| 風邪薬 |
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本当に効くの？
情けないことに、筆者は現在風邪をひいている。本日９月２２日季節の変わり目というのは本当に危ないと思う。僕は毎年５月と９月に必ず風邪をひくのだが、今年もその累を免れなかったようだ。急に冷えた日に半袖シャツ１枚で深夜までＣＨＡＴをするとこうなるのだ。
と、いうわけで今日は大学を休んで家にひきこもっているのだが本日三錠服用した市販の風邪薬、はたして効くのだろうか？ 市販薬であるからしてその効用は「諸症状の緩和」というが、僕は実際薬をのんで寝ても、それほど緩和されたとは思えないのだ。
普段飲むのが「総合感冒薬」のせいかもしれないけれど、効果が曖昧でどこがどう治っているのかさえ解らないのだ。よって、体の調子が悪いことには変わらず、結局は役にたたねーよと毒づいて病院に駆け込むのが常であった。
これが市販薬でも専門薬だと確かに違う。ノーズスプレーは確かに鼻詰まりを解消するし、頭痛止めはかなり楽にしてくれる。下剤の効能は後述するが効果覿面だし、胃腸薬の恩顧には余りある。
風邪薬でも処方薬となると、やはり回復が早いような気がする。薬は一週間分貰うのだが、大抵３日あれば治る。市販薬だと１週間くらいは最短でもかかるので、最近は風邪かなと思ったら初期症状が出た（僕の場合は必ず喉痛）その日に病院に行く様にしている。
さて、薬に詳しい人なら薄々感づいているかもしれないが、僕は非常に思い込みが激しく、権威に弱い。そう、つまり総合感冒薬というあやふやなものより、ずばり胃腸とか頭痛とか対象を絞ったものがいいのである。そしてそこらの薬局で売っている市販薬より、医師というプロの処方箋が必要な処方薬のほうが価値があるような気がするのである。
勿論、総合薬より専門薬の方が特化されてるし、市販薬より処方薬の方が効能が強いのが当然だが、僕の性格から来るプラシーボ効果がその後押しをしていることも間違いない。ましてや「総合感冒薬は効かん！」と思い込んでいるようでは尚更である。 ▲
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| うがい薬 |
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真冬の罰ゲーム
多分どこでもそうだとは思うのであるが、小学校の頃、寒くなると業間体育の時間（２と３時間目の間の体育で３０分くらいの長い休み時間があった）にマラソンをやらされた。
今の感覚からすると寒い日に半袖半ズボンで走るなど狂気の沙汰だが、当時は楽しんでやっていたから童心というのは恐ろしい。
ともあれ冬になると学校は保健衛生に力を入れ始め、風邪の予防に全力を尽くそうとする。「外出したら手洗いとうがい」は一年中啓発運動されていたが、風邪の集中する冬季ともなるとそれは特に厳しくなる。
小学校４年生以降いた学校では、冬になると各自カップを持ってくることが要請された。冬のうがいにかの悪名高き「イソジン」を滴下することを保健当局が決定したのだ。業間体育等の外出授業が終るたびに、児童はカップに水を入れて保健係の所へ持っていく。保健係は１滴垂らすと名簿にチェックをするのである。
何故チェックをするか？ 当時の田舎の学校ではまだ旧来のファシズム的管理思想が生きていたから、という回答もあるにはあるが（当時は何でも名簿で管理していた）、一番の理由は薬がマズくてズルをする児童が多発したからだ。
別にうがい薬を飲む必要はないのだが、甘い子供用イソジンではなく大人用のだったからたまらない。なんせ子供の幼い口腔粘膜は今の僕らのそれとは違うのだ。すべての歯磨き粉がからくて使えない時代である。僕らは初めてこのうがい薬をやった時、揃って吐いた物だ。
その後も毎日やらされたが、これはつらかった。結局あの不味さには慣れなかったね。監視の緩む３学期以降は半分以上捨ててたけど（水を一杯入れて、保健係に少しだけ入れろと要請して半分捨てる、これならまだ耐えられた）はじめのうちは本当につらかった。
こういう恐怖は子供なら誰でも共通して持つものらしく、クラスの誰かが「イソジンやると喉が痛くなる」と冗談半分でいった所、その思い込みがクラス中に伝染したことがあった。児童集団心理というのは恐ろしいもので、僕でさえも確かに喉の痛みを感じた。
小学校６年のとき、僕は友人との賭けに敗れてイソジンを飲むという過酷な刑罰を科されることになった。これだけを書くとまるでイジメだが当時は色々馬鹿なことをお互いやっていたのである。夏に冬服で一日過ごすとか、午前一杯沈黙の刑とかね。
まあ、それはともかく僕は頼んでイソジン１／２希釈溶液での「うがい」にまけてもらった。なんといっても注意書きに「なるべく飲むな」と書いてあったからね。
あれは人生史に残るつらい体験だったね。あれくらいつらいうがいは人生遡っても他にないね。感想を聞かれて僕はいったよ。
「超神水」って。
一滴飲んで吐き出したヤジロベーの気持ちがよくわかる。 ▲
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| 頭痛薬 |
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真夜中のヘディック・ジャンキー
僕は遠距離通学者だ。
片道にして非ラッシュ帯は２時間、ラッシュ帯は３時間かかる。
そして僕は大学生には珍しい真面目系だ。
一日平均６時間は出講し、一日に一冊は何らかの本を読んでいる。
こうなると主として疲れ目から来る頭痛によく見舞われる、大学内ではしばしば長時間ＰＣの前に座っているからだ。これを耐えるのに騒々しい電車内で３時間というのはあまりにもつらすぎる。
そういうときは僕は迷わず薬局に走り、５００円で錠剤を買う。どういう訳か駅前の一等地には大概薬局があるのである。そこには白衣こそ着ているが薬剤師には絶対に見えない繁華街風のアンちゃんがいて、市販の薬を売ってくれる。
僕は親譲りの頭痛もちとして、親が危急の際に使うセデスが一番効くと思っている。次にイブ。バファリンはあまり効いた感じがしないのは、おそらく「半分が愛情で出来ている」からだろう。薬事法違反じゃないのか、愛情なんかで薬を作るのは。
愛情で作るものは子供であると古来そう決っているのだ。
（最近はそうでもないが…って俺は何を言っているんだ！）
