一読、趣旨がつかめませんでしたが、好意的に論旨を補いつつ要約すると、こういうことだと思う。
マジコンは自主制作ソフトウェアをゲーム機で動かすために必要な機械。しかし不正コピーソフトも動作するため、ネット環境の整備で不正アップロードが増大+不正コピー入手が容易化、さらにマジコンの一般販売+低価格化によって、今ではマジコン=不正コピーを遊ぶ機械と化した。
マジコンを販売禁止しても、不正コピーの頒布が止まらず、不正コピーの入手が容易な状態では、カジュアルコピーの駆逐は不可能。マジコンからエミュレータへ移行するだけ。
またアマチュア開発者は、プロ用ツールを使用する資金的余裕がないため、どうしてもマジコンがほしい。アングラ化しても自主制作マジコンの流通は止まらないだろう。
この不正流通マジコンがカジュアルユーザにも容易に入手できるなら、マジコンの販売禁止は有名無実化する。不正コピー蔓延の実態が何ら変わらず、しかもアングラ化して市場が見えなくなるなら、事態はむしろ悪化することになる。
一方、PCゲームでは、DRM技術の発達により、コピー制限とダウンロード販売を実現しつつ、安価な自主制作環境も維持されている。
つまり、Nintendo DS などの家庭用ゲーム機においても、不正コピー対策はDRM技術の進歩が正道であり、マジコンの販売禁止は筋悪ではないか、といいたいのでしょう。
反論はいろいろ考えられます。
それでも、著者の提言は理解できます。
どうして Nintendo DS はiアプリのような文化を生み出せなかったのでしょう? アマチュア制作のシンプルだけど安価なゲームで遊びたい、DS で音楽を聴きたい、画像や映像を持ち出してDSで見たい、そういう需要に任天堂は応えてきませんでした。
緊急避難としてマジコンを販売禁止とすることに、私は賛成します。しかし、不正コピー対策の正道は、DRM技術の進歩、オンラインアクティベーションの必須化(ネット環境がなければ電話でアクティベーションする)、違法コピーのアップロード徹底取締り、といった方策だ、との思いは変わりません。
また自主開発にも門戸が開かれている方がよいと思う。ゲームソフトはインターフェースに依存する部分が大きいですが、マウスとキーボードは必ずしもゲームには向かない。携帯電話ではシンプルすぎるとすれば、みんなが持っているゲーム機向けに、気軽に、自由にソフトを開発したいと思うのは自然です。
困難な道だとは思いますが、DS で無理なら DS2 以降でもいい、「マジコン禁止の先」を考えてほしいと願っています。
PS2やPS3などの場合、エミュレートが難しいので、不正コピーを入手したところで動かしようもなかったりするわけです。DSやPSPがつらいのは、今のパソコンの性能で新作がエミュレート可能だということ。FCやGBとなると、携帯電話ですら、ほぼ完全なエミュレータがあります。
まだ携帯電話で「使える」レベルで動くDSエミュレータはないようですが、これが登場したときが正念場かもしれません。いや、バーチャルコンソールは既に、この危機的状況に直面しているんですよね。
DSがバーチャルコンソール未対応なので、FCやMSXのゲームでも据え置きのWiiでしか遊べない。ところが不正コピー+携帯電話向けエミュレータなら、どこでも遊べてしまう。そして無料。
App Store のようなものが一応の成功を見ても、着メロサイトのように、公式とアングラが同等の人気を博すというような状況になると、非常にまずい。オールドゲームはユーザの年齢層が高いので状況がマシなだけ、DSエミュが携帯に進出したらシャレにならない、かもしれない。(マジコンとは関係ない話ですが)