趣味Web 小説 2005-05-31

Advice333 Easy Fixtures HTML

ご依頼人と Web サイトのご紹介

管理人の kouzai さんは、2003年にパソコンを使い始め、2004年10月にウェブサイトの運営をスタートした15歳(2005年3月当時)のフレッシュマン。「Easy Fixtures HTML」は初心者から上級者までホームページを作成する人を応援するサイトで、以前は「Room of Killing Time」と名づけられていました。現在、6月公開を目指して新サイトを建設中とのこと。となると、「いまさらアドバイスをもらっても遅いよ」なのかもしれませんが、きっとこの先何回も新サイトを作ったりリニューアルしたりすることになるはずなので、私の方はあまり気にせず書くことにいたします。

ご相談の内容

このサイトのデザインのテーマは「スリムで使いやすい」のはずだったのですが、完成してみるとなにやらバランスの悪い気がし、意見をいただけないかと思い書き込ませていただきました。デザインなどのご指摘をお願いします。

アドバイスいろいろ
1.内容のこと

デザインについてアドバイスを、という依頼なので、内容には触れるべきではないのかもしれません。だから、詳細は書きません。ただ、「いかがなものか」くらいはいわせてください。どこで勉強されたのかわかりませんが、師事した先生がまずかったのだろうと思います。

もし可能であれば、入門書の傑作「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」を購入して再入門なさるとよいでしょう。それが不可能であれば、以下に示すウェブサイト群で学ばれることを期待します。

HTML 文書の基本的な作り方について、kouzai さんはいささか誤解されているようです。そして誤解したままに HTML を解説されている。これは残念なことです。まずは HTML とスタイルシートについて、認識をあらためていただきたい。続いてデザイン論について、今一歩、理解を進めていただきたいのですが、これは少しずつでよいでしょう。何せ目標が明確でないので、「街道をまっしぐら」とはいかないだろうと思います。

お勉強は記事の充実・発展に寄与するばかりではなく、kouzai さんの今後のウェブサイト製作全般に好影響を与えるはずです。正しいウェブ製作手法の習得は、作業の大幅な効率化をもたらします。そういったわけで、仮にリニューアル後のサイトがウェブ製作支援サイトではないのだとしても、お勉強が無駄にならないことは保証いたします。

2.余白の使い方

バランスの悪さを心配されているようですが、なるほど、当たっています。kouzai さんのサイトには、いくつかのアンバランスがあります。

まず簡単なところから。

表紙以外のページを見ますと、どうもカッコ悪く見える。それは何故か。

余白の使い方がおかしいからです。

じゃあ正解はどんな感じ? それはリンク先に好例がありますね。解説がいい加減なので私は好きじゃありませんが、とにかくたいへんな人気(表紙だけで1日1万ページビュー)を誇る「みんなのタグ辞書」というサイトがあります。注意してご覧いただければ気付かれる通り、基本的なレイアウトは「Easy Fixtures HTML」と同じなのです。けれども、バランスよく見えますね。そして練りこまれたサイト構造とナビゲーションの妙により、非常に使い勝手がいい。

リッチなナビゲーションはともかくとして、ここではレイアウトに注目しましょう。「Easy Fixtures HTML」のコンテンツページは、一見して右側に余白が多い。まあ、それはいいのですが、逆に左側に余白がなく、枠線と文字がくっついています。これがいけない。

え? それだけ?

それだけです。余白はバランスよく設定してください。「みんなのタグ辞書」は、右側の余白を広告で埋めたりもしています。単なる小金稼ぎに見えて、あれもじつは画面のバランスを取る役割を果たしているあたり、さすがですね。とはいえ、広告はやはり目立ち過ぎる感じもします。そこで左端にルーズリーフの端っこみたいな帯画像を置き、左右のバランスをとっている。絶妙のデザイン感覚です。

じつは kouzai さんも、同じようなことを別の場所でなさっています。表紙を見ますと、「~系統」という部分の背景色が黒、これに対応させるように、下位項目6つの下に再び空白の細い黒帯を用意されていますよね。この帯を取ってしまうと、デザイン的にアンバランスになることは、ご理解いただけるはず。右を考えたら左も気にする、上に何か置いたら下にも気を回す……バランスの取れたデザインを考えるときの、初歩的な思考ルールです。

というわけで kouzai さんには、まず本文領域に適切な余白を設定していただきたいわけですが、他には、パンくずリストも窮屈な感じですね。copyright の表示も、上下はともかく左右の余白がもう少しほしい。余白の設定がうまくできているのは「Easy Fixtures HTML」という最上部のサイト名を入れている部分ですね。あんな感じに仕上げていけばいいのではないでしょうか。

3.配色

モノクロを基調とした落ち着いた配色、画像の使い方は、まずまずバランスが取れています。リンク色なども、うまく調整されていますね。

唯一、アンバランスを感じるのが「強調色の赤」です。

スコーンと抜けた、赤そのままの色を使ってしまっているのですが、これは誤りです。各ページ最上部に用意されたサイト名の部分、グレーの背景に赤い文字と黒い文字が乗っていますね? 赤さえなければバランスがいい、と私は書きました。現在の「Easy Fixtures HTML」は全体として端正なグレーのイメージであり、サイト名の背景のグレーはこのサイトを象徴する色です。さて、黒い文字と赤い文字、映えているのはどちらでしょうか? 黒い文字のはずです。