ともあれ薬局では薬の他に必ずポカリスエットを買う。なんせ錠剤は単独では飲めませんからね。薬局には大抵水があるもんだけど、こういう繁華街のコンビニ風薬局で出るとも思えないし、田舎育ちの僕にはあう水とも思えませんしね。
新宿・渋谷・池袋、夜なお明るい繁華街の雑踏を眺めながら錠剤を含んで飲み下す。なかなかフリョーっぽい気分がして気持ちがいい。 ▲
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| 胃腸薬 |
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Ｉ ＨＡＴＥ サラリーマン！？
子供の頃からサラリーマンだけにはなるまいと思って生きてきた。
これは幼少のみぎりの頃からの持論なのだが、あの胃腸薬のＣＭは僕にとって恐怖そのものだった。
まず僕の食事についての話からはじめるが、まず僕は普段は平均男子大学生よりはよく飯を食う。今時の男子大学生は異常に体重を気にします。故に殆ど食べてませんね。スタイルとか気にしているくらいですから。
んで、比較相対的に僕が大食漢となるのですが、これが食べ放題などの席になると全然食べられない。つまり日常生活は支障がないものの胃腸がさほど強くないんですね。食べ放題はもう僕は行きませんね。別に早食いではありませんが、まだ他人がこれからという３０分でもう食べられなくなりますから。
そんな僕が恐慌に思ったのは胃腸薬のＣＭですね。
中村雅俊あたりが出てきそうなこんなＣＭです。
上司「さあ、今日はパーっとやるぞ！」
部下「（腹を抑えて）か、課長、今日は胃が持たれちゃって…」
上司「なあにい、そんな時はこれを飲むんだ」
（模式図なんかの簡単な説明が出てくる）
部下「これで大丈夫だあ、上司、今日はおごりですよ〜」
二人「わ〜っはっはっは」
胃腸が弱い部下を慈愛の心で休ませるどころか、薬まで飲ませて物を食わせる。なんという恐ろしい所なのだろうか、と僕は胃弱者特有の神経質な視線でこのＣＭを見たもんです。
あれから十数年過ぎた大学生の私、サラリーマンになれるかどうかも怪しい年になりました。 ▲
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| 下剤 |
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舐めてかかると、怪我するぜ
テレビドラマなんて鵜呑みにするとロクなことはないぜ。
例えば有名な話だが、刑事ドラマでは拳銃の柄で後頭部をぶん殴ると殴られた方は必ず昏倒してしばらく後にうめきながら起き上がるが、現実にやったら相手はまず死ぬ。
他にも２時間ドラマでは被害者のこめかみを銃で撃って自殺に見せかけるために相手の手に拳銃を握らせるなんてのもあるけど、そんなことしたら警察は一発で偽装と見抜く。実際にピストル自殺やったら、衝撃で拳銃はどっかに飛んでいっちゃうんだよ。即死だから。
これと同じことは下剤についてもいえる。
僕が下剤を初めて飲んだのは中２の時、超便秘で腹部膨満という奴でアフリカ孤児のように膨らみ、やばいなあと思って飲んだ。ピンクの小粒ね。
テレビドラマや漫画なんかじゃ、憎たらしい奴の食事などに下剤を混ぜると殆ど速攻で相手はトイレに駆け込むじゃないですか、僕は下剤とはそういうものだと思ってたんですよ。
規定量の３錠を飲みますね。僕はすぐさまトイレに駆け込みました。 ところが何もおきません。そりゃそうですね、コーラックをはじめあの手の市販薬は遅効性ですから。
おかしいなあと思って１０分後一錠追加。３０分後に２錠追加。
そういう具合にこの日、８錠飲みました。８錠。
翌日どうなったかですって？ 翌日まで待つまでもない。
下痢どころか盲腸かと思わせられる腹痛で目が覚め、一晩トイレに篭城ですよ。学校は翌日とその次まで人事不省でお休み。あれはなんですか大変な日々でしたね。詳細に書くのは省きますがまあ、水分を出し尽くしたかのような感覚に教われましたね。
と、いうわけでテレビを信じてはいけません。 ▲
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| 解熱剤 |
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ズル休みの思い出
大学生になって平日の日中に街を歩くことが多くなったが、驚くことの連続である。自分の経験からは信じられないが、昼日向の繁華街を、大量の小中高生が当たり前のように街を歩いているんだもの。
仏教系の厳格な中高を出た僕としてはとても信じられない光景です。大体学校はどうしたお前、という感じ。僕は高校の時は落ちこぼれで、実際今でも同窓会席次は最下位なんだけどその僕でさえ学校をサボったことはありません。
ところが小学校のときは全校集会の日は休みました。学期に一回くらいの頻度ですが、僕はトイレが近くて３時間もやるような集会は耐えられないし、トイレに行くと全校の前で教師から殴られるんですね。大体恥ずかしいし、殴られりゃ痛いしそれが毎回とくればねえ。
もっとも転校前の学校がそうだったのであり、転校後はそういう馬鹿なことはなくなりましたが、小学校１年から３年の全校集会はよく休みましたね〜。
ところが我が家の親はこれまた厳格を究めたろくでなしですから学校を休むなんて絶対に認めないわけです。中学の時に殴り倒して以来、急に軟化しましたが小学校低学年の時など無茶苦茶で、体温も４０度越えて、はじめて病欠を認めるくらいですから。
余りの高熱に学校から先生の車で自宅に送り返されても、「そんなに軟弱な子に育てた覚えはない」といって鍵をかけたまま家に入れない様な親ですからね。酷いもんです。
そんな親ですから、熱が出た程度の理由では休ませてくれません。
解熱剤を無理に飲ませるんですね。彼女は解熱剤をなにかのついでに処方して貰って備蓄してましたから。
サボリを防止するためか母はこういうのです。
「あんたが本当に熱が出てるならこれを飲みなさい。
熱が下がって気持ちがよくなるわよ。
でももし嘘だったら体が凍って死んじゃうからね！」
僕はこの与太ごとを完全に信じて薬を前に恐慌しました。
それでも飲みましたからね、死んだほうがマシだって。
母は「勝手に寝てなさい」と言い捨ててどこか行っちゃいましたが布団に包まって、僕は震えてましたね。自分の体が冷えて死ぬのをずっと怯えながら待ってましたから。笑っちゃうことに冷や汗なんでしょうが、実際に体が冷えてくるように感じるのですね。
