なぜ今、皇室典範改正なのか。雑誌「正論」2006年3月号の寛仁親王殿下インタビューを読んで、少し思うところがあったので、メモしておきます。私の仮説です。
皇室典範改正が急がれる理由は、紀宮さまが結婚して黒田清子さんとなり皇籍離脱された衝撃が、皇統断絶を心配する人々を不安にさせているからです。女性天皇と女系天皇を認めることは、女性皇族の皇籍離脱を制限することにもつながります。彬子女王殿下と瑶子女王殿下はいわゆる結婚適齢期です。2人の女王殿下が結婚される前に、皇室典範を改正したい。
皇族の中で寛仁親王殿下の発言が突出しているのは、娘を皇籍離脱させたい親心のためと解釈できます。真の狙いはココで、他は「あわよくば」の提案。最低限の目標は時間稼ぎです。彬子女王殿下も瑶子女王殿下も明るい性格で知られ、寛仁親王殿下によれば「もてる」らしい。親王殿下は法改正前の結婚を期待されているそうです。(注:現時点でお相手が決まっているのかどうかは不明)
また、寛仁親王殿下のお話を読む限り、やはり愛子さまが物心つく前に皇室典範改正問題は決着させるべきだと思う。教育の基本条件が異なってくるためです。寛仁親王殿下が旧皇族男子との結婚で宮家を存続させ、民間人との結婚では皇籍離脱させるアイデアに乗り気でないのは、皇籍離脱決め打ちで2人の娘を養育してきたからに他なりません。だから旧皇族の皇籍復帰を強く推すのでしょうね。寛仁親王殿下の時間稼ぎが成功すれば、次は高円宮家の3女王殿下へターゲットが遷移し、久子妃殿下のご発言が表に出てくる可能性もあります。
また寛仁親王殿下の建前は男系維持ですが、旧皇族の皇籍復帰が認められなかった場合、娘を守るため、女系天皇もギリギリの判断で容認に転じる可能性ありと私は見ました。女系容認なら傍系にお鉢が回る可能性はほぼ消え、皇室会議で様々な希望が通りやすくなるでしょう。
男女平等の観念を広げるため象徴的に女性・女系天皇を推進したい朝日新聞、伝統を尊重する価値観から男系維持のため旧皇族の復帰を推す産経新聞、娘を守るためメディアの利用を決断した寛仁親王殿下、三者三様の情報戦が展開されています。
ムツカシーことは分かりませんが、国民の問題でしょ。
というのは賛成です。(林家こん平メソッド)
第十條 立后及び皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する。
女性天皇、女系天皇を認めると、皇族女子も婚姻の自由を失う、という指摘。寛仁親王殿下のインタビューでは触れられていませんでしたが、これも重要な変更点ですね。
その後、秋篠宮妃紀子殿下の第3子懐妊が発表され、国会の議論は凍結されました。仮に男子が誕生すると、男系維持+旧皇族の皇籍復帰を主張する人々には追い風となります。なぜなら(事故・大病のない限り)皇籍復帰第一世代が天皇に即位する可能性が消え、傍系継承となっても生まれながらの皇族が即位することになるからです。皇籍復帰から即位までに要する期間は約80年となり、皇籍離脱してからの60年間を大きく上回るわけです。
さて、秋に誕生予定の皇孫が女子の場合、皇室典範改正問題は再燃します。この場合、男系維持派は苦しい。秋篠宮の余命を考えるに40~50年後には、皇籍復帰第1世代へ皇位が継承されることが予想されますが、国民の納得が得られるかどうかは微妙ですね。皇籍復帰後の言動次第でしょうか……。