趣味Web 小説 2005-02-25

論理的な誤り? 前提条件の相違でしょう

カスタマーレビューで私の意見への反論が。

本書は「ワードでサイトを作る方法」を解説した本です。本書の評価は「ワードでサイトを作る方法がいかにわかりやすく書かれているか」が基準でなければなりません。「ワードでサイトを作ることそのもの」が良いか悪いかは、本のわかりやすさとは全く関係ありません。例えるならば、英検の本を講評する場合、講評の基準は「本の中身」という論点ですべきであり、「英検の必要性」ではありません。つまり、ワードでサイトを作ることが仮にどんなにアホなことだとしても、本書の「中身内容」がよければ、本書の評価は星5つにされるべきです。

そういう意見がありうることは認識していますが、賛成はしませんね。私は「この本を買う価値があるかどうか」を基準に星をつけています。そういった基準の取り方が絶対に間違いである、とはいえないはず。

私も同書をWord による Web サイト作成の解説書としては決定版といってもよいと誉めていますが、さて「Web サイト作成の入門書」として、どうなのか。ワードを使わねばならない決定的な理由がないなら、そもそもワードを使うことに私は賛成せず、この本を買うことも勧めません。コンセプト自体を理由とした採点は不可である、という考え方はアリですが、決して唯一絶対のものではありません。

企画自体を誤りとして点を引くレビューは Amazon に多数あり、これが規約違反でないことを示しています。「電車男」などネット発の本は、割とこれで叩かれていますね。よく売れて需要があったことは明白なのに、「ネットならではの面白さが損なわれており、書籍版には存在意義がない」などといって一刀両断の星1つレビュー。最近では「今週、妻が浮気をします」にも似たような批判レビュー(星も引かれている)がありました。

余談ですが、ベストセラーの2匹目の泥鰌を狙った本で一番のお勧めといえば「バターはどこへ溶けた?」です。「チーズはどこへ消えた?」とセットで読むべき1冊。3匹目の泥鰌「『チーズはどこへ消えた?』『バターはどこへ溶けた?』どちらがよい本か?」までいくと、内容はそれなりに面白いものの、さすがに蛇足という感じがします。

私もワードでサイトを作ることはおすすめしていません。が、そういうことを言いたいのならこのレビュー内で書くべきであって、本の評価(星の数)を落とす理由にはなりえません。レビューを読む皆さまは、是非とも論理的に考えて下さい。

なりえませんと書いた上に論理的に考えて下さいですか。前提条件が共有されていないので、双方とも論理的な誤りはない……のではないか、と。つまりこれは論理の問題ではなく価値観の問題。批判者は特定の前提条件を持ち出して、絶対に譲れない、絶対にこの前提は正しい、といいたいらしい。それを認めれば私のレビューはたしかにダメなんだけれども、果たしてそれほど確実な前提なんでしょうか? とりあえず私は、Amazon はその前提条件をないがしろにしているようですよ、と指摘するにとどめます。

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