趣味Web 小説 2005-02-26

エンターテイナーの近所迷惑(切込隊長ブログ雑感)

山本一郎さん(=切込隊長)はネット世論の心をつかむのがうまい。小倉秀夫さんの記事に対する誤読誘発だって、「それは誤読ですよ」というツッコミが押し寄せないことを見切ってやっているわけで。(参考:小倉さんの反論感想戦

修正主義者とでも言おうかという記事を多くの人が参照して「切込隊長が小倉弁護士を完璧に論破」なんて書きました。しかしそれは誤読に基づく仮定を潰し、半ば余談のような形でネット世論に通じる言葉で状況分析してみせたのであって、小倉さんの主張からは離れた内容の記事です。山本さんの素朴な意見はどこにあるのかというと、小倉弁護士の弁解を読んでの中にある以下の一節でしょう。

小倉氏の書いている内容は、書き方が適度に挑発的であることを除いて、平凡な法律面での一般論と常識的な「大人としての見解」であり、こりゃ厨房に祭られやすかろうという感想以上のものはない

山本さんは自分(=山本さん)の煽りに乗ってあちこちで批判コメントを大量投稿し、批判的な記事を書いてはトラックバックする人々を、常識的な大人(=小倉さん)に対置して厨房と呼んでいます。山本さんは醒めた目で見ているのです。つまり知的な愉快犯なんでしょうね。

私がよくわからないのは観客の反応。切込隊長ブログのコメント欄と、晒された側のコメント欄やトラックバック記事にはかなりの格差があるのです。前者は冷静、後者は熱い。どっちが本当なのか? ていうか、同一人物なの? 可能性は大きくふたつ。

  1. 批判コメントや批判記事はネタ(わかってやってる=同人説)
  2. 本気で批判してる(釣られてる=別人説)

もちろん実態は両者の混在なのでしょうが……。で、話を冒頭に紹介した記事へ戻します。ライブドアの出版社をおちょくった山本さんですが、もちろんこれも釣りです。

普通、こういったコメントに関しては、原稿料を支払わない。

多分、山本さんは、そんなことは分かってやってる。分ってるなら何故? それはつまり、現在の(少なくとも切込隊長ブログ周辺の)ネット世論が、出版社を搾取者とみなす空気に包まれていて、「タダで原稿を書けとはいい度胸だ」と書いたらウケるという読みがあるから。案の定、みんな釣られてライブドア・パブリッシングを叩きまくっているわけです。

傍観者としては「面白ければ何でもいい」という感じではありますが、一般論と常識的な「大人としての見解」があまりに無力であり過ぎる(声ある)ネット世論の現状は「いかがなものか」と。山本さんの煽りが、その記事だけで完結した芸になってしまわない間は、ちょっと迷惑の度合いが大きいな、と思います。近所づきあいってものもあるわけで、その。(参考:けなす技術

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