趣味Web 小説 2004-10-08

ウェブログの本質は「形」にあった

ウェブログ・ハンドブックを読んでいれば、絶対にこんな発言は出てこないはずです。

ブログというと、もともとは第1次情報を提供するものでした。しかし最近は分化してきて、第1次情報を発信するブログと、それらのブログを選び、ひとことコメントを加えるようなフィルター型のサイトが出てきた。ブログのアクセス数を左右するという点では、これからはフィルター型のブログの存在が見逃せなくなってきています。

レベッカ・ブラッドは、初期のウェブログがフィルタ型(日本の「個人ニュースサイト」に相当)を基本としていたことを繰り返し説明しています。どんな記事にリンクするか、という外部との関わり方の提示によって自分を表現するスタイルがウェブログの原点だということをいっている(と、私は読みました)。橋本大也さんが人気のブロガーであることは確かですが、ウェブログの歴史について誤認識があるようです。

ところで、ハンドブックを再読していてアレ? と思ったのは、初読時には流してしまった箇所に興味深い記述がたくさんあるな、ということ。とくに関心を持ったのが、米国でも結局、ウェブログは MT が完成させた、いわゆるウェブログ風の「形式」で区分されるジャンルになってしまっている事実。ウェブログツールで作っただけの単なる日記が、ウェブログの大半を占めるようになってしまった、というのです。これは日本の状況とまったく同じなんです。

「ウェブログ」の「本当の意味」は、今や「ホームページ」の「正しい語義」と並べて紹介していい知識と成り果てました。ウェブログツールで作ったサイトが即ちウェブログになるというわけではない! なんて、いまさら主張しても虚しい。

それに実際、本当に時代を動かしたのは、その形式的な部分の革新だったといえます。サイトの日記コーナ用 CGI と日記をサイトに昇格させることを可能にしたウェブログツールの違いは、その設計にありました。米国で blogger が革命を起こし、MT が世界にユーザを増やしていったのは、ウェブログの原点であるはずの更新スタイルではなく、ツールが体現していた「ウェブログの形」が素晴らしいものだったからに他なりません。

日本のテキストサイト文化や Web 日記文化にまったく疎い人たちがどんどん飛びついてきたのはなぜか。日付ではなく記事単位で個別に記事を生成、各記事にコメントをつけられる、魅惑の Trackback 機能、表紙には最新の記事の概要と、最近の記事一覧、最近のコメント、アンテナ、その他いろいろ機能が盛りたくさん……何これ、無駄なものばっかりでくだらない、と批判もされたけれど、これが大勢に受けてしまったんだから仕方ない。

更新スタイルがウェブログをウェブログと定義する、という主張は、まだ死んではいない。しかし、ウェブログツールを使って作ったサイトはみんなウェブログ、という意見を一概に誤りといって通用する時代はもう、日本においても終ってしまったといっていい。

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