趣味Web 小説 2005-05-20

Advice330 すみれ想

ご依頼人と Web サイトのご紹介

すみれが大好きな vol さん(埼玉県在住)が、すみれにまつわるあれこれをぎっしり詰め込んだ壮大なウェブサイトです。

レンタルサーバの容量を次々に使い果たし、現在、3つ目(4つ目?)のレンタルスペースを順調に埋めているところ。これらのファイルをリンクでつなぎ合わせてひとつのサイトに見せているわけですが、頭がこんがらがりそうですね。3月は調子よく4件アドバイスしたところで急ブレーキとなったのですが、それは「すみれ想」へのアドバイスに困ったからです。それにしても、まさか1ヵ月半も足踏みすることになるとは……。

山路来て なにやらゆかし すみれ草
松尾 芭蕉

菫(すみれ)は日本人の好きな花のひとつ。けれども、とくに若い世代では実物を見たことのない人が多いと聞きます。私は森の外れの小学校に通っていたので、春の自然観察で毎年、すみれを見る機会がありました。最後に野生のすみれを見たのは高校時代、美術部の個人活動として写生に出かけたときでしょうか。小中高一貫教育で、それぞれ別の校舎とはいえ、すべて森の外れの斜面を切り拓いて建てられた学校です。毎日だって森に入ることはできたのですが、そこにいる間は、なかなか恵まれた環境に気づかないものです。

南関東ではすみれの花の季節も残り少なくなりました。私は今年もこうしてすみれの花を見ることなく春を終えつつあり、高校時代も遠くなったものだなあ、と思うばかり。

ご相談の内容

はじめまして「すみれ想」というHPを開設してます。コンテンツの数の割りに内容が浅いので、まず内容の充実とは思うのですが、レイアウトが気になりそちらの方に気持ちが向いてしまいます。表紙をメニューがすべて見えるようにすることと、写真を一枚いれることにしたいと思っています。でもなかなかぱっとせず ちょこちょこ変えています。他の方にはどのように見えるのか気になります。変えたほうがいいところを教えていただけるとうれしいです。よろしくお願いいたします。

アドバイスいろいろ
0.

いろいろ私も考えたのですが、一言でいえば、今のままで構いません。レイアウトが気になるなら、どんどん変えていけばよいのではないかと思います。3ヶ月ほど変遷を見てきましたが、レイアウトに細かく手を加えつつも、更新ペースは高いレベルを維持していましたね。スタートから5年目ということを考えますと、驚異的といってよいでしょう。ふつうは、どうしようもなく飽きるものです。vol さんのすみれへの愛は本物なのだと思いました。

1.

アドバイスにたいへん時間がかかった理由について、まず説明したいと思います。

もし私が「すみれ想」の管理人なら、デザインはともかくサイトの構成は現状と全く異なるものになっていたはずです。私には vol さんのように精緻なサイト運営はできませんので、もっと大雑把に運営できる構造へ変更します。そしておそらく、変更の結果は大雑把な読者にとっても悪くないものとなるでしょう。

というわけで、最初は、サイト構造をシンプルにしよう! という方向でご意見差し上げるつもりで書き始めたのでした。サイト構造がシンプルになれば、ナビゲーションの問題も簡単に片付くし、いいこと尽くしのように思えたんですね。けれども、何度かサイト内を巡回するうちに、「このアドバイスは無理筋だな」と考えるようになりました。

サイト構造の大幅な変更をする場合、作業上、最大の関門は過去ログの再構成です。「すみれ想」のような巨大サイトの場合、いまさら全部作り直すのは個人レベルでは非常に困難ですから、過去ログはそのまま放っておいて、これから作るコンテンツだけを新構成に基づいて設計・配置していくことになります。

けれども、開始5年目にもなるサイトを再編成するだけのメリットが果たしてあるのか。サイト運営に大きな慣性力が働いている間は煩雑な作業も繰り返しの単純作業に収斂し、低コストで継続できるものです。「ここら辺で一区切りつけたい」あるいは「ファイル管理のコスト(労力)増大のため更新意欲減退中」といった動機があれば話は別ですが、vol さんは精力的に活動されているわけです。

「今後、どんどん大変になっていくんだよ」という脅しも半分は嘘。無限にコンテンツが増えていくわけもなく、日々更新されていく項目は一定の範囲内に収まってしまうはず。ファイルを収めるフォルダを適切に階層化していくことさえできれば(注:ここに微妙な問題がある)、まあ大丈夫だろう、という話になります。

2.

「すみれ想」の中で、とくに感銘を受けたコンテンツをいくつか書き並べてみたいと思います。紹介順序に意味はありません。

以下この項は、この記事をご覧になる vol さん以外の一般読者の方々を主な想定読者層として書きます。ご注意ください。

すみれとの出遭い

凡百の管理人には作れないお化けコンテンツをズラリ揃えた「すみれ想」の中でも有数の完成度を誇る、驚異のコンテンツ。vol さんと多くのすみれとの出会いを描いた記録です。

趣味とはいえ、市井の人がこれほど多くのすみれと出逢うのは尋常のことではありません。すみれにこれほど多くの種類があったことを、初めて知る方も多いでしょう。しかも目次で数を稼いでいるだけではないのです。豊富な画像と情感あふれるテキスト。個人サイトの王道を行く内容が素晴らしい。

