趣味Web 小説 2003-11-04

産業廃棄物は珍走団よりマシ

1.珍走団と産業廃棄物

珍走団が社会に対して与える良い影響は2つある。

  1. 一般市民に優越感を与えてくれる
  2. 規範や道徳を明確にしてくれる

1は多くの人が感じることだろう。掲示板をのぞいてみれば、そこには珍走団への罵倒や悪態の数々がある。それを読めば、「ああ、私は珍走団のメンバーような激安人間にならなくて良かった。私はたしかに会社ではこき使われる平凡なサラリーマンだけど、彼らに比べればまだマシだ」と思える。

2は、簡単に言えば反面教師。ダメな人間の見本ということである。珍走行為をTVなどで見ることで、「ああいう人に迷惑をかける行為はやってはいけない」という規範や道徳を知ることができる。子供を持つ親ならば、テレビで珍走団の様子が放送されたとき、子供に「あんな風に他人に迷惑をかけちゃいけないよ」と教えるだろう。珍走団がいることで、何が規範から逸脱していているのかが明確になるのである。

Yasさんは、珍走団の存在していい理由として2項目を挙げている。そして、以下の結論を導く。

少なくとも、珍走団のメンバーは、産業廃棄物以上ではある。

奇妙な展開・結論である。以下、そう判断する理由を述べる。

  1. 珍走団のいる社会といない社会を比較していない。珍走団がいる社会において、珍走団が社会に与える好ましい影響を指摘するにとどまっている。
  2. よって珍走団がいた方がいいのか、いない方がいいのか、十分に検討されたとはいえない。珍走団がいなくなれば、好ましい影響がなくなる一方で、悪い影響もなくなる。総体的に見て、どちらの方がよいのだろうか。
  3. 同様に産業廃棄物についても検討した上で、珍走団と産業廃棄物の存在価値を比較しなければならない。

Yasさんのエッセイでは、結論を出すのが早過ぎる。

珍走団の悪影響はいまさら繰り返すまでもないから省略してもよい、としても、産廃についての検討がなぜないのか。いささか不当に省略されていないだろうか。

2.産業廃棄物の定義
  1. 産業廃棄物の定義は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年十二月二十五日法律第百三十七号) 「第二条第四項」に定められている。
    (定義)
    第二条
    1. この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
    2. この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
    3. この法律において「特別管理一般廃棄物」とは、一般廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
    4. この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
      1. 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
      2. 輸入された廃棄物(前号に掲げる廃棄物、船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物(政令で定めるものに限る。第十五条の四の三第一項において「航行廃棄物」という。)並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物(政令で定めるものに限る。同項において「携帯廃棄物」という。)を除く。)
    5. この法律において「特別管理産業廃棄物」とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
    6. この法律において「電子情報処理組織」とは、第十三条の二第一項に規定する情報処理センターの使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と、第十二条の三第一項に規定する事業者、同条第二項に規定する運搬受託者及び同条第三項に規定する処分受託者の使用に係る入出力装置とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
  2. 詳細は宮崎県環境対策部環境対策推進課がまとめた産業廃棄物の適正処理のために(とくに廃棄物処理法の概要・PDF)を参照のこと。
  3. より簡明な情報としては神戸市環境局事業系ごみ対策課がまとめた産業廃棄物とはが参考になる
3.よりマシなのはどちらか

近年、ゴミゼロ達成企業がちらほら出てきて、話題になっている。といっても、産業廃棄物自体がなくなったわけではない。金属部品を削りだし加工すれば、必ず削りカスが出る。プレス加工しても、バリを取らねばならない。事務所では消耗品が出るし、産業がある限り、産廃はなくならない。ゴミゼロとは再資源化率100%のことをいう。(その実態調査結果の一例

  1. 産業がある限り、産業廃棄物はなくならない。
  2. 産業廃棄物は、再資源化すればゴミではなくなる。

産廃は文明社会の必然的要求から生み出されている。しかも、必ずしも無価値なものではなく、相当量が再資源化可能だ。不法投棄された産業廃棄物だけが産廃なのではない。

非現実的手段を持ってすれば、珍走団を物理的に排除する方法はある。すべての車両にGPSをつけ、監視すると同時に、違法な走行車両はすべて厳罰に処せばよい。一方、産廃を0にするには、一切の事業活動を停止すればよい。同じ非現実でも、スケールが違う。珍走団のいない社会は想像できるが、産廃のない社会は想像を絶している。したがって、産廃の方がより根本的な存在理由をもっている、といえる。(もちろん、珍走団になるような人々、という区分なら話は異なる。人類が絶滅するまで、そのような人々はいなくならないだろう)

悲観的な人間観をもってすれば、現代のように若者が気軽にバイクを買える社会から珍走団を消し去ることは不可能かもしれない。しかし、その存在の必然性は、産業ほど明確なものとはいえない。その出自、社会にもたらす利益、不利益を勘案するに、私は珍走団より産廃の方が存在意義がはっきりしており、世の中に欠かせないものだと考える。

余談

日本の通信行政を担当する総務省は、もう少しHTMLのことをわかっている業者に発注すべきだと思いました。検索結果のURIの異常な長さにも驚いたのですが、表示結果にもまた吃驚。そのマークアップの仕方を見てまたもや驚愕。

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