僕はさっきまで神妙に死を受け入れようとしたのですが、ここで取り乱して、瞬間湯沸機を点火して湯を体に浴びせ始めたのですね。結局濡れた体が始末できなくて、ズル休みのはずが本当に風邪をひいてしまうのですが、困ったことに体温が４０度行かず、翌日は学校に連れ出されたわけです。
教室にいても、鼻水をたらしながら僕はまだ自分がいつ死ぬか怯えてましたね。勿論実際は死ぬこともなく、担任の命令で保健室で放課後まで寝てましたが（家に送り返しても入れてもらえないので、特例が認められていた）
ちなみに解熱剤は体温を平熱に戻す効果があることから相対的に解熱剤と呼ばれるわけであり、体温３５度の人が飲んだから３３度になるとかいうことはありません。 ▲
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| カフェイン剤 |
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やっぱり、睡眠は、だいぢ
僕がカフェイン剤を利用するようになったのは意外にも大学３年生夏の社会教育実習のときである。僕の周りでは主として勉強するため愛用している者もいたが、僕自身は長眠退室であることを諦観していたため、寝たい時（大体２１時ごろ）に寝ていたのである。
ところが実習だと勝手に寝ていいという訳には行かない。しかも深夜行われる実習というのは昼間に準備があり、これが疲れるためついつい眠くなりがちなのだ。
例えばオールナイトハイク。これは朝の１０時から２３時まで、ぶっ続けで準備をして、しかもそれから翌朝６時まで２０キロをも歩きさらに２時間後片付けである。
他に青少年キャンプは深夜２時に寝て翌朝４時起床というのもある。前日翌日とも日中は激務が待っているわけであり、体力皆無な僕に出来る所業とも思えない。
そこでドーピングのカフェイン剤である。
有名なのはエスタロンモカかな？ 薬局で２０錠５００円か。
結論を言うとこれは確かに効きます。
１錠で珈琲一杯ということですが例によってのプラシーボ効果が強いせいか、それ以上の効果があるようです。規定量の２錠を飲めばもう全然眠くない。睡眠不足の倦怠感もありません。これはいいと思いましたね。依存性があるので気をつけなければいけませんが、ここ一番という時には使えるドーピングです。僕はこれで実習を乗り切りました。
問題は眠気こそはありませんが、睡眠によって当然回復する疲労の除去はやってくれないという重、大な欠点があることは忘れてはいけません。
前述のオールナイトハイクは１昼夜だけなので大丈夫でしたが、キャンプのように複数日に渡ると問題です。帰りのバスの中で全員眠り、僕も眠ろうと思ったのですが、カフェインの効用で眠れない。しかし重い疲れはしっかり双肩にかかってくるわけで、バスの５時間はさながら地獄でした。
くれぐれも薬の濫用は戒めなければなりません。 ▲
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| 精神安定剤 |
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冬の朝、布団の中で
今となっては既に忘れ去られてしまった感があるが、大阪の池田小事件の第一報が入った時、「容疑者のタクマは精神安定剤でラリって凶行に及んだ」という報道があった。
僕はこれを聞いた時、即座に「嘘だァ」と云った。
実際、これは事実と異なる誤報だったのだが、何故僕が精神安定剤のことを知っているかというと、昔付き合っていた女の子が常用してたからだ。いわゆるメンタル系の人間で薬や献血が趣味という変わった御仁ではあった。
当時、僕は常々彼女と馬鹿なことばかりしていたのであるが、ある日彼女に向かってこう訊いてみた。
「なあよ、安定剤飲むとどうなるんだ？」
すると彼女は怪しむような視線で懐から錠剤を取り出した。
「のんでみればァ？」
「ふざけんなよ、ラリ中が二人でどうすんだよ」
事実、僕は度々ラリった彼女の世話をしてたのだ。
「臆病者〜！」彼女は笑っていった。
「ンまあ、安定するって云うより考える力を奪う薬だから、
何にもする気がおきなくなるってとこ。」
「要するにダウナーにラリってるわけか？」
「そうそう、ほら冬とか朝起きて布団からでたくないじゃん。
もっと寝てたいとか言うあんな感じ」
なるほど、この説明はよく解る。僕も冬はしょっちゅうだ。
「んで、それのんでると気持ちいいのか？」
「いいわけないじゃんかよ〜、楽になるってのはあるけど」
「あんま変な病気にはなりたくね〜な」
こういうと、彼女は暗く微笑んだ。
「大佐もいつか必要になるわよ」
彼女と別れて随分になる。もう音信不通だ。
だがタクマの誤報を聞いた時、まず僕は彼女のことを思い出し、冬の朝の自分を思い浮かべた。どんな感情も無化してしまう倦怠。強烈な無気力感を打ち破ってナイフを振りかざすだと？ 僕は服薬中の彼女を思い出した。
とにかく会話が成立しづらい、簡単な判断さえも出来なくなる。非常によく転ぶ。一般に外で生活するのは難しい。
僕は今現在は安定剤は全く必要ではない。
だが…この病的な発狂水準の上がった社会。まさに一寸先にはどうなるのか解ったものではない。彼女の行方は杳として知れない。僕がもし安定剤ジャンキーになって、あの時の僕のように、誰かは見下して感想を訊いたら、いってやろう。
「お前もいつか必要になるぜ」、と。 ▲
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| 栄養ドリンク |
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本当はどうなの
最近といっても薬事法改正によるコンビニの解放後のことだが、栄養ドリンクをしばしば飲むようになった。高校時代も友人に愛用者がいたのであるが、僕はどうしても１００ミリで１５０円という燃費の高さに躊躇していたのである。当時僕は１００円５００ミリの紙パックをやっていたのだ。
最近は経済も大分楽になり、量と金額の比を気にならなくなったので疲れた時などパカパカ飲んでいるのであるが、それでもリポビタン１３０円（←行きつけの店の価格）以上はなかなか出し難いものがある。
高いものの方が効きそうだということはこれは何となく解る。
実は我が家から少々離れたホームセンターではリポが１００円、最低額のグロンサンが６５円で手に入る。それで味を比べてみると確かに根が張るほうが喉に刺激が強い。飲んだことがある人ならお分かりの通り、喉に熱いものが下っていく瞬間を「効く」というのでしょうか。これはほぼ値段に比例します。
