趣味Web 小説 2005-11-02

2ヶ月に1回、1~2時間でも多すぎる?

民主党のブロガー懇話会に出席された R30 さんの感想。

速記録などを見ても、やっぱり趣味のブログなんて、社会的には無意味だなと思った。個人のレベルでは有意義なのだろうけれども。

国会議員に国民の声が届いていない、というイメージは現実に即していない。比例代表単独の議員はどうか知りませんが、選挙区選出の議員はしばしば集会を開催しており、その少なからずは、支持者でなくとも参加できます。ブロガーさんたちが質問された内容の大半は、何も党首や幹部に直接ぶつける必要のないものだったと思う。忙しい人の時間を割くだけの意味があったかというと、いささか疑問があるということです。

ブロガー側の面々のはしゃぎっぷりはよくわかる。政治の話題に興味関心を持っている人が、目の前に野党第1党の党首と国会議員数人を連れてこられて、「何でもいいたいことをいっていいよ」と水を向けられて、気分が高揚しない方がおかしいといえばおかしい。議員さんらが懇話会を開催されたことは、とりあえずその場に参加された方々にとってはよいことだったと思うのだけれど、でも、それ以上、何の意味があったかというと、ほとんど何もなかったろう。

だいたい、政治に関心のある人が4000万人くらいいるとして、野党党首がその全員と懇話会を持てるわけがない。単に政治家に物申したいだけなら、そこらの地方議員なり、地元選出議員なりを捕まえて話をすればいい。地元選出議員の集会という場で、たまたま現在、党首を務めている前原誠司さんと話をする機会を得る、といった形でもいい。今回のような形で「ブロガー」に特権を与る意義は薄い。

R30 さんの前原代表ほか民主党側の面々はと言えば、正直「ブロガーとはどのような人種なのか」というのを、興味津々で見に来ていた、というのが正確なところではないか。という読みには同意します。で、結局、ブロガーたちは政治に一家言を持つ庶民でしかなかった。ウェブで多少の人気があるといっても、全員まとめたって NHK 教育にも劣る影響力しかない。ようするに、どうでもいい。

泉あいさんは民主党は予想以上にブログやネットを重んじていないのだなと感想を述べ、ネットユーザーの声に耳を傾けることは大きな意味があると思いますという。自分がやることには意味があると思いたい、それだけではないのか。こうして政治家の時間を無駄にしていながら、そのことへの反省はないらしい。

泉さんご自身はともかく、他の参加者が何かいい提言をしたので、有意義だったといいたいのか。

私ひとりの知恵では限界がありますが、ここはネット。みなさんにご協力いただければ、たくさんの知恵を集めることができます。

ネットの方がたくさんの知恵が集まる、というのが既に幻想。テレビ的というか、ようするに新聞脳、マスコミ脳なんだろうけれども、興味関心が中央政界の幹部たちの方にばかり向いているところに、上滑りがあると思う。地方議員の集会に顔を出してみれば、ネットをツールとする以上は、双方向性にこだわりたいですという発言は、もう少し陰影を帯びてくると思う。

ふつうのサラリーマンや、商店街のおじさんおばさんらが、議員さんとざっくばらんに対話してきた長年の伝統が崩れてきたので、「双方向性」なんてものを大げさにもインターネットで再生産しようとする。ところがウェブでは距離が短縮されてしまうので、全国に点在する人々の声を拾うことに。すると共通の話題としてミーハーな方向性を提示するしかなくなってしまう。

ほとんどのブログは、例えば森喜朗さんがなぜ地元で人気があるのか、どういう人々にどのような理由で支持されているのか、うまく伝えることができずにいるでしょう? 草の根民主主義みたいなものを目指しているのかいないのかよくわからないけれども、気分的には草の根なのに、じつはふわふわと浮ついてどこにも根を下ろしていない。

それがいけないとはいわない。ただ、仮に私の指摘が正しいならば、1日100万人未満しか読んでいないブログの作者なんぞを政党の幹部が応対するのは無駄が多すぎると思う。私も含めて、ブロガーなんてのは影響力のないマスコミ、市井の評論家、推敲の甘い似非ライター、それ以上のものではない。だったら、マスコミと名の通った評論家と仕事として取材しているライターだけを相手にしていく方がよい。

ブログってすごいじゃんこの感想にはとくに異論ない。既に言い尽くされている通り、一部ブロガーの考察・意見記事における出塁率、ホームランの本数は、新聞社の編集委員やテレビ局の解説委員、評論家らと全く遜色がない。が、彼らの無力もまた現実であり、そうである以上、「ブロガー」としての彼らに野党の幹部らが顔を合わせる意味はない。彼らがマスコミや商業出版の分野へ進出してから話をしたって遅くはない。

いわゆる有名人ブログというのがあるけれども、例えば R30 とか極東ブログより多くの読者を集めているケースは少ない。それが「有名人」の(ある面における)実力なのだろうが、だからといって R30 さんや finalvent さんが「無名」であることには何ら変わりがない。

佐々木さんとひろゆきさんの冷静さが面白い。R30 さんの冷め方に近い印象。毎日新聞社のデスクが一番、ネットに信頼と期待を寄せている風なのが面白い。ウェブ利用暦が長い層、ウェブの利用時間の長い層ほど、ウェブ情報の正確さを重視せず、アナーキーな性質を肯定する傾向にあるという話とも通底しているように思う。

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