趣味Web 小説 2004-10-26

「非効率」でも止められない spam 広告

松永さんの記事は非常に慎重で、よく考えられています。この記事の対象者には個人でブログを運営している人が想定されていて、いわゆる宣伝業者は話の外にある。でも、話をわかりやすくするための例示に業者関連の情報を載せたのが誤解を招いているらしく、この記事にトラックバックしているブログの少なからずが業者の話をしているので苦笑い。

松永さんの記事を読んで「そうか、なるほど」と目が覚めるのは、spam 宣伝をしている者のごく一部です。英文メールは読まずに捨てているのでわかりませんが、日本語の spam メールは出会い系とか、そういうのがほとんど。この人たちは、松永さんのおっしゃっているようなことは承知で、spam 宣伝をしているわけです。ピンクチラシだって同じで、非効率とわかってやっている。それは何故か。

以下、しばらく余談。ふと連想したことなど。本題とはかなり外れていますのでご注意。

私は実家を出てからテレビもラジオもない生活をしているので、昔を思い出して書くのだけれど。民放のテレビやラジオを視聴していても、私は CM なんて気にならない。でもビデオに録画したものを見ているときには、非常に気になったものでした。

削除しようと思えばできちゃったりするのがいけない? ……それも違うか。

一部の無料サーバでは本文に重なるように広告を出す例がある。批判的意見を何度も目にしてきたけど、テレビ CM はある意味もっと凄い。放っておけば番組に復帰するのだけれど、勝手に始まって画面全体を覆いつくすわけで。しかも番組の内容と関係ないし、不特定超多数に向けて同じものを見せてしまう。とんだ非効率。

あるいは企業広告としてのプロ野球球団の保有。たしかに野球チームがなかったら、オリックスなんて「鹿の仲間のあれでしょ?」だったろう。でも、オリックスという会社があることを1億人に知らしめて、あの会社は本当に何か得したんですかね? その業種も知らない人がほとんどだという現状があるわけですけれども。

松永さんは広義の spam 宣伝についてまとめつつ、こういうのってどうなのよ、という結論を導いていらっしゃる。それはそれでいいのだけれど、かなりの部分でその説明に合致する宣伝が世の中にあふれかえっていることに気づく。

「迷惑」という概念を狭義で解釈した場合には、spam 宣伝の本質を捉まえたような気分になれる。そこへ「効率」とか、広義の「迷惑」まで説明に持ち出すと、かえって spam 宣伝の輪郭が曖昧になっていくような気がして、眩暈がしてくる。

閑話休題。たぶんピンクチラシを配っている業者だって、テレビ CM を打てるなら、そうしたいんだろうと思う。出会い系サイトだって、infoseek や geocities で広告を出せるものなら、そうしているんじゃないかな。社会が文化的な理由で彼らを疎外していて、しかし彼らには需要があるから、必要悪(ここでは「悪」を広義に解釈してほしい)として黙認されている。この矛盾が、spam 宣伝として現れてくる。

結果的に受信者の感情には大きな差があるのだけれど、狭義の spam 宣伝とテレビ CM とに本質的な違いはなく、紙一重のところで運命が分かれただけなんだろう、と思う。いずれにせよ、非効率を指摘されても「はい、そうですか」とはいかない。

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