趣味Web 小説 2006-06-20

便利な武器は使ったもの勝ち

ネット議論を見ていて。

「『○○をするな』っていう意見を言ってるあなた自身が○○をしているじゃないですか(禁止要求するならそれを自身にも適用させなければならない)」という指摘はよく見る。

なんで。

価値観対立はたいてい解消されないため、多くの議論は何の結論も導かない。しかしながら、結論なんか要らない、相手の考え方が理解できればそれでいい、と割り切れるケースばかりでないので、両者が共有できる価値観を何とか見出し、結論を出そうと頑張ることが多い。

「言動を一致させよ」「他人に求めることはまず自ら実践せよ」といった主張は、理由は不明だが、多くの人々に共有されている価値観であるらしい。私自身はあまり賛同しないのだけれども、相手がこうした価値観の持ち主であることが多いから、便利に利用させていただいている。たいていの人は矛盾の塊で、そうそう他人に厳しいことをいえたものではない。

個人的に気に入らないのは、「**さんは責任ある立場だから」みたいなことをいって、「自分はいい加減でいい」けれども「**さんはしっかりやってくれなきゃ困る」とか言い出す人々。大企業だの官僚だの政治家だのといった相手にはやたら厳しい連中が典型的で、私は大嫌い。

そういう彼らだって、ある面では「責任ある立場」だったりするので、私はその方面に批判の糸口を探したりする。「私たち」でない誰かさんを適当な理屈をくっつけて別扱いにしていながら「私はダブスタ野郎じゃありません」が通るか、と。でも、ふと気分を落ち着かせてみれば、彼らに「すみません、ダブスタでした」と認めさせても私に何の得もないよなあ……。

逆に「ダブスタでいーじゃん」という人を説得するのは難しいと私は思う。完全志向を破るには反例ひとつあればいいけれど、不完全志向を破る手立てはふつう、ない。程度の問題として着地点を探すしかないと思う。

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