趣味Web 小説 2003-05-17

ハンモックのあるライブ会場に憧れる

バンドのライブというのを一番たくさん見にいったのは、大学時代だった。友人の友人にバンドをやっている人が何人かいて、大学祭シーズンになると「チケット買ってよ~」という話が舞い込む。当時もいまも私は収入の多い人間ではないが、とにかく支出が少ないものだから、財布にはいつもたくさん(3000円くらい)お金が入っている。それでお金の匂いに敏感なヤツラが群がってくるというわけだ。

チケットはたいてい500~1000円くらいで、まあ大学祭特価というヤツで安い方は100円というのまであった。いくら会場がただ(校舎を使うから)だといっても、機材を借りるだけだって100円では足が出てしまうんじゃなかろうか。そうでもないのかな。

私は音楽を立って聴くというのが性にあわない。音楽は食事しながら、寝ながら、本を読みながら、とにかく何かしながら聞くのがよい。いちおう、ライブ会場にも椅子はあるのだけれど、ライブがはじまったら周りがみんな立ってしまうので私は困惑する。一人眠ってしまうほどの度胸があるはずもなく、何だか盛り上がっている空気に次第次第に押し出されて壁際まで位置を後退していくのだった。

いったい何をしにきたんだろう、と思うのだけれども、答えは単に「チケットを買わされたんだから、ちょっとは聞かないと損だ」というどケチ根性でしかない。「いや、場違いなところに顔を出す方が時間の無駄。二重に損しているんじゃないのか?」みたいなツッコミを自分にいれて、すごすごとかえるのが常だった。

ハンモックと文庫本なんかが用意されているライブ会場ならいってみたい気もするけれども、人が演奏している目の前で「スピー」と寝息をたてる勇気(?)は、やっぱりない。

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