もちろん、信じる者はバカを見ます。反例を確認したければ、ReadMeの下位サイトを見ていけば、そのうちに行き当たります。具体例を挙げようと思ったけれども、いろいろ差し障りがありそうですから、にゃごろう村は最後まで1日10~40人しか訪問者がいませんでした、と述べるにとどめます。
この手の勘違いが消えない最大の理由は、ひとつには中堅サイトがつまらないことにあると思う。つまらない、といったって数百人は面白いと思っているのだからそれなりのものなんだけれども、とにかく100人が見て99人はつまらないと判断する程度なわけです。だから、「こんなもの、誰だって書けるだろう」という人が後から後からわいてでてくる。で、実際に簡単に1日200人の訪問者を獲得できてしまう人がたくさん(5%程度)いるわけで、それがまた話をややこしくします。
もう一点。アノレヲさんはかつて、ふつうに何も考えずに(というと語弊があるでしょうが)書いた文章が1日数百人の読者を集める人気を得たので、無意識の謙遜で「誰でもできること」と勘違いされているのです。そもそも少しのやる気と時間
だけではアノレヲさんのあげた5条件は実現できないという事実をなぜ見落としてしまうのか、と私などは思うわけです。ところが、世間には無邪気な方々がたくさんいらっしゃって、「たしかにこれくらい、簡単だよね」「そうだよね」と納得してしまうらしい。
不幸の再生産の構図がそこにありまして、簡単だ、簡単だと思いつつ、なぜかできない、「なぜだ?」という状況、それがアクセスアップ支援サイト(知らない人は知らないらしいですが、これは一大ジャンルとして実在します)には折り重なってよどみを作っています。ある程度、ちゃんとした数字を見せ付けられれば、1日200人の読者なんて、できない人にはできない数字だとわかるはず。しかしそれさえも、「頑張ればできる」という言葉が、じつは「頑張ることの難しさ」を愚かにも過小評価している錯誤に上書きされてしまい、ありもしない夢に現実が取り込まれてしまうことになりがちです。
成功者が苦労しなかったからといって、現在うまくいっていない人も苦労なしに同じことをできるはずがない。しばしば、きっかけがなかったばっかりに埋もれているサイトがあるわけだけれども、レアケースはレアケースなのであって、一般化して話してしまってはいけない。中堅サイトは100人が読んで99人がつまらないというけれども、弱小サイトは1000人が読んで999人がつまらないという。大抵の人はどちらもつまらないと判断するから、なんでこっちが人気あって、もう片方が人気ないのだかわからない。しかし、そこには大変な差があるのです。とはいうものの……。
本が売れた売れたといっても数万部でしかないから、99.95%の日本人はその本を読んでいない。よほどバカ売れした本でも100万部だから、99%の日本人は読んでいない。仮に全員にただで配ったとして、面白いという人がどれくらいいるかといったら、それでも1割に満たないでしょう。過半数の人は10ページだって中を読みはしない。
マーケティングが難しいのは、無関心の海を暗中模索しなければならないからです。売れた、成功した、当たったといっても、相変わらず99%の無関心がそこにあって、これがリサーチを破壊する強烈なノイズとなっているのですね。この妨害電波の前には、成功の種もくだらないアイデアもみな芥子粒のごとく小さく、ひ弱で、どうにも正しく価値を判断できない。プロでさえそうなのだから、まして素人がまともに判断できないのも致し方ない、というべきでしょう。
結局、何がいいたいのかというと、人気を得るために必要なのは、信じがたいことではありますが、内容だけだということです。どれほど多くの人がけなしても浜崎あゆみは売れていて、それはなぜかといったら彼女の歌が大勢の人をひきつけるからです。西村京太郎が売れるのも、売れるなりの内容があるからです。ひとつの証拠として。浜崎も西村も、売れるものと売れないものとで5~10倍の開きがあります。本当に内容が無関係なら、この現象は説明できません。
それでも、理屈はどうあれ人はどうしても「何であんなものが人気を得るのか?」と思うわけで、だからみんな不幸なんです。どうしようもなく。