カスタマーレビューで私の意見への反論が。
本書は「ワードでサイトを作る方法」を解説した本です。本書の評価は「ワードでサイトを作る方法がいかにわかりやすく書かれているか」が基準でなければなりません。「ワードでサイトを作ることそのもの」が良いか悪いかは、本のわかりやすさとは全く関係ありません。例えるならば、英検の本を講評する場合、講評の基準は「本の中身」という論点ですべきであり、「英検の必要性」ではありません。つまり、ワードでサイトを作ることが仮にどんなにアホなことだとしても、本書の「中身内容」がよければ、本書の評価は星5つにされるべきです。
そういう意見がありうることは認識していますが、賛成はしませんね。私は「この本を買う価値があるかどうか」を基準に星をつけています。そういった基準の取り方が絶対に間違いである、とはいえないはず。
私も同書をWord による Web サイト作成の解説書としては決定版といってもよい
と誉めていますが、さて「Web サイト作成の入門書」として、どうなのか。ワードを使わねばならない決定的な理由がないなら、そもそもワードを使うことに私は賛成せず、この本を買うことも勧めません。コンセプト自体を理由とした採点は不可である、という考え方はアリですが、決して唯一絶対のものではありません。
企画自体を誤りとして点を引くレビューは Amazon に多数あり、これが規約違反でないことを示しています。「電車男」などネット発の本は、割とこれで叩かれていますね。よく売れて需要があったことは明白なのに、「ネットならではの面白さが損なわれており、書籍版には存在意義がない」などといって一刀両断の星1つレビュー。最近では「今週、妻が浮気をします」にも似たような批判レビュー(星も引かれている)がありました。
余談ですが、ベストセラーの2匹目の泥鰌を狙った本で一番のお勧めといえば「バターはどこへ溶けた?」です。「チーズはどこへ消えた?」とセットで読むべき1冊。3匹目の泥鰌「『チーズはどこへ消えた?』『バターはどこへ溶けた?』どちらがよい本か?」までいくと、内容はそれなりに面白いものの、さすがに蛇足という感じがします。
私もワードでサイトを作ることはおすすめしていません。が、そういうことを言いたいのならこのレビュー内で書くべきであって、本の評価(星の数)を落とす理由にはなりえません。レビューを読む皆さまは、是非とも論理的に考えて下さい。
なりえません
と書いた上に論理的に考えて下さい
ですか。前提条件が共有されていないので、双方とも論理的な誤りはない……のではないか、と。つまりこれは論理の問題ではなく価値観の問題。批判者は特定の前提条件を持ち出して、絶対に譲れない、絶対にこの前提は正しい、といいたいらしい。それを認めれば私のレビューはたしかにダメなんだけれども、果たしてそれほど確実な前提なんでしょうか? とりあえず私は、Amazon はその前提条件をないがしろにしているようですよ、と指摘するにとどめます。