが到着。我ながらよく食べるなあと思いつつ、画面に見入っていたわけだけれども……うははは、口の中のものを危うく噴出すところだったじゃないか。多分、私はベタな展開のコメディーが好きなんですね。くるぞくるぞと思って身構えているのに、予想を上回るバカバカしさでやっちゃってくれるというような。まったく先の読めない作品も、もちろんいいのですが。

さて、休憩時間になったときには私は満腹。幸せな気分。あとは適当に飲むだけ。というわけでジンジャーエールを注文。

名作劇場のあたりでサイキさんがやってきて隣の席に座ったのには、予想の範囲内とはいえ微妙に驚いた。まさか席までこんなに近いとは。で、休憩時間になって後ろを振り返ってびびったね。なんで橋本ぽよさんとことこさんまでいるのよ? いや、会場内にいてもおかしくないけど、半径1メートル以内に知った顔が3つてのは多すぎる。

で、本日のメインディッシュ、豪華長編3本立の上映が始まったのだけれども……ぶわはははは! おもろい。これはおもろい。小和田明監督のことは今日初めて知ったのだけれども、「殺す屋」は素晴らしかった。一週間の疲れが吹き飛んだね。手塚治虫システム(作品は変わってもいつも出演者が同じ)がまた見事にはまってその……。いやー、これ見る前に食事が終わっててホントに良かったと思った。

次のリュースケ監督作品も興味深く見ました。金魚が、ラスト近くであのような形で再び出てきたのはアッと思った。サイキさんが「うまい……」といっていましたですよ。個人的にはじつは「青空」の方が印象に残っていたりして。どうやってこんな部屋を用意したんだろー、みたいな。引越しシーズンを活用した作品だったという種明かしに納得。

で、麻草監督の「片目猿」にまた爆笑。全般的にいえることなんだけど、漫画の世界をそのまま実写に持ち込むというのは、笑いの基本形のひとつであるらしい。白々しい台詞回し、ありえない手足の動き、決めポーズに作った表情、全部笑える。砂の中から出てきた***で、もう笑い疲れました。うひー。エンディングの「戦って、笑え」も麻草作品。いやー2大看板俳優(いや、冗談でなく)の片山・樋口の魅力が詰まった1本。みなさん出演されてましたし、エンディングにぴったりだったと思う。

というわけで、たいへん面白かったです。多忙につき途中で帰ってしまったぽよさんは残念でした。多忙といえば、宮本さんもこのところ忙しいのだとか。人質解放のニュースを超速報でクリッピングされていたし、このところ更新が多くて嬉しいので、しばらく暇な生活が続いてほしいなあなんて勝手に思っていてすみません。でもなんだかお疲れのようだったので、どうか無理はなさらず(……と、ここで書いておきます)。

それから、麻草さんの期待に反して男性でごめんなさい。サイキさんは「おっぱいありますよ~!」の客引きに絡まれ過ぎ。知らん顔でスタスタ歩いていってしまってごめんなさい。

……ううむ、テキストサイトっぽいオフレポが書けたぞ。これで一区切りってことにしよう。

あ、大野くんの VHS テープ、まだ見ていないんだよなあ(これを書いているのは月曜日です)。いつ、どこで、どうやって見よう? そういえば、もうすぐ GW だね。実家に帰って見るかなあ。やっぱり、テレビとビデオくらい買うべきなんだろうか。何はともあれ、大野くんの未来に幸あらんことを。

Information

注意書き