趣味Web 小説 2003-12-23

あなたの好きな要素(HTML)は?

誤解の殿堂

ネタじゃありません。調査なさった方も、回答された方も大真面目なのです。しかしながら、精神衛生上、ネタとして読むことをお勧めします。

3位がp要素、2位がbr要素、1位がa要素というあたりは、ある意味で順当。HTMLのいろはをご存知の方は、2位のbr要素にひっくり返るでしょうけれども、世間ではbr要素が大好きな方が多いのだから仕方がない。

HTMLを他人に教えたことがある人なら、みな経験するはずのことなのですけれども、正しく教えても、必ずといっていいほど生徒は誤解します。HTMLをいきなり素直に理解できる人は、ほとんどいません。マークアップという概念をガッチリ理解して、世の中にあふれるバカ解説のおかしさを自分で指摘できるレベルに到達するのはたいへん困難です。相当の素養がなければ、まず無理だといってもいい。

私が目を離した途端に、「先生はごちゃごちゃいっているけど、要するにH1タグを使うと文字が大きくなるわけよ」と隣の席の人に講釈を始める生徒が現れます。私の説明よりも、経験的実感に基づく自己流解釈が優先され、しかもそちらの方が素人には納得がいくという悪循環。「せんせーのいうことはわけわからんけど、**ちゃんの説明はちょーわかりやすい」なんていうのが聞こえると、薄っぺらい間仕切り壁の裏側で私は絶望的な気分になります。

素人さん相手にHTMLの講釈をする仕事を正業にするのだけは嫌だな、とつくづく思います。というか、ボランティアでも、もう二度とやりたくありません。基本的に、マークアップという概念を理解できる人はニュータイプ(旧人類とは何かが違う存在)みたいなものであって、覚醒の兆候が現れてもいない人に教え込もうとしても無駄ではないか。

ただし重要なことは、だからといって間違った解説をしていいという話ではない、ということ。正しい解説をしても8割方の生徒が誤解します。だから結果を求めても仕方ないのだけれど、間違った解説をしてニュータイプの才能を空費するのはいかがなものか。これはもう断言していいのだけれど、正しいやり方を理解できるなら、絶対にその方が幸せなんです。

とはいうものの、商売としては多数派の満足度を上げることが重要で、多数派の誤解にすりよった解説こそが求められる商品だというあたりが悲劇のはじまり。いつの時代もそうだとはいえ……。小難しい説明を理解できる人は幸せ、そうでない人は不幸なはずなのに、そうならない。日の出を見て、「お~、まさに地球は自転している!」と考える必要はなく、「日が昇る」という解釈でかまわないわけです(一般的には)。地動説が庶民の常識となるまでの道程を想像するに、気が遠くなる思いがします。

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