「Windowsのソースコードの一部が漏出したとすれば、それはセキュリティの面よりも、むしろ知的財産権の面で問題となるだろう」(Microsoft)
という記事について、essa さんはMSが「知的財産権がうんぬん」とか言っているのは、普通に解釈するとそういう意味になる。どういう意図であっても見たらだめ、見たら目がつぶれるよと言っているようなものです。
とおっしゃっています。でもそれはおかしいだろう、と思うわけです。そもそも、いったい何の罪に問われるのか。だからつまり Microsoft が心配しているのはそういうことではない。
ふつうのソフトウェアのソースは秘匿されています。SCO が裁判に苦労したのは、「盗まれたコードをなるべく開示したくなかったから」というのがひとつ大きな理由でした。コードのすべてに特許があるわけではないので、せいぜい著作権程度でしか権利を守れない部分が多々あるわけです。すると、特許にならない様々な工夫は、ソースを開示するとみんな盗まれてしまうわけです。ある程度書き方を変えれば著作権の侵害にならないわけですから。
Microsoft 社は業種と企業の規模の割に特許の出願件数が少ないことで有名です。その膨大で巨大な製品群はブラックボックス化され、秘密のノウハウがたくさん詰め込まれています。ノウハウは非公開なので、特許法による保護の対象外です。見せてしまったらお終いなのであって、Microsoft 社にとっては大変なことになったものだなあ、と思います。
また少し別の観点から。ふつうのソフトウェアのソースは秘匿されています。そして、逆コンパイルも禁止されています。すると、特許を取得している部分についても盗まれかねません。具体的な実装方法を簡単に盗むことができて、しかもバレにくいわけですから。これは Microsoft 社にとって致命的な問題となりえます。
Microsoft がいっているのはようするにそういうことに対する懸念の表明だろう、と私は解釈しました。いずれにせよ、「これくらいならいいだろう」と言い訳しつつコードをちょっとずつコピーする癖のある方は、危なっかしいので流出したソースを見たりしない方がいいと思います。ひょっとしたら、そのために特許侵害の罪に問われて会社が倒れるかもしれないわけで。(書き方を変えて著作権法違反を逃れたつもりでも特許には抵触しているかもしれません)