興味があるのは、前にも書きましたが、ネットにおけるテキストサイトの孤立感がどうして生まれているのかということです。それは内部の方々の考察を読んでもわからなくて、勝手に考えています。
それは簡単なことでしょう。テキストサイトだけがサイト間のつながりを強く志向しているからです。
Yahooディレクトリを辿ってみれば明らかなように、テキストサイト以外では、メールと掲示板とメッセンジャーが意見交換に類する交流のすべてであり、サイトのメインコンテンツが意見交換に供されることがない。サイトの根幹に関わる部分に交流が入り込んでいるテキストサイトが、交流に渇望し、孤立感をしきりに訴えるのは、当然のことです。他のジャンルのサイトがテキストサイトのような孤立感を訴えないのも、当然のことです。
本当は、どんなジャンルのサイトだって孤立しています。狭い世界に細分化されて、お互いに言葉が通じない状況になっているのです。けれども、そもそも細分化されたジャンルを超えた交流を志向しなければ、それでなんら困ることはない。寂しく思うこともない。小さな世界がそれぞれに孤立している現実を見なければ、あるいは見ても「別にそれでいいんじゃないの」と思えるならば、問題は生じない。
孤立そのものは問題ではないということ。それを寂しく思うとき、はじめて問題が生じるのです。
ところで、私は加野瀬さんのテキストサイト界隈の定義には疑問符をつけたい。現在のテキストサイト界というのは、サイトの管理人の人間関係に注目しているサイト群
という定義を採用すると、それは孤立感を問題にしているグループのごく一部に過ぎないことになります。加野瀬さんご自身が紹介したネットミステリ界の現状に関するごく私的かつ身勝手な一考察などは、私にいわせればテキストサイト。メインコンテンツで意見交換を始めてしまうのは、みんなテキストサイトの一派。そこまで定義を広げてもテキストサイトは少数派だから、「何でもかんでもテキストサイトになってしまう」という不都合はありません。そのうえ、ネットにおけるテキストサイトの孤立感
という発言もすんなりと意味が通るわけです。(注:加野瀬さんの定義は狭すぎて、テキストサイトではないのに孤立感を訴える例が多くなりすぎます)