趣味Web 小説 2005-09-14

精神保健福祉法改正は制度改悪か?

■ 仕事にも行けず、収入が激減…

でも、自己負担5%で治療を受けられる制度があります

心の病の治療のために病院やクリニックに通う場合、治療費の自己負担率が5%になる制度があります。 これは精神保健福祉法「32条」に規定されているので、通称「32条制度」(正式名は「通院医療費公費負担制度」)と言います。

心の病気にかかると、働けなくなったり就労制限のため収入が激減してしまいます。いつ治るのかも分からない不安の中、高価な薬による治療を続けなければならない患者にとって、「32条制度」はまさに命をつなぐ「命綱」となるのです。

■ なぜか新聞もテレビも報道しない、政府の「32条制度」改悪案

ところが今、この32条制度が改悪されようとしています。政府は今年の初め、身体・知的・精神障害にまたがる「障害者自立支援法案」を提出し、その中に「32条制度」の改正案をもりこみました。 その主な内容は、

  1. 生活保護世帯を除き自己負担率を10%に引き上げ、一定所得(所得税30万円)以上は公費負担を 廃止(=自己負担率30%)
  2. その際「所得」は本人所得ではなく 世帯全体の所得 として計算する
  3. 指定の病名(統合失調症・狭義の躁うつ病・難治性てんかん)と、一定所得以下の患者のみ を公費負担の継続的対象者とする。その他の患者(うつ病など)は今後、公費負担の対象からはずす可能性もある

と、経済的不安に苦しむ患者に大幅な負担増を強いるものです。

このような政府案に対して、「病院に通えなくなる」「これ以上家族に迷惑をかけるのなら死んでしまいたい」「自立支援法でなく自殺支援法だ」という悲痛な叫びが、全国の患者から上がりました。

この「障害者自立支援法案」は、衆議院で与党多数により可決されたものの、参議院での審議途中で国会が解散されたため、廃案となりました。しかし政府はあくまで法案を成立させる構えで、尾辻厚生労働大臣は「衆議院選挙後の国会に、法案を原案どおりのまま再提出する」と明言しています。

この32条制度の改悪の問題は、新聞やテレビでも、なぜか、ほとんどまったく報道されていません。日本では毎年3万人以上の自殺があり、その7割はうつ病が原因ではないかと言われているにもかかわらず、です。

障害者自立支援法案によれば、特定の難病患者と一部低所得者に対する公費負担は継続されます。真っ当な改正案なのでは? そしてまたしても報道の不足を訴える近視眼的な意見が。一体どれだけ報道されたら満足なのかなあ。

他人の既得権益には厳しい人も、自分の既得権益が脅かされそうになると、必死に抵抗する。3割負担は国民健康保険の原則。自己負担5%という異常な制度を当然だと思っている人の気が知れない。例外はあくまでも例外とするべきで、様々な精神病患者を一律に公費救済することを是とする発想は不適当です。(参考:加藤忠史先生の意見

日本精神神経学会の見解は、さすがに落ち着いた内容。で、ここにも人権擁護法が待望される社会的背景が浮かび上がってくるのが興味深い。

お金で悩まないこころの治療生活―はじめての社会保障制度活用マニュアル

この本、さらっと読めて面白いのだけど、品のない内容にやや困惑。必要な人が読むのはいいけれど、自助努力で頑張るべき人まで読んで、「当然の権利」とやらを主張しはじめるから財政が……。

Information

注意書き