O-0006 ヴォーカルが消える!!

ここに掲載している情報は間違っている可能性が非常に高いので、信用してはならない。これらの情報を信用してアナタが不利益を被ったとしても、それは全てアナタの責任である。

イヤホンやヘッドホンのケーブルを剥いてみると、中には「右チャンネル(赤)」「左チャンネル(白)」「グラウンド線(簡単に言えば、左右チャンネルの線を通っていった電気が本体へ流れて(帰って)いくためのもの)」の3本の線が通っていることが分かります。左右チャンネルでケーブルが別れている(赤と白のケーブルになっている)場合は、赤白それぞれにグラウンド線がついているはずです。(ビデオ用のケーブルでは、さらにもう1本「映像(黄色)」の線があります)

さて。イヤホンなどのグラウンド線を切断するとどうなるでしょうか。普通なら、全く音が聞こえなくなると思うところでしょう。しかし、実際は違います。なんと、グラウンド線を切断することでセンターチャンネル(ヴォーカルのあるパート)が聞こえなくなってしまう――要するに、ヴォーカルキャンセルが働くのです!

とりあえず、切換が容易なように、配線を作り替えてしまいましょう。

左右のチャンネルでグラウンド線を共有している場合、グラウンド線に直接オンオフのスイッチを追加します。左右の線が分かれている場合、 2 本のグラウンド線を束ねて一つのスイッチでオンオフを切り替えられるようにしておきましょう。(グラウンド線は左右で結局同じなので、途中で短絡しても問題ありません)

電気屋さんで延長ケーブルを買ってきてこの工作をすれば、どんなヘッドホンやイヤホンでも使える「ヴォーカルキャンセル装置」が作れます。電気製品の扱いに自信のある方は、試してみて下さい。 B'z の「 Treasure 」に収録されている「ねがい」あたりで試してみたところ、効果がハッキリ分かりました。

一つだけ注意点。私が試した「ねがい」のようにヴォーカルが中央位置にある曲では非常に気持ちよくヴォーカルが消えるのですが、ヴォーカルパートにエコーやリバーブ等のエフェクトがかかっている曲などでは、ヴォーカルがうまく消えません。また、ドラムパートが中央位置にある曲では、ドラムまでスッポリ抜け落ちてしまいます。(この理由については以下で説明します)

また、このヴォーカルキャンセル装置は、ヘッドホン・イヤホン専用の工作です。ダビングするときに間にこの装置を入れてヴォーカルを消す、というような使い方は出来ません。(この理由についても以下で説明します)

というわけで、この技術は実用目的に使うよりは、ヴォーカルが消える! 面白い!という単なるおふざけと考えておいて下さい。 (^_^;)

何故、グラウンド線を切断するとセンターチャンネルが消えるのでしょうか。実は、僕にもよく分かりません。 (^_^;)

おそらくは、グラウンド線を切断したことで L チャンネルの線に R チャンネルの信号が、 R チャンネルの線に L チャンネルの信号が流れて、スピーカーを振動させる際に、重なる部分――左右チャンネルに均等に入っている音、即ちセンターチャンネルの音が打ち消されてしまうのではないでしょうか。

この装置で出来るのは、純粋にセンターチャンネルを打ち消すことだけです。そのため、ヴォーカルと同じセンター位置にある音は、ヴォーカルと一緒に消えてしまうことになります。 B'z の「 BAD COMMUNICATION 」で試してみたところ、ドラムパートがきれいさっぱり消えて、かなり情けない演奏になってしまいました(泣)

また、この装置を使っても、流れている信号自体は元のままと考えられますので、ダビングに使っても意味は無いと推測されます。あくまで、イヤホンやヘッドホンで聴くときのための簡易的なものと考えて下さい。本格的にヴォーカルを消去する場合は、消す周波数帯まで細かく指定できる専用機材やソフトを使用して下さい。

また、この装置では再生機器本体に過負荷がかかることが考えられます。手持ちのシャープ製ポータブル MD プレイヤーとソニー製マイクロコンポで1〜 2 時間ほど連続使用した限りでは特に問題は起こっていませんが、長時間使用すると本体が壊れてしまうかもしれません。僕にはどうすることもできませんので、この装置を使うときは、自己の責任において使用して下さい。

1999/6/13、梅津さんという方から、同様な現象――ヴォーカルが消える効果が FM ステレオ・ワイヤレス送信機でも発生するという体験情報をご提供頂きました。この場合、 FM 受信機側で録音する事が可能となります(ある程度音質は低下しますが)。手元に機材がないのでこちらでの実験はできませんでしたが、興味がある方は試してみて下さい。

(電気に詳しい方で、この現象が起こる正しい仕組みと、本体に与える影響についてご存じの方は、是非とも僕にお教え下さい。)