ユーザビリティとウェブ開発の実践をテーマとした、ウェブデザインの中・上級解説書です。
本書は、目先の具体的な問題に対処する指針を与えません。説明の都合上、僅かに具体例を示した箇所はありますけれども、基本的には抽象的な概念を整理して示すことに主眼が置かれています。そう、本書はデザイナーの抱える膨大な量の問題を腑分けし、きちんとプロセスの中に位置づけていく方法を示す、メタ・ユーザビリティ解説書なのです(私の読み違えでなければ)。
著者は様々な問題とその解決のために持ち出される概念を「戦略、要件、構造、骨格、表層の5段階」に配置し、できる限り一貫した流れの中でプロジェクトを進めていくための考え方を提示しています。このような発想と分類法は、幅広く応用が利きますが、「理屈は理解しても実行が伴わない」のもよくある話。だから、やれば勝つ……のだろうな、と思いつつ読了しました。