Web デザインの中級解説書です。駆け出しのプロが、きちんと素人に差をつけるためのテクニック集であり、基本的には趣味レベルで手を出すような内容ではありません。
タイトルは「誰も教えてくれなかったWebデザインの基本」となっていますが、もちろんこれは売り文句。HTML や CSS や Perl を勉強するだけでは見えてこない領域について扱っているわけですが、じつは本書が解説しているのは、紙ベースのデザインと共通する領域のテクニックと、雑誌の記事では珍しくないけれど書籍にはあまりまとまっていないテクニックなのです。
趣味の延長上で Web デザイナーになってしまった場合、従来のデザイナーの素養や常識がスッポリ抜け落ちていることがあります。専門学校の標準カリキュラムに取り入れられているようなことも、案外、就職したら教えてもらえない。そのあたりに本書の価値があるのかな、と思います。
ところで、下流工程はもちろん大切なのですが、本当の「Webデザインの基本」は上流工程ではないでしょうか。「速習WebデザインWebデザイン基礎」「標準Webデザイン講座 基礎編」などが解説する領域を知らずに、本書の紹介するテクニックばかり覚えても、先行きは暗いように思われます。学習項目の優先順位に要注意。