趣味Web 小説 2005-05-20

Naver ブログと Yahoo! ブログの挑戦

1.

島村
藤本さんが、もうこんな仕事嫌だ、やめるって言ってました。
吉原
えー、まじで!!藤本、何があったんだ?
藤本
著作権侵害記事や荒らし行為があまりに多くて・・・このまま続けていく自信がなくなったんです。
田代
著作権の問題ってずーっと前から問題になってただろ。対策やってきたんじゃなかったのか?
島村
はい、対策して、減ってはきているんですけど、なかなか…。
田代
スクラップ機能、よく槍玉にあげられてたけど…。
島村
はい、そうなんですけど、スクラップ機能って、あくまで他の人のブログ記事を引用する、ってだけの機能ですよね。著作権侵害記事がなければ、それが引用、転用されることもないわけで。まず、著作権侵害記事自体が作られないようにすることが大事だと思うんです。
田代
ふむ。
藤本
機能を大きく制限すると、きちんと使ってくれてる人に不便になってしまうし、どんなに機能制限をしたとしても、やろうと思えばいくらでも著作権侵害できちゃうわけで…。
島村
お客様一人一人に、著作権についての理解を深めていただくことが何より大事だと考えたんです。
田代
それで理解を深めてもらう活動をやってきたんだよね。でも、なかなか難しいと。
島村
はい。
藤本
著作権侵害以外にも、アダルトや、荒らし行為など、後を絶ちませんし…。
吉原
NAVERブログは簡単、便利に気軽に使ってもらう、というのをポリシーにしていたじゃない? それが、喜んで使ってもらえている一つの理由だったと思うけど、これからもっとたくさんの人に安心して使ってもらうには、もう少し違うアプローチが必要なのかもね。
藤本
問題なのは、匿名性が高いってことじゃないかしら。これはNAVERブログに限らないかもしれないけれど…。
吉原
無責任に使っちゃう人がいるってことだよね。

というわけで、Naver ブログをやめて、CURURU という SNS 型コミュニティサービスへ移行しようという結論が導かれるわけです。

2.

私はスクラップ機能には大賛成なのです。Naver ブログのデフォルト設定はスクラップ拒否なのですが、できれば初期設定でスクラップ許可のまま押し通してほしかったですね。

Web の log において、リンクの問題点は何か。それは、リンク先の記事がアッサリ消えてしまうということです。本や雑誌、あるいは CD などであれば、中古市場や図書館などを丹念に回れば、人気のあった作品であれば絶版(廃盤)後にも読んだり聞いたりできることが多いですよね。ところが WWW では、作者が消すと決めたら一撃でコンテンツが消えてしまう。Internet Archive だって、クレームがあればログを消します(英語でしか苦情を受付けていませんけど)。

本当に素晴らしい記事が、作品が、作者の一存で WWW から消えてしまう。著作者が作品の公開・非公開を完全にコントロールしたい、という気持ちはわかるのですが、果たしてそれが世の中のためになるのだろうか、と私は思います。

ネット世論というのはおかしくて、昔の Napstar が潰されたときは残念がる声が大きかったのに、Naver ブログが相手となると叩く声ばかり。相違点は多々ありますが、どっちも不特定多数を結びつけるウェブサービスという大雑把な括りでは共通していますよね。私が思うに、世論を誘導した決定的なポイントは、著作権被侵害者の主体がプロか素人か。ネットユーザは、自分たちがプロの作品をコピーする行為に甘く、素人の作品のコピーに厳しい。剽窃や盗作の批判ならともかく、転載だって(しばしば)許さない。

パブリックP2Pのような考え方を支持するなら、素人のコンテンツだって、コピーと無許可流通をある程度は認めなければ、矛盾するのではないでしょうか。あるいは、お金になる素晴らしいプロの作品こそ、ガッチリ保護されるべきであって、コピーされても、さらにコピーが公開されても実害の生じない素人の作品に過剰な権利を付与する必要はないのでは?

とはいえ、結局のところ権利者が転載を認めていく他ないのが現状。しかしながらクリエイティブ・コモンズは一部の意識の高い層にしか浸透しないでしょうし、さてどうしたものか。そこへ登場したのが、スクラップ機能を搭載した Naver ブログと転載機能が売りの Yahoo! ブログでした。

これに対してYahoo!ブログは新たな「Y!転載厨」を生むかなんて危惧論ばかり出てきたのは何故なのか? 情報の消費形態を規制しようとする著作者の近視眼が世界を閉塞させていく……と説いたのが、例えば CCCD 問題におけるネット世論のあり方でした。ならば自らの著作権についても、率先して開放を説いてもよさそうなものなのに、仲間の話となると権利意識向上のアジテーションばかり。権利の制限が世界をよくする可能性を、なぜ想像しようとさえしないのか。

Naver ブログのスクラップ機能や、Yahoo! ブログの転載機能が有効に機能すれば、素晴らしい記事が作者の一存で消滅してしまう危険が減り、サイトの閉鎖について思い悩む時代が終ります。素晴らしい記事なら必ず誰かが転載し、検索エンジン経由で到達できる状態が維持されます。逆に誰も転載しなかった記事は、「需要がなかったのだから消しても構わない」と判断できます。

ボタンひとつで転載できるのだから、リンクより簡単。これほど素晴らしいウェブ「ログ」システムが他にあるでしょうか? mixi と同様、Naver ブログや Yahoo! ブログも、インターネットを再発明しようとする挑戦なのだと思います。

Naver や Yahoo! が目指すのは、潤沢なフリーコンテンツを自由に享受できる世界です。本は仮に絶版となっても、買って手許に置いておくことができました。ウェブのコンテンツはたいてい無料ですが、気に入ったコンテンツを素人が簡単に保存し未来へ伝え残す仕組みが、従来のネットには存在しませんでした。

Winny の挑戦は夢破れました。そして大勢が悲しみました。では Naver と Yahoo! の挑戦はいかに? 今、著作権の侵害を不安視するあまり、スクラップ機能や転載機能そのものを殺そうとする人が多い。P2P 自体は素晴らしい技術だといい、「不安」だけで未来を潰そうとする勢力を批判していたのは誰なのか? 私はここで、「どーだ、福祉の喫茶店からも著作権料を徴収する JASRAC の気持ちがわかったろう」とはいいたくありません。

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