以前、各所で話題になった恋愛頭脳という性格診断プログラムの結果を追加しました。問診票のデータも公開していますので、方々で公開されている相性チェックのリンクをたどり、私との相性を確認することができます。なお、ここでいう「相性」は「価値観の近さ」を示しており、女性は女性同士の方が、男性は男性同士の方が相性が高めに出る可能性が高いようです。気のせいかなあ。それほど大勢のデータを調べたわけじゃないのですが。
ふつう、価値観の近い者同士が仲良しになると思われがちですが、このように恋愛観だけを抽出したりしますと、意外に大きなズレが出たりします。オフラインの友達とワイワイいいながらやるのが楽しいと思う。というか、よく知らない人との相性を調べてみても、私にはピンときませんでした。ただまあ、議論を吹っかけられたりしたときには、相手のこうしたデータがあるとありがたいな、とは思いましたけれども。
蛇足かとは思いますが、恋愛頭脳が示す「ランク」に噛み付くのは大人気ないように思います。私は批判記事で恋愛頭脳を知ったのですが、調べてみると、けっこうたくさんの人々を怒らせているようなんですね。恋愛頭脳のランクというのは、あくまでも現代日本の多数派、それも比較的若い世代の多数派の意見を「一般的に正しいとされている価値観」とみなして暫定的に提示しているだけのものです。
ちょっと考えれば、そんなことは理解できるはず。
人肉食はいけないとか、そういった考え方だって、所詮は多数派の意見がどこにあるかだけで決まっているのです。恋愛観は比較的バラけているとはいっても、やっぱり地域・民族を限定すれば、一定の意見が多数の支持を集めている。そこに「正しい」とか「間違っている」といった価値が入り込んでいくのは、少なくとも現在の日本人の思考パターンにおいては必然といっていい。
「あえてイチャモンをつける」という立場なら支持しないこともないけれど、「これは許せない」といった方向で怒り出す人には付き合いきれません。その「許せる」とか「許せない」といった意見に普遍的妥当性があるのか? ないだろう、と思うのです。その限界を知る、分をわきまえることは、少数派が潰されないための知恵です。「いや、虐げられたまま生きていたくなんかない、潰されたってかまわないのだ」それくらいの覚悟があるなら、ある意味、立派だと思ったりもしますが。
一方、恋愛頭脳の結果に衝撃を受けて素直にガッカリしてしまうのも、またいかがなものかと。自分がどういう人間か分かるのは、基本的にはいいことだと思います。ただ、多数派の考える「正解」を盲信するのもつまらないのではないか。というか、つまらないと思ったから、私は少数派であり続けることを選択したわけなので、話が逆ではあります。「これはヤバイ。性格を変えないといけないな」と思う人には通じないのかな。
世の中を動かす多数派がどこにいて、自分の位置から見てどの方向、どれくらいの距離なのか、それだけ把握しておけば、現代日本では少数派にも比較的伸びやかに生きていく余地が用意されています。能天気に生きたら衝突ばかりで苦しいけれど、ちょっと頭を使えば、そこそこ幸せにやっていける。ありがたい時代になったものです。
怒りのパターンが似ているケース。いい方に言葉を補って解釈すればいいところ、脊髄反射でブチ切れる人が出て、わかりきった補注が追加されたという次第。しかし実際、何でもかんでもこのレベルで理解しやすくしなけりゃならんとなると、生きにくくて仕方ない……と思うのは私だけでしょうか。(2005-05-09 修正)
常に圧倒的多数派に属す超常識人の場合、いつだって能天気でいいわけだけれど「いいのは本人だけ」という感じもします。少数派は生きる知恵として自制を知るべきだと私は考えますけれども、少数派ではないと思っている方々にも、願わくば自制心を持っていただきたいな、と思います。