東横イン問題は、「障害者用の客室」が健常者の客から悪評を受け、そのため利用者が少なかったこと、そして機械式駐車場が客足を遠のけるダサい外観だったことから、多数派のお客さん(健常者で電車・タクシーを利用)に最適化した違法改造を行った、というものです。法令順守の精神に欠けた社長を責めていても、先につながりません。人に我慢をさせるばかりでは、事件の再発は防げないからです。
今回の事件は、日本のデザイン業界に大きな宿題を残しました。
ユニバーサルデザインは、なかなか実現しがたいものです。「とりあえずバリアフリー」というレベルで満足してしまうと、とってつけたような障害者用の手すりなどは、見た目も使用感も不愉快なものとなりやすい。床の段差をなくすといって三角のスペーサーが部屋に置かれるのも興ざめです。きちんとバリアフリーを目指した結果、ユニバーサルデザインが実現されることは少なくないのですが、まだまだあらゆる面で一般的に妥当とされる解が出揃っているわけではありません。(注:東横インの障害者用客室がどんなものだったかはわかりません。ただ、健常者が不快感を訴えるつくりだったことだけがわかっています)
フラットな床は、今や常識となりました。車椅子を使わない人だって、掃除機をかけるのに便利だし、何より廊下の真ん中を歩いているのに小指をぶつける理不尽から解消されるのは嬉しいことでした。
最近の駅舎のエレベータは、2方向に扉が設けられたものが増えています。2つ扉のエレベータでは、中に入って、そのまま前進すれば出口に向かうことができます。車椅子の利用者にはたいへんありがたいデザインといえます。じつはこのエレベータ、健常者にも使いやすいのです。何といっても出入り口で人がぶつからずにすむのがありがたい。もし床面積に余裕があれば、デパートやオフィスビルにも導入してほしいですね。
バリアフリーに関しては、様々な問題に対して、それなりの回答は出せるくらいにデザインの世界は進歩してきています。けれども、誰もが使い易いデザインの実現には、まだまだ研究が必要です。健常者も、「この部屋は素晴らしい!」と感動する障害者対応客室の実現、今日、明日にもというわけにはいかないでしょうが、デザイン業界の方々とにはぜひ、頑張っていただきたいと思います。やっぱりコストが最大の問題なので、みんなでユニバーサルデザインