W3C は HTML の仕様を勧告している団体。英語版は斜め読みし、JIS の技術書(?)になった翻訳版と有志による翻訳版を読みました。HTML4.01 の仕様書の説明にはいろいろ考えさせられ、そして共感するものがありました。さらにいろいろな状況を勘案して、W3C の勧告に従って HTML4.01 を使っていくことにしました。それから3年あまり経ちました。
他にもっといい仕様があるなら、そちらに従ってもいいと思っています。じつは W3C 以外では ISO も HTML の仕様を制定しています。これは JIS 規格になった翻訳版しか読んでいませんが、仕様書自体はつまらない内容ながら、補足の解説が興味深いものでした。ただ、ルーズで中途半端な私には向かないかな、と思って、自分のサイトに採用することはありませんでした。(ちなみに ISO-HTML に準拠した文書は HTML4.01 にも準拠した文書となります)
XHTML には興味がなくて、仕様書は翻訳版を斜め読みしただけ。XHTML の仕様書は、少なくとも読み物としてはビックリするほどつまらないので、一般の方には勧めません。
Movable Type を導入した当初、このツールは XHTML じゃないと駄目なのかな? という先入観があって、テンプレートを XHTML1.1 に準拠させてみました。けれども、どうも気に入らない。W3C は XHTML はいいよー、みたいなことを書いている(と思う)のですが、ピンとこない。それでテンプレートを書き換え、HTML4.01 に戻しました。
今、HTML の仕様を考える団体は W3C に集約され、マイクロソフト社なんかもずっと昔から参画していて、対抗馬が存在しないわけですが、別に W3C 以外の団体が新しい仕様を発表してもいいと思う。それが素晴らしい内容で、みんなをひきつける魅力にあふれているなら、Web ブラウザを作っている会社も対応を検討するでしょう。そうして新仕様対応のブラウザが十分なシェアを確保したら、私もその仕様に従って文書を作ってみたいと思う。
「W3C 信者」という言葉は、かなり以前からあるのだけれど、うまいこといったものだと思う。中にいろいろな分派があって、私は新約聖書(=XHTML の仕様書)はなんだか好きじゃない。かつてそこに導きの光を見た旧約聖書(=HTML4.01の仕様書)
の示す戒律に従って生きている。
世間に多いのは、いわゆる(?)「不思議マークアップ」「とほほ HTML」の亜流に属する方々。教祖様のそのまた教祖様をたどっていくと、結局、すべての道は W3C に通じているのだけれど、途中で異教と融合したらしくて不思議な変貌を遂げています。末端信者とか、支部長クラス(中には数万人の信徒を抱えている大物も)になると「HTML というのはホームページを作るためのプログラミング言語」だったりして、面白いですね。
それはそれでまあいいや、と(基本的には)思っているのですが、ときどき不愉快になって異端尋問の動議を起こしたりもしてきました。しかしたいていの相手には自分の意見が W3C 教にルーツを持っていることを知らず、当然、聖典に目を通したこともないので、ちっとも効果がない。いや、そういう方はむしろ話しやすくて、むしろ厳しい戦いになるのは、自覚的な異端者。冷めていれば「放っておけばいいんだ」と気付くのですが、燃えているときはなかなか……。
ただし「宗教戦争は不毛です」というつもりもなくて、意外と、勉強のきっかけはそういう場面だったりすることが多いと思う。
いずれにしても、こういった、「どんな教えを信じるか」「救いとするか」という選択の仕方を考えるとき、たしかにこれは宗教めいています。