「Word が使える」なんて自慢にもならない時代ですが、さて、本当に Word でスイスイ文書を作成できる人がどれだけいるでしょうか? 多くの解説書の著者が Word に無理解で、非効率(場当たり的)な文書作成手法を提示している事実は示唆的です。
本書は Word 初級解説の傑作です。「なぜ**でつまずくのか?」を起点に Word の多彩な機能の背景にある考え方を解き明かします。初級者に「AすればBできる」「BするにはAせよ」とだけ説明するのは、完成図を見せずにジグソーパズルをさせるようなもの。鍵となる技術から設計思想を学び、「なぜAするとBできるのか」「なぜBするにはAが必要か」を理解すれば、Word はグンと使いやすくなります。
基礎・基本は要・根幹ですから、初歩・簡単とは異なります。著者が「罫線の本質」「書式の履歴とスタイルの違い」など上級書でも省略される項目まで踏み込むのは、それが Word の基礎・基本だからです。A5版234頁とコンパクトですが、これほど応用範囲が広く、内容が深く、よくわかる初級解説書は他にありません。じっくり読み込むことをお勧めします。
なお本書は Word を使える「つもり」の万年初心者向けです。これから第1歩を踏み出す方には、「これでわかるワード2003」を勧めます。