凝ったページデザインに行き届いたナビゲーション。ていねいねつくりに好感が持てます。このコンテンツだけで十分、通常考えられる個人サイトの水準を突破しています。

すみれそう

すみれの雑学をエッセイ集の形式で再整理したコンテンツ。これがまたすごい。テキストから雑学知識だけ拾っていったなら、中学理科程度の内容かもしれません。しかし、vol さんの長く深いすみれとの関わりと、膨大な画像資産が融合した結果、稀に見る質の高い記事に仕上がっています。すみれ用語集の他、「すみれ想」内の各所との連携も内容の深化に大いに寄与しています。

この項もコンテンツ内のナビゲーションが完備されており、サイトの表紙から順に連なる「パンくずリスト」もつけ忘れがありません(私の見落としがなければ)。これは途轍もないことです。

すみれの花便り

一見、ふつう。でも……。

どんどん読んでいくと、まずその物量に圧倒され、続いてこれほど多くの便りを交わす vol さんのネットワークに圧倒されるでしょう。すみれ愛好家は全国にいますが、これほど多くの便りを受け取るのは並大抵のことではありません。

さらにそれらを整理してきれいにまとめ上げる手際のよさは、毎度ながら感心することしきり。

花の写真集

すみれの花便りと双璧をなす、驚くべき情報量を誇る投稿コンテンツ。

俳句

一茶、芭蕉、子規など64句を集めています。色紙に筆で書いたような画像が雰囲気を出しています。

和歌

古今の著名な和歌集などから35首を集めています。詳しいことはわからないのでただ羅列していますというのですが、なかなかどうして。またここでも、かるたを模した画像がよい効果をあげています。

はなことば

ことば3部作の掉尾を飾るコンテンツ。当然、ちょいちょいと雑誌の端から言葉を引用しておしまいのはずはありません。すみれの花は色ごとに花言葉が違い、誕生花としての担当日も異なっていること、ご存知でしたか? 詳細は、ぜひ実際にご確認を。

すみれの絵の展示室作者リンク集

こんなデザインも採用されるのか、という驚きも少々。個別の記事はふつうなんですが、目次ページのデザインは特色ありますね。利用者はスーッと通り抜けてしまうのかもしれませんが、これを作るのはかなり手間ですよ。

面白い効果を狙った代わりに拡張が困難なデザインなので先行きに不安がありますが、苦労を厭わない vol さんが管理人である限り、大丈夫でしょう。

きまぐれ通信

着々と書き溜められていく日記系コンテンツ。日々の感動を淡々とつづった文章を引き立てるのは、やはり写真。たくさんの大コンテンツを抱えるサイトながら、日記の過去ログも膨大。vol さんは只者ではありません。

3.

サイト内を見て回って、一番感心したのはコンテンツの充実ですが、二番目はナビゲーションの整備でした。

ほぼどのページにもいわゆる「パンくずリスト」が用意されており、多くのコンテンツを有するコーナではまず間違いなく前後の記事へのリンクがありました。それも、ページの上と下の両方です。

「横のリンクと縦のリンクを整備しましょう」という話は、私も過去のアドバイスで繰り返し述べてきました。ところが私自身、サイト内の全コンテンツで実践できているかというと、答えはノーです。やはり面倒が先に立つ。私の解決策はブログツールの導入でしたが、vol さんは地道にコツコツ努力を続けてこられました。膨大な量のコンテンツにひとつひとつナビゲーションを用意された過程を思うと、自然に頭が垂れます。

あちこちにフレームを用いたナビゲーションがありますが、私の見落としがなければ、全てフレーム無しでも大丈夫なように作られているのは、尋常なことではありません。

そして最大の衝撃は、各フレームのソースにありました。なんと noframes 要素がきちんと用意されているのです!! これには感動しました。泣けます。

4.

FrontPage Express 2.0 をご利用になっているようで、font 要素など多用されているのですが、その一方で外部 CSS ファイルなども活用されていますよね。このあたり、あまり面倒に思わないのでそうされているのでしょうが、ちょっともったいないような気もします。マークアップをもっと簡単に、シンプルにしていくことができれば、日々の更新はもっと楽になるのではないか、と思ったのです。

というわけで、一例としてサイトの表紙について改善案を作ってみたのですが……なかなか難しいですね。あまりうまくできませんでした。

真似できそうなレベルで、と考えて、基本的にはテーブルレイアウトを踏襲しています。マークアップとスタイル設定をシンプルにするため、一部、デザインを簡単に整理したりもしました。

HTML + CSS の合計でファイルサイズ半減です。画像も一部削減。1回書いたらそれきりの CSS はともかく、日々更新する HTML ファイルの簡素化は、作業負担の削減に直結します。もし興味がおありなら、お勉強の進み具合にあわせて、だんだん CSS に多くの部分の装飾を任せていくとよいでしょう。

とはいえ、絶対に、何が何でも、というつもりは全くありません。これほどの規模のサイトともなると、コーナ毎にデザインが異なるのもそれはそれでいいんじゃないかと思ったりもします。画面のどこかにすみれの画像を配置するという方針も、よい効果を上げていると思いますし、今後も気になるところをチョコチョコ直していく方針でよいのではないでしょうか。

5.

変えたほうがいいところを教えていただけるとうれしいです。というご依頼だったのに、ほとんど何もアドバイスできなくて申し訳ありません。

とにかく素晴らしいサイトだったので、感動しました。

余談・アフターサービス

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