趣味Web 小説 2003-01-12

最近読んだ本

「永遠の仔」を読了。天童荒太、やってくれたな。1999年にベストセラーになってからというもの、いつか読もうと思っていた。大学の教養科目で児童相談所で仕事をされている方からも薦められたことがあった。

たしかにその方のおっしゃる通り、「永遠の仔」は汚い物語である。ミステリー小説という娯楽作品として面白くなるように、派手で残酷な犯罪が描かれる。だが、それは本を広く売るためには仕方のないことである。天童はそうした小説を書くのが得意だから、自分のフィールドで勝負したに過ぎない。このミス2000年度版で「白夜行」「亡国のイージス」を押さえて1位になったのも納得の傑作。

「白夜行」「亡国のイージス」は文庫になったが、「永遠の仔」はまだだ。天童荒太は文庫化にあたって加筆訂正するのが好きである。だから遅れているのだろう。ハードカバーが高いと思われる方は、古書店を探すといい。やたらと売れた本なので、ちょっと探せば見つかるはずだ。

ついでに、最近読んだ本など。

床下仙人
原宏一/祥伝社文庫/16行×40字/281頁/軽いユーモア短編集。140円の古本だから、私は満足できました。
ちゆ12歳公式ファンブック
松文館/212頁/正直、私程度のライトなファンがファンブックにまで付き合うことはなかったと思った。全部読む気になれない。
永遠の仔 上
天童荒太/幻冬舎/21行×25字×2段/422頁/400字詰め原稿用紙で2385枚……直木賞を取れなかったのは長すぎるという批判があったからだそうな。本作は確かにもっと刈り込むことができそうですけど、果たしてそれが作品をよくすることにつながるかどうかは疑問。
永遠の仔 下
天童荒太/幻冬舎/21行×25字×2段/493頁/いちおうミステリー小説に分類されていますけれども、推理とかそういった要素はありません。あまりミステリーを読まない方って、けっこうその辺を勘違いされていることが多いんですよね。
オタクの歩き方 国内編
岡田斗司夫/ロケット野郎/28行×14字×3段/96頁/この連載を読むためだけに雑誌を買う気にもなれなかっただけに、本にまとまったことを素直に喜びたい。
オタクの歩き方 海外編
岡田斗司夫/ロケット野郎/28行×14字×3段/96頁/このシリーズは要するにおもちゃ屋めぐり紀行なんですが、おもちゃを買わないのに読んでいる人が大半なんじゃないかな。岡田斗司夫の著作は、大抵そうだと思う。本のテーマ自体には無関心な人が、岡田斗司夫の文章は面白いからという、ただそれだけの理由で買って読む。それで満足している、という。
HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術
今村勇輔/エクスナレッジ/286頁/CSSデザイン入門としてはエビスコムの著作がかなりよかったのだけれども、文書型宣言やフレームの取り扱いなどに非常に不満がありました。本書に出会ったときには嬉しかったですね。ああ、ようやくこういう本が出てきたか、と。「ひとりでつくれるホームページ HTML入門」は本書を読んだ後で、実際に自分のサイトを作っていく際に初級者向けの辞書的参考書として読み返すのに最適。本書とセットでお勧めしておきます。

この他にもダ・カーポ506号とか公権力横領捜査官中坊林太郎なんてのも読んだのだけれど、あんまりにもどうでもよさげなのは記録するまでもないような。昔の読書記録が続かなかったのは、何でもかんでも記録しようとしたからだった。

Information

注意書き