では、どうしたらよいのか。じつは2通りの考え方があります。今回は、両方適用した方がよいでしょう。

まず、ベースの文字色をおとなしくします。モノクロは無彩色、とは色彩の初歩ですが、じつは初級者の定石、感覚的なコツとしては、真っ黒というのもひとつの純粋な色とみなすことができ、実際にそう捉えた方が配色はわかりやすくなります。微妙な濃さのグレーの上に色を置く場合、純粋な黒はいささか強すぎるきらいがあります。何を対抗馬に持ってきてもこれに勝つのは難しい。だからベースの文字色が黒では困る、ということになります。そこで、文字色を濃いグレーにします。

次に、強調色の赤もまた、少しくすんだ色にしてください。方向性としては2通りあります。純粋だが暗い赤にしていくか、濁らせていくか。どちらでもかまいませんが、既に茶色を使用している部分がありますので、赤の明るさはそのままに色をにごらせていく方がうまくいくように思います。

red = #ff0000 です。これを暗くしていくなら #cc0000 や #990000 などへ変化させていく。色をにごらせていくなら、#ff3333 とか、#ff6666 などを指定してみる。これでしっくりこなければ、#cc3333 や #cc6666 などを試してみてください。パリッとした色をうまく組み合わせるのが一番強い印象を与えやすいのですが、主張の強い色をうまく制御していくのは本当に難しい。何だかパッとしないなあ、と思われるかもしれませんが、落ち着いた調和の道を模索するのが無難です。

4.サイトの構成

「Easy Fixtures HTML」の表紙は、コンテンツページと比較してきれいに見えます。余白のとり方がうまく、また対称性をうまく取り入れたレイアウトとなっているからです。背景画像の固定も、画面のちらつきを避ける意味で正解ではないでしょうか(逆にコンテンツページはまずい。スクロールすると背景が明滅して見え、どうも気になりますね)。またテーブルの背景を透過させていることも、少なくとも表紙においては正解です。可読性を損なわず、それでいて素朴に流れすぎない。

とまあこのように見た目についてはいい感じの表紙なのですが、もっと根本的なところに問題があります。

「Easy Fixtures HTML」のコンテンツは、「作成支援系統」「質問交流系統」「その他色々」に3分類され、それぞれ6つの下位項目を有しています。これはおそらくデザインの都合でそのようにされたのでしょうけれども、ここに大きな違和感があります。圧倒的に充実しているのが「作成支援系統」であり、他は水増ししたような項目さえあるわけです。

単純に分量で3等分するべきというわけではありません。1ページのコンテンツであっても、それをフィーチャーしたければ上位階層に単独で1項目与えてよいでしょう。当サイト「趣味のWebデザイン」では「サイト批評サイト リンク集」や「Info」がそれにあたります。コンテンツとしては非常に小さいのですが、「Home, Link, Lecture, Advice, Note, Info」という6つの最上位階層のひとつを、それぞれ割り振って目立たせているわけです。

こうしたことは、明確な意図をもって行うべきです。「Easy Fixtures HTML」において、例えば「HP作成講座」と「HP作成講座」が同格に扱われてよいのでしょうか? 「リンクについて」「相互リンク集」「製作協力リンク集」「製作協力リンク集」とリンク関連で4項目も占めていますが、果たしてそれだけの価値があるのか。私は大いに疑問を感じました。

おそらく訪問者の大多数は「作成支援系統」を重視されるでしょう。しかし同系統は表紙の中で3分の1しかスペースを与えられていないわけです。サイトの中で、「作成支援系統」の占めている意義は3分の1でしかない……現在のデザインからは、そう読み取れます。これが現在のサイトの構成に隠された重大な問題点です。

一案を示します。

リンク関連の入り口をひとつにし、プロフィールや利用規約などはインフォメーションに取り込んで、「質問交流系統」と「その他色々」はひとつにまとめます。そして「作成支援系統」を2つに分けるなどして、表紙のコンテンツ一覧でメインコンテンツに3分の2のスペースを割り当てるのです。あるいは、表紙のデザインを変えてしまうのですね。各項目を平等に扱うのではなくて、例えば「みんなのタグ辞書」のように、重要なコンテンツを大きく扱い、他は小さく示せばよいのです。

5.

最後に、エネルギーのかけ方について。

今はサイトを作ること自体が楽しいのでしょう。それはそれでよいと思います。ただ、将来的には、サイト製作よりも運営の方に少しずつシフトされていくことを期待したいですね。そうなるとまた、新しく色々な問題に気付き、悩むことになろうかと思いますけれども。

現在のサイトを見て回っていて、せっかくの力作が、なんとなくほったらかしにされているような空気を感じました。掲示板などを覗くと、なおのことそうした印象は強まります。もったいないな、と思ったのでした。

アドバイスは以上です。

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