趣味Web 小説 2003-08-14

対論:ねこのこべや 8

あばれるねこ 11日目によると、堀島さんが購入したCSSの解説書として初めて名前が出てくるのは『スタイルシートWebデザイン』技術評論社です。……なるほど、堀島さんが勉強家であることは認めざるをえませんね。

この話には意外な展開があって、なんと堀島さんが購入した2冊目の本はアンクの『スタイルシート超入門』だったという……。

なんでそれが意外なのかわからない、という方のためにちょっとだけ解説。アンクの解説書は初心者の誤解をまったく解こうとしないことで有名で、結果的に初心者の誤解をいっそう強固なものとする手助けとなります。また、サンプルとして示されるHTML文書の書き方に文法違反が非常に多いことでも知られます。一方の『スタイルシートWebデザイン』は「正しい解説」の代名詞的存在なんですね。

で、「HTMLを正しく使おう」という主張を展開される方の多くは、最初に出会った解説がどんなものか、ということが決定的に重要である、ということをよくおっしゃるわけです。しかし、堀島さんのたどった軌跡は、そうした主張への強烈なカウンターパンチとなりうるのではありませんか。

私はテーブルレイアウトから転向した人間です。方向性の間違いは間違いなりに、素養となる知識が十分に蓄えられた状態で「正しいHTML」の思想に触れたわけです。私はその経験から、「最初から正しい説明をしても、たいてい失敗するだろうな」と思うようになりました。なぜ「正しいHTML」に利があるのかは、ある程度の経験なしには理解できないことです。そうである以上、誤った先入観に助けられてスイスイ理解できる「DTP風HTML」の解説と比べて「正しいHTML」の解説は、初心者にとっては小難しいばかりで、なかなか頭に入ってこないものなのです。

指導者が用意するサンプルは努めて正しくあろうと志すべきですが、生徒にDTP風の発想を破壊してマークアップという考え方を植えつけるのは、非常に困難な作業といわざるをえません。(その困難な作業に挑戦して、かなりいい線いっている「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」は本当にお勧めの本 注:あくまでも入門書なのであしからず)

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