趣味Web 小説 2004-04-08

日本赤軍以来の重大な人質事件をどう考えるか

残業帰りで、ガランとした寮の食堂で少し遅い夕飯を食べているとき、ふと NHK ニュースを見て愕然としました。後出しじゃんけんで何をいっても仕方ないのだけれども、私が以前「仮に本気で自衛隊のイラク派遣を阻止するなら、どうしたら成功するだろうか」と想像した通りの事件が、起きていたのです。

アンマンからバグダッドに向かった3人のプロ市民(うち一人は週刊朝日に書いているジャーナリストだという)が、武装グループに拘束されました。3人とも、米国によるイラク攻撃・占領統治、自衛隊のイラク派遣に反対の立場だったと NHK は報道しています。

私がこのニュースを見知って、何を考えたか。それは、前段落を読めば想像がつくと思います。政治家というのは、難儀な商売ですよね。非常に、非常に判断に迷う事態です。ことによると、あっさり片付くかもしれませんが、悪い方へ転がれば小泉政権にとって史上最大の試練ともなりかねません。

――。

約2時間、悩んだのですけれども、前段でぼかした内容についてハッキリ書きます。私が想像したのは、次のようなことです。

この事件の実態は……
  1. 「被害者」が自らプロデュースした「自作自演」である。したがって「被害者」に生命の危険はなく、自衛隊の撤退など微塵も考える必要がない。(可能性は非常に低いが、「被害者」が「命を捨てる覚悟を決めているかもしれない」ことには注意すべきだ)
  2. 「被害者」が現地勢力に同情して共闘を組んで引き起こした「事件」である。必ずしも「被害者」に主導権はないので、展開次第では(「被害者」の意思によらず)殺害の危険性がある。基本的に、脅しに屈して自衛隊が撤退することはありえない。しかし、もともと日本人の少なからずが自衛隊派遣に反対だったこともあり、最悪の結果を招来したとき、世論の流れ方次第では小泉首相の政治生命が尽きるかもしれない。
  3. 「被害者」が偶然に不幸に見舞われた「テロ事件」である。おそらく自衛隊は撤退せず、被害者の命は失われるだろう。また、最悪の結果が現実のものとなっても、今すぐに小泉政権が倒れることはないだろう。ただ、「テロに屈しない」のがどれほどつらいことか、日本人は身をもって知ることになる。

小泉首相の決断に注目したい。過去の発言との整合性を取るなら、自衛隊の撤退はありえない。しかし日本は民主主義国家だから、たとえ理由が「民主主義を守るため」であっても、目先の世論をおいそれと無視できるものではありません。たしかに決断するのは首相だけれども、このような日本国民の過半が強い関心を抱いているような問題、そして選択肢がこれほど明確な問題においては、「本当に問われているのは国民の判断だ」といってもよいでしょう。

アルジャジーラの伝える犯行グループの託した手紙の内容によれば、期限は3日間だという。私はまだ、悩んでいます。

補記

日本赤軍以来の……と書いたのは、1.日本国政府への挑戦である、2.国民の多くが「なぜ事件が起きたのか」を理解できる事件だ、という程度の話。例えば「ペルー大使館公邸占拠事件」では、なぜ日本の大使館が狙われたのか、犯人の要求は何か、多くの国民にはよくわかりませんでした。

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