趣味Web 小説 2006-05-22

小説の映像化

顔 FACE 顔 DVD-BOX

横山秀夫さんは好きな作家。レンタルDVDをたくさん観ている中で、テレビドラマ版と平行して小説も読んでいきました。そういうのも面白いかな、と。

この手の映像化の結果について、たいてい小説派の人は怒るらしいのですが、私はまあ、これはこれで……。テレビドラマも見慣れてくると、楽しみ方のコツというか、何を気にして、何を大目に見るといいのかといったあたり、なんとなくつかめるようになってくるように思う。とはいうものの、ドラマ→原作という順番だからよかったのかも。最終回だけ見た「白夜行」にはずっこけたから。なんでこうなるの、って。先に思い入れがあると難しいのかも。

横山秀夫「顔 FACE」は連作短編集で、連続ドラマの題材にはなるほど向いていると思う。ただし全5話なので、連続11回のテレビドラマにするには話が足りない。原作第5話はドラマ版では前後編になったので、5話が新作ということになります……が、原作のある作品の中にも筋が大幅に書き換えられたものが多く、興味深かったですね。

名探偵の掟 白夜行

「白夜行」の作者・東野圭吾さんの楽しい連作短編集「名探偵の掟」の中に「『花のOL湯けむり温泉殺人事件』論」と題したミステリー小説のテレビドラマ化を扱った作品があります。以前はアハハと笑っていたのだけれど、よく考えてみれば東野さんもけっこう作品が映像化されていて、エッセイでも喜んでいらしたり、完成した映画のできばえを褒めたりなさっていたわけで、変な映像化にずっこけるファン心理もわかっていますよ、というバランス感覚の証明でもあったのかな、と。

「顔」のドラマ版にある原作からの大きな逸脱も、個人的には、その事情や意図を理解できた感じ。東野さんがよく仰っていることだけれども、脚本家だってつまらないものを作ろうとは思っていない。対象とするお客さんの嗜好に合わせていろいろアレンジしたい部分があるということなのでしょう。

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