この熱くて如何にも効きそうな刺激がそのまま体力回復等に結びつくのかは怪しいものがあるし、事実うちの親父などは「お前は馬鹿か。俺は職場で支給されるからジュース代わりに飲んでるが、ちっともいいことがありやがらねえ。そんな不味いもんを金出して飲むのは馬鹿のすることだ、今度からコーラを買って俺によこせ」と怪気炎をあげるのですが、どうなんでしょうね。
原価は１０円未満だとか、実体はただの砂糖水とか、栄養になるとされているものも正確な研究は不明など、色々な噂はありますが実際のところはどうなんでしょうね。
僕は専らプラシーボです（こればっか）。 ▲
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| 目薬 |
こう見えたって僕には怖いものがたくさんあるさ。
他人が怖がるものは当然怖いのだが、それ以外に云うとダチョウが怖いね。あと茶髪の女が怖い。他に頭に物を塗るのなんてのも怖い。隣の暴走族が怖い。ナインボールの最後の一打が怖い。カラオケではマイクなど怖いねえ。あとは風邪ひいたやつなんか生物兵器だね。あ、牛丼屋の店員は概して怖い。助役は怒ると物凄〜く怖い。弟子も二人きりになると怖い。大学なぞ徹頭徹尾怖い。経済政策の試験は鼻水が出るほど怖い。就職怖いなあ、電話代引き落としが怖い。途中トイレに行けない講義も怖い。学食のマシンばーちゃんも怖いし、それをいえば女性は概して恐ろしい。
いや、このエッセイのタイトルは恐怖じゃなくて目薬だ。
僕は常々目薬が自分で出来る奴を尊敬する。高校大学を問わずに級友には講義終了後にポケットから取り出して難なく滴下する輩が何人もいたが、僕はそれを驚嘆して見張ったものだ。
昔から目に関することは大抵怖いのだ。例えばドラクエは腐った死体なる敵や同類らしき犬（ボミオス唱える奴さ、なんだっけ？）が出てくる。彼らは目が飛び出ているのだが、それだけでダメ。
エアロスミスのナインライブスは金欠高校時代に出た日に買った唯一のアルバムだが目に注射器刺す絵がジャケットにあって、ダメだねえそういうの。
そういう訳で僕は目薬なんて出来ません。コンタクトなんて尚更ですね。目玉に異物を貼るなんて想像しただけで鳥肌です。聞くと黒目をメスで切る手術も世の中にはあるそうですが、そんな事態になったらば即刻安楽死を希望します。
だって痛いじゃないですか、目に物を塗るなんてそれで気持ちがいいんですかね？ なんだか大袈裟にジェット機が飛んでいくＣＭが昔ありましたがね。爽快ですかあ？
僕はよくサングラスをかけていて周囲から怪しまれるのですが、心の根底に潜む眼球保護本能が、そうさせるのかもしれません。
ちなみに誰か女の子に膝枕してもらって目薬をしてもらうのならそれはそれでいいかも（←女は怖いんじゃなかったのか？）。 ▲
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| 歯磨き粉 |
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禁制甘味哀話
別に我が家は特定宗教に深く帰依しているわけではないのだが、何故か僕の教育に関しては親は宗教的な考えを示していた。
つまり宗教とは何の関係もない保守系教育評論家Ｙを勝手に教祖と仰ぎ、彼の著書を教典代わりに見立て厳密に履行し始めたのである。Ｙ教原理主義とでも言おうものか。
教育本は大抵理想主義的に作られているものだが、それを我が家の親は厳密に履行したのだから僕のほうはたまらない。
僕は長らくこの教育評論家Ｙを殺そうと思っていたのであるが、先年病気で死んでしまった。惜しいことである。
ところでその教育評論家Ｙはこういうことを書いている。
「子供に甘いものを食べさせてはいけません」
これの理由が奮っていて、普通は虫歯云々を書くところなのだが彼に云わせると甘いものとは「子供の精神を軟弱にして、周囲への依存心を高めてしまう」ものだそうだ。
「厳しい社会を生き抜くためには甘い砂糖菓子や有毒なスナック類を取り上げることが肝要である」云々。代替の菓子として煎餅等をあげている。ジュースの代わりには牛乳と茶をあげている。
僕に言わせればよくこんな馬鹿げた思想を信じられると思うが、保守的な田舎で育つとこういうものに惹かれるらしいのである。
この本は子供のあらゆる生活を規律しており、面白いのは他にも「子供は叩けば叩く程よくなる」「教師の愛の鞭にはお礼を云いに行く」「地方で農作業をさせること」「先祖祖先の名を暗記させるべし」「一文たりとも金は与えるなかれ」「詩歌音曲は堕落の象徴（大衆小説もいけないそうだ）」「女性とは年を問わずに一切接触させるべからず」「漫画は心の癌」「寝る子は育つ、２０時に寝せて５時に起こすこと」等等等。
まあこれらをすべて履行しようとした母のエピソードも面白いのだが、今回は甘いものについて話そう。
そういう訳で、僕は中２の時に家族を殴り倒して実権を確立するまでこの訳の解らん教則に支配されていたのだが、小学校１年の時はこれが特に酷かった。他所の家に行くと母から電話がかかるのである。
「うちの子に甘いものは一切出さないで下さい」と。
そんなようだから、僕は耐えず甘いものに飢えていた。
呆れたことに母の料理教本を家に誰もいないときに見て、カラーのケーキなどに垂涎していたくらいである。涙くましい話だが給食で甘いものが出るとむさぼるように食べたものだ。
そんな時、父親と一緒に薬局に行く機会があった。父は多分髭剃でも買ったのかなあ〜。僕は歯磨き粉を買いに行った。それまで塩で磨けとか無茶を言っていたのだが、歯磨粉にかえることになったのだ。
僕はすかさず「子供歯磨き、メロン味」を要求した。母は厳格で父は呆れつつ放任というのが我が家の図式だったのだ。父はうむ、と訳の解らん声をあげて「母さんには内緒だ。男と男の約束だぞ」と買ってくれた。
僕はこの歯磨き粉をどうしたか。
洗面所なんか持っていかないよ。勿論すぐに机の裏の秘密の隠場に隠したよ。そして誰もいないときに舐めてたねえ。歯磨きのミントっぽい感じもあるけど、確かに無果汁のメロン味もした。何より歯磨きの癖に甘くてねえ、よく舐めたもんだよ。
それからよく父と薬局に行った。他にパインとイチゴ味があったかな。甘いものが手に入らなかった頃の密かな楽しみ、あまり惨め過ぎるけど、それはそれでいい思い出だ。 ▲
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| 口内炎治療薬 |
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高級赤色シール
１年３６５日のうち２００日はなっている。あんまりによくなるので日記には書いていないくらいだ。「口内炎」と「ヒョウソウ」と「成長痛」は僕の三大持病といっていい。
ともあれいくら年間２００日とはいえ痛みというのは慣れるものじゃないし、口内炎だから食事をしないわけには行かない。しかも僕は刺激食品が好きなのだ。早く治った方がいいに決っているし、下唇（←いつもなるところ）を突き出して歩くのは馬鹿みたいだ。
そういうわけで、僕は薬局に行く。病院に行かないわけは総じて皮膚科は診療費が馬鹿高いためだ。口内炎は痛いしつらいがほっといても１週間で治るのだ。しかもくれるのは薬だけだ。
ところが、口内炎の薬というのは人を馬鹿にしているとしか思えない。千円と結構な値を取るくせに、出てくるものは赤いシールが２０枚。ほら小学校のときに使ったりしたでしょ？ 赤くて丸いシール。あれがついてくるだけ。
勿論あれそのものではなくて薬剤か何かが染みているんだけど、どう見ても外見がチープなシールだ。
それを患部に貼れって言うんだけど唾は拭いても染み出てくる。すぐに剥がれるのである。防水加工はしているのだろうがあんまりな剥がれ方である。
しかも堅いから口の中には異物感が堪えない。飯も食えない。
そもそもが薬の目的が治療でなくて患部保護らしいが、これでは意味がない（口内炎はメカニズムが現代医学では解っていない）。
この点、処方された口内炎薬は強力である。
なんといってもスライム状の小型ゼリーを接着するのである。
つけるのに少々技術がいるが、うまくつけばしめたもの。食事を４回分くらいは普通に出来る。剥がれないし、患部は薬品ゼリーに埋まっているわけだから何をしても痛くならない。治療効果は殆どないらしいが痛くなく時が過ぎ、勝手に治ってくれるわけで、いいこと尽くめである。
ああ〜、こういうのこそ市販してくれないかな〜。
風邪薬なんかと違って、こういう薬は解放してもそんな問題ないと思うんだけど。
あ、医者が困るか。 ▲
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| 避妊具 |
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倫理なき時代のコンビニ
「なあ、山田〜ッ！ コンドームってどこで売ってるか知ってか」
大学２年の冬、僕は友人とラーメン屋にいました。
奇人変人大集合で知られる僕の友人の中でも一際変人な彼は味噌ラーメンをすすりながらこう聞きました。僕は彼の問題発言はなれていますが、今でも奇襲を受けると吃驚します。
カマトトぶるのも何なので彼の質問に答えてやります。
「ええと、薬局だろ…ホテルの売店…あとどこかあるか？」
「わっはっは、お前の非モテぶりがよく解るな」本当に嫌な奴です。
「ま、俺も山田と似たような身分だけどさ。」
彼はその数ヶ月前、なんとか口説き落とした彼女を誘って泊込みの旅に出た。彼は詳しくは語らないがシティーホテルでシングルを取ったとのこと、ケチな奴である。さて当然シティーホテルは枕元に避妊具など置いてあるはずもない。
ホテルに入ったのは１９時、田舎なので店が閉まる時間です。
（注；以下のやりとりは彼から聞いた話を解り易くしたものです）
彼は「あ〜、ちょっとゴム買ってくるわ〜」と云ったのに対し、しかし彼女は「夕食を先にしようよ〜」というわけです。
彼はここで「だって薬局しまっちゃうよ〜」という訳です。彼はそれが初めてだったんですかね。その道に長けた彼女はここで吃驚し、「下にコンビニあったじゃ〜ん」というわけです。
彼が今度は吃驚する。
「えっ？ コンドームてコンビニで売ってんの？」
「はあ？ 当たり前じゃん」
（彼はここで心底傷ついたといっておりました、感涙）
「まさか〜」というと彼女は「じゃ、一緒に行こうよ」
行くとあるんですね。５個で５００円とか云ってました。
彼は後にいろいろなコンビニに行ったそうですがどこにもある。
彼はこれを見て倫理の崩壊を感じたそうですがね、てめえだってやることやってんじゃねえかと僕は云ってやりましたが。彼は僕のニラ餃子を食いながら呆れたように云いました。
「お前、薬局夫婦の有名な美談知ってるか？」
これは話を聞くと知っていました。つまり夫婦で経営する薬局に丸坊主の中高生とおぼしきガキが緊張してゴムを買いにくる。薬局の外では同年代の真面目そうな子が恥ずかしそうに立っている。
二人は客を待たせて、奥に一端引っ込むわけです
妻は「売っちゃダメだよ、教育のために諭して帰そうよ」という訳です。しかし夫は「どうせ売らなくても二人はやるだろう。その結果を考えると売るべきだろうな」と云って売るわけです。
僕もこの美談は割と好きなんですね。なんせ女子を外で待たせる紳士則がいい。今は薬局前の自販機で売ってますが。
今じゃ未成年に酒煙草エロ本をも売るコンビニ。最早こんな美談が生まれよう筈もありません。小学生だって売春しちゃう時代だ。ランドセルしょった女がランドセルしょった男連れてゴムを買いに来ても、コンビニの店員は無表情にレジを打つでしょう。
それがいいのか悪いのかは知りませんが、ゴムぐらいは苦労して買いたいなあと思う僕は青二才ですかね。ちなみに僕の友人の家が経営する某薬局では２割引きらしいです。 ▲
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| ＥＤ治療薬 |
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愛と家庭と製薬会社のために
例えば雑誌なんか読むと広告によく「私はこれで〜できました」という類のものにぶつかることがある。宝くじが当たったとか健康になったとか彼女が出来たとかいろいろですね。
信憑性を増すためでしょうか顔写真付で載っけちゃって、写真の本人は得意そうですが、物によっては随分恥ずかしいことを堂々と云ってる場合もあります。下の方の話ですね。もっとはっきり言うと短小包茎とか精力減退とか催淫剤ですね。
殊に男性誌の場合は実にこれらの広告が多い。そんな所へ仮名にせよ目線なしの顔をさらけ出しちゃって大丈夫かよという感じがしますね。あれに知った顔が出ていたら嫌だろうな〜。
しかもそこには街中では話せないような体験談を書いちゃて、何が「おかずが一品増えた」だこの馬鹿！ 何年前のネタだ。とまあ非常にいかがわしい感じがします。
商品も美容外科の世界なら仮にも正規の免許を持った医者の広告はいいのですが、包茎治療の危惧や精力回復の健康食品などは特にいかがわしさ全開です。やっぱ毎回広告ショットガンをしている所を見ると売れてんでしょうかね？
そういう具合にそのテの広告に顔を出している人を見ると、妙に軽蔑感が専攻するんですが、しかし権威に甚だしく弱い僕としては天下の讀賣新聞を１枚借り切ってのファイザー製薬のＥＤ治療薬の広告に出てくるＥＤ人（あ、ここでは一般人バージョンの方ね）は妙に神々しく見えるから不思議だ。広告にも金がかかっているせいかもしれないけれど。
云ってることは男性誌も讀賣広告も同じで、ぶっちゃけていえば「立たない奴らにゆーけど、これ飲んだらたててやれるぜ。だからこれを買え」ってことなんでしょ？ 悪戯に性を神聖化したり卑下したりすることは慎まなければならないが、この問題見聞する所によれば色々大変そうですね〜。
そうそう僕の友人に日本中の誰もが知る高級バーでバーテンやってる人がいますが、彼の話によるとひし形の薬剤の空袋をよく見るそうですね。云わずと知れたバイアグラです。
そんなバーにいるくらいだから男は相当の金持ちでしょう。自然壮年以上が多くなると予想されます（最近はガキバブリーですからカンチな若者もくるそうですが）。
欲望天国、日本。年でダメになったら諦めりゃよさそうなもの、ドーピングしてまで頑張るとはいやはや。
僕はまだ２１と自分では若いつもりなので問題ないですが。（金満なおじさまは、羨ましいかな？（邪笑）） ▲
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| 湿布 |
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成長しなくても成長痛とはこれ如何に？
子供の頃、目覚めるとすぐ膝に疼痛が走ったことがあった。大体２月に１度のペース。病院に行っても機能的には問題ないとのこと、大抵はその日のうちに治るのだがこれは不思議な痛みだった。
初めて痛んだのは幼稚園年中の頃だ。当時は東北の田舎に住んでいたのだが原因が解らないのに痛むのは異常だと思って、それまで 通っていた小児科の町医者ではなく電車を乗り継いで総合病院の整形外科に診てもらった。
と、先生はやはりレントゲンなど色々取って問診した挙句、成長痛と診断を下した。成長途上にある子供が体質によってはなる病気で、ならない人は全くならない。患部は肘や膝の関節が多く、即日に治るので心配は要らないとのこと。
僕は狐につままれた感じで雪路を後にした。
それから高校１年生になるまで、僕は成長痛と戦い続けた。
当日の夜までに痛みが消えることが解っている以上、たえるしか僕には術がなかった。この疼痛、酷い時は涙が出てくるほどの代物だったが、僕は休むことなく堪え続けた。
僕は中学２年で完全に身長が止まってしまったのだが（元々身長が高かったので７０台はかろうじてキープしたが）何故か成長痛はその後も今に至るまで続いており、僕を大いに苦しめた。
では高校１年のときに何が起きたか。
例によって右膝の成長痛を抱え、母に「体育見学届」を体育手帳に書いてもらっている間、親父が「おゥ、お前もつらいんならこれ貼っとけよ、くさいが聞くぞ」と湿布を持ってきたのだ。
僕は湿布の効用なんて殆ど信じていなかったので、鼻っから相手にしていなかったのだが、何せ膝痛で気弱になってる身、逆らわずにサロメチール臭プンプンするそれをヒヤリと貼り付けで、学校に出た。
ところが、信じがたいことに早くても昼食まで痛む膝が午前中に退散してしまったのである。午後の体育に参加したのは言うまでもない。僕は狂喜して以後は殆ど成長痛の辛苦は味あわなくなった。
とにかく痛んだらすぐに湿布を張って、出来るなら１時間くらいサボって横になってるといい。これでまず治る。今でも僕はそうしている。
一体なんであんなシールみたいな布を張っとくだけで痛みが引くのか僕には全く解らない。液の消炎剤を膝に塗って痛みがひくのは解る。染みこんでる感じがするし。しかし湿布は貼っとくだけ。コールドスプレー的効果は期待できそうだけど、これが効くのが解らない。それでも 成長痛を止める効果は抜群なので利用しているのであるが。
大学２年のとき、友人の家に泊まりに行って目覚めたら膝に激痛が走った。やべえと思って、「湿布くれ」といったら「んなもんーねえよ、男の一人ぐらしにあるかよ」等と抜かす。
時は午前７時、薬局は閉まってるし、第一不慣れな土地でどこに薬局があるか解らない。薬局の場所を訊くと「知らねえ」、病院の近くにあるだろうから病院の場所を訊くと「病院いかねえ」、全く友情の何たるかを心得てない奴である。
結局？ そのまま家に帰るまでの３時間以上、膝の痛みを抱えてうめいていたさ。あんな布っ切れ１枚でも、あるとないとでは天国と地獄をわける１枚になるのだ。 ▲
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| ヒョウソウ治療薬 |
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魔法の薬
ヒョウソウという病気については病院エッセイでも書いてますが主として足の爪の脇の肉が化膿する病気で、物凄い痛みがします。なんせマトモに歩くことも困難になるくらいですから、何にも触らなければ痛くも何ともないんですが、一端物に触れると飛び上がるくらいの痛みが走りますので、精神もやられる恐怖の病気です。
２００１年９月２３日現在、ラグナロク氏が罹患なされたようで慙愧の念にたえません。
ちなみにこの重篤なる病気は基本的に自然治癒しません。爪先の肉が化膿して膿がたまっているわけでしてね。医者の治療が必要なわけです。
ところが治療法に２パターンがあって、一つは爪を剥すのです。人間の痛点が最も集中しているのが爪の付近であることは一般的によく知られている所ですが、ただ爪を剥すところじゃないんです。
僕の場合は左足の親指の爪を、左側を外側から内側にハサミで根元まで切り裂き、そこから直角に右側に向けて切る。それにとどまらず、右側までハサミが到達したらハサミを垂直に立てて患部を抉り出す。
いいですか？ 痛いですねえ。
いや人生最高の痛みと表現して過言ではありますまい。僕の人生で唯一自殺を心底から望んだのはこの時だけでしょう。物凄い悲鳴に待合の患者が２人帰ったそうですから（母の談）。
私はこれを２回やられて、病院恐怖症になりかけまして３回目にヒョウソウになった時は別の病院に行きまして、呉ぐれも爪は剥さないよう懇願しました。医者は「解りました」と抗生物質と消毒剤を処方してくれました。治療は完全に消毒の仕方の講習だけ。
僕は毎日抗生物質を飲み、その消毒薬を熱湯に浸した患部に綿棒で塗布しました。その黒い消毒薬、未だに何という薬なのか教えてくれないんですが、あの痛みが一週間で消えたのです。
あの病院が宗教だったら入信したかもしれません。
それくらいの奇跡。
爪を剥したらとても１週間では歩けませんよ。ヒョウソウの痛みがあるのかどうかわからないほど足が痛みますから。
僕は随分感心して以後は薬目当てでその病院に通っています。
もう僕が医者に行って「先生、ヒョウソウです」というと、先生は一瞥しただけで「あ、君はもう治療法わかるよね」で解放してくれます。あとは千円ばかり納めて薬を貰うだけです。１週間も堪えればヒョウソウからは解放されます。
昔なら死ぬほど怖かった病気も今やなんてことありません。
僕を苦痛から解放してくれる黒い塗り薬（ヨウ素液な色）、僕の部屋には１本分備蓄があるので、今のところはいつかかっても大丈夫です。
ま、かかれば苦しいのは自分な訳でかかりたくはありませんが。
追記；この薬は聞いてみるとあのうがい薬「イソジン」と同じものとのこと。ただ濃度は圧倒的に「ヒョウソウ薬の方が」薄いとのこと。これには吃驚しました。とすると、とんでもないものでうがいしていたものです。 ▲
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| 麻酔薬 |
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夢の中で
子供の時に扁桃腺の摘出手術をしたことがある。
盲腸につぐ楽勝な手術で、簡単にできるらしいのだが。当時僕は幼少で全身麻酔でやってもらうことになった。全身麻酔というのは麻酔を嗅がせて眠らせて目覚めた時にはすべて終っているという奴である。
１９８６年１２月９日、僕はこの手術を受けた。
手術のことは結局何をされたのかいまだに何もしらないのだが、麻酔のことだけはよく覚えている。これは今でも意外なことにくっきりはっきり何があったかを鮮明に覚えている。麻酔で脳の一部が妙に活性化されてしまったかと思うほど。
当日朝、入院していた病室から横になったまま、キャスターで手術室まで運ばれる。
手術室は知らない人のために云うと、ドラマのシーンと殆ど変わらない。地にはタイルの床で中央に排水溝が通っている。天みれば大きい蜂の巣ライトがあって、傍らには心拍数を表示するシステムがある。
動揺させない為か、すぐに手術の用意は始まった。
名前を聞かれたので正直に答える。手術できるよね？ なる問いも頷く。正直気分は高揚してかなりビビっていたが、ここで拒否をしたら母親に顔が曲がるまでぶん殴られるだろう、と思っていた。
早速麻酔がはじまる。注射ではなく吸入式だ。当日の朝にも注射があったが、あれが一体なんなのかはいまだに知らない。
緑の手術衣を着て、帽子とマスクで目だけしか見えない若い医師が鼻と口を覆う、黒いゴムマスクを軽く離して顔に近づけた。
「臭かったり、気持ち悪くなったりしない？」
僕は「大丈夫」と云った。医師は頷いて「普通に呼吸してね」とマスクを僕の口に固定した。
「それじゃ、おやすみなさ〜い」
不思議と僕は息を止めたり意識せずに呼吸をしていた。ただ何となく眠らないぞと気分だけは抵抗を示したような気がする。だけどまあ肉体が薬理作用に勝てるわけもなく、僕の記憶が正しければ２呼吸で僕の記憶は飛んだ。
妙なことだが夢をみた。
この夢は翌日母親に話し、今でも消えることなく覚えている。
僕は汽車に乗っていた。と、いっても本物の汽車ではなく貨車に子供がそのまままたがって進むような、縁日などに出てくる玩具の汽車だ。
ただ夢の中では玩具とはいってもその大きさやスピードは本物の汽車と同じだった。僕は必死でしがみついていた。
汽車の先頭は煙を上げるアレであり、そこにまたがってるのは、ヤケに漫画っぽいライオンだった。アニメ「８０日間世界一周」に出て来るようなアレ。そして次の貨車にまたがっているのはやはり漫画っぽいカバだった。
汽車は田舎道をまっすぐ進む。鉄橋を越えトンネルを越え、しばらくした頃（夢の間の時間なんていいかげんなもんだ）、ライオンが野太い声で言った。
「どっちにいく〜」
僕は「右、右、右」といった。汽車はポイントで右に曲がり、僕は記者からふるい落とされた。
これが夢である。
気がつくと朝だったはずの病室は真っ暗で母親が僕の顔を覗き込んでいた。声を出そうとして血を吐いた。その夜は戦争で僕はバケツ２杯分の血染めティッシュを作り出した。
あの時、もし僕が「左」といったらどうなっただろうと思うことがある。手術が失敗したか医療ミスで新聞の記事を飾ったか麻酔の調合が間違いで一生汽車に乗る破目になっていたか、それとも…。
薬害エイズでもＣ型肝炎でもその病院は問題の薬剤を使用していたとの公表医療所に指定されていた。 ▲
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| 座薬 |
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女性は読んではいけません
僕は座薬を使ったことがない。座薬というのは肛門から入れて、直腸内粘膜から吸収する薬のことでしょう？ ないなあ。下の薬では風邪が悪化した時に尻に注射（これは太腿の上あたりの皮膚だよ）したことはあるが、それくらいかな。
別に恥ずかしがって隠しているわけではない。下半身の病や当地に治療が必要な病気にはなったことがないし（解熱剤は常に経口）幸いにもこの年まで痔になったことすらない。
ところが友人にはいるのである。
別に座薬をした奴がいたって全然問題はないのであるが、これがまた不埒な奴で、神聖な医療行為を勘違いした男である。彼はさすがに病名は明かさなかったが、泌尿器科で座薬をはめられることになったそうだ。
彼はパンツを脱がされ、若くて美人らしい看護婦に座薬を一発、かまされたというのだ。肛門の奥に男性なら必ず興奮する前立腺があるということについては既に周知であるが、彼はその若くて美人らしい看護婦の前で立ってしまったと言うのだ。
「いや〜、看護婦さんに劣位に立ちたくなかったから立たないよう我慢してたんだけどね。ちょっとあの攻撃はきつかったねえ」
何が攻撃だ、この馬鹿と赤面しながらも僕は「で、お前。恥ずかしくはなかったか？」と尋ねた。いくら神聖な医療行為としてでも、羞恥心は消しきれまい。
「いやケツの穴みられるとやっぱ吹っ飛ぶね、そんな気分」
僕は刑務所入所の通過儀礼を思い出した。肛門にガラス棒を指すのは異物検査という表面上の目的の他に反抗心をなえさせるという意味の方が大きいのだ。
「しっかしあの看護婦、顔色一つ変えないでさ〜
さすが泌尿器科にいるだけあって、見慣れてんだろうな〜
手袋はしてたけど何触るのもクールでさ。
一体彼氏はどんな顔してんだろうなとか思っちゃったよ
しかもな…」
とかれは僕に額を近づけた。
「白衣がピンクだったんだよ」
一体、こいつは何が云いたいんだか？ 彼の如き不埒な患者には、風俗一回分くらいの金をふんだくって、看護婦さんにくれてやるといい。もっとも保険のことまで考えるとそれくらいのお金は払っているのだが。
エロ本を読んでいると元看護婦という輩によくお目にかかる。
人間の人間である所に多く接するという点では似たようなものだが、こと若い時に貰える金を比べればそっちに流れる物が出るのもむべなるかなという感じがする。 ▲
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| 塩化ナトリウム |
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みじかなくすり
理科の時間、「ＮａCｌとは何か？」と尋ねられて「塩！」と答えようものなら教師はそれ見たことかと嬉しそうに×をつける。正解は「塩化ナトリウム」が模範解答だが「食塩」でも○なのが一般的である。
ともあれこの塩が薬品として医師の処方箋の下で、処方されるというのだ。やっぱり塩がないとヤバイ病気の人っていうのがいるんでしょうかね。２ｇほどバラに分けられていて、なんとこれは内服薬だそうです。つまり塩２ｇを飲むんですね。
ロバート・Ｂ・パーカーの小説に、激しい運動の後、塩の錠剤を飲むというシーンがあるんですが、それと同じですかね。でもそれなら個人の嗜好であってわざわざ医師が処方を出す必要もありませんよね。やっぱり仮初にも「薬」とされる以上はそういう塩分欠乏症みたいな人がいるんでしょうか。
副作用は勿論、「高血圧」でしょうか。
２ｇって結構ありますよ。
さて、これに似た話として「ハチミツ」というのもがあります。近頃はあまり食べませんね。あれも薬として処方されるのです。尤もこちらは単独でやるわけではなく、子供が飲みやすいように本式の薬とあわせて処方するのですが。
塩に蜂蜜、現在はそこらの店で普通に買える様な代物です。でも処方されると、当然保険が利きますから３割で買えるわけですね。どっちが得かといえばそりゃそこらの商店で買った方が得でしょうが、もし病気でもないのに偽って医者に診せて塩や蜂蜜を貰ったりすると、これはやっぱし詐欺罪なり薬事法違反になるのでしょうか。
ともあれ意外なものが薬として成立するものです。
牛乳なんかも昔は薬扱いといいますが、こういうことは聞いてみると、色々面白いものです。
［情報提供：みけさん ありがとうございました。（ただし責任は筆者の大佐にある）］ ▲
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| アルツハイマー治療薬 |
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ボケ老人も大事な人間？
よくボケ老人の自殺が新聞などで報じられるが、放浪中の事故ならまだしも、実際ボケている最中の老人は自殺などしない。
これは鬱病でもそうだがボケ老人が自殺してしまうのはボケてる最中ではなく不意に現れた小康状態のときであり、動機としては夢うつつなどでは勿論なく「俺はまた周囲に迷惑をかけてしまった」と過去や将来に絶望を感じて死んでしまうのである。
全く勝手な推測だが、おそらくボケている最中は気持ちいいと思う。いやそこまではいかなくても苦渋にまみれた思いでボケているわけではないはずだ。しかるに地獄を見るのは周囲の方で殊に嫁入りした女性が結婚時には既にボケていた義理の父を実に３０年も看病したなんて話を聞くと実に同情に値する。
殺しても懲役は１０年も食わないと思う。
実際前途を悲観して無理心中なんて事件もよくあるわけだがこの問題は一体なんとかして欲しいものだと思う。精神的には死んでも当然の奴が現代医学の力で生き長らえていたりする。
旧来的な親子の絆が薄れた現在、子供にしてみればたまったものではないだろう。直接関係ない義理関係であれば尚更である。
ここで僕は姥捨て山の再興を提案したい。
しかし勘違いしてはいけない。これが無責任な子供の親の投棄場と化してはならない。クールが美徳とされる現在、親を蹴り落とすことが美徳となりかねない。
要は意識のはっきりしているうちにボケたら自分を捨てろと臓器移植カードみたいなものを作っておくことだな。ま、犯罪者に悪用されるような問題は優秀な法務官僚に任せて、そういうシステムがあったら僕は問題なく登録する。
実際他人の人生を押し潰すような迷惑をかけてまで生き延びようとも思わない。若い時ならいざ知らず老境のそれもボケてれば確実に世間の役立たずだ。金は掛かるし手も掛かる。次代にとって、見事に何の役に立たない。
人権思想は意識のないボケ老人まで愛の手を差し伸べようと衆生に命じる。しかし愛の手は時として悪魔的な善意を周囲の人間に押付けようとする。
それは当人にも周囲にとっても迷惑以外の何者でもない。
人権思想は命を最上のものとしてあがめるが、命より名誉が大事な場合もあるのだ。僕はこれに関しては近代人権主義よりも封建名誉主義を主張する。
「名誉ある死を」。日常的に自死を考えることなどないが、ボケ老人の風聞を聞くたび、僕はそうはなりたくないと思うのだ。なお、これは僕の一身専属的な思想であり、僕の両親がボケたら、両親の面倒を見るだろう。それ以外の人間は当然見るつもりはない。
現在、アルツハイマーに限れば実験中の新薬が１５％の割合で、患者の症状を１年前に戻すことが出来るそうだ。これを発展させて完全な治療法が出来るのかもしれないから迂闊なことはいえないが、これが魔法の薬とは笑わせる。
副作用は肝機能低下らしいが、いっそ心臓が確実に停止するくらいの副作用の薬はないものか？ ▲
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