Word の使いこなし方を解説した1冊です。ある程度パソコンに慣れている方は、きちんと勉強せずともある程度 Word を使えてしまいます。それが逆に落とし穴で、「Word 使えます」という方の大半は初歩レベルの知識にも抜けが多いのです。本書はそうしたユーザを対象に、デザイン文書の作成方法を解説しています。
文字入力といった初歩の初歩は割愛されており、Word の全体像を学ぶようにもなっていません。しかし図や表などデザイン文書作成の鍵となる技術項目については、入門書レベルから説明しています。一方 Word の難所である印刷の解説は淡々としています。解説は親切ですが、紙面は全体に派手で、レイアウトも凝っています。各所に小さな文字で補足解説が入るなど、老眼の方にはあまり読みやすくないでしょう。
本書は4章構成で、「第1章 どんな地図でもスイスイつくれる 図を描くための基本をマスター」「第2章 イラストも写真も思いのまま 暮らしと仕事に役立つチラシ」「第3章 名簿もカレンダーも彩り豊かに 表入りのものをきれいにつくる」「第4章 人に送るならオリジナルのものを はがきと名刺にチャレンジ!」となっています。
単品の凝ったデザイン文書を作成したい方には役立つ本書ですが、Word への理解は深まりません。「AするにはBせよ」という知識は大切ですが、「なぜBするのか」が不明では、「A'するには?」という応用問題に答えられません。きちんと学びたい方には、傑作「文書作りでつまずくWordのしくみと落とし穴」の一読を勧めます。