趣味Web 小説 2003-06-25

理由が先、とは限らない

結論が先に決まっていて、後から説明を考えた場合、説明を否定されても結論は倒れない。説明がうまくできなかっただけであって、結論自体が否定されたわけではないからだ。ディベートにおいて、敗者が最終的に自説を曲げる必要がないのは、こうした理由による。次回、よりよい説明を思いついたなら勝敗は逆転する可能性があるのだ。

説明が先にあって、そこから結論が導かれた場合、説明が倒れれば結論も倒れる。結論を支えるものがなくなってしまうのだから、当然だ。

人はしばしば、あらかじめ問に対する答えを持っている。確信だけがあり、説明はない。だがその確信は主観的なものだから、黙っていたのでは、なかなか理解されるものではない。現に、自分とは違う答えに到達し、公に発表する者がいる。自分ひとりの確信では他者に伝わらない。仕方なく、説明を考えなければならなくなる。

確信の強さと比べ、思いつく説明のなんと弱々しいことか。予想に反してその弱々しい説明が活躍してくれることもあり、もちろんあっさり敗れることもある。敗れたら次の説明を案出する。また敗れたら、さらに新しい説明を導入する。強力な説明を思いつくか、確信が挫けるか、(自分/相手が)飽きるまで説明案出の作業は続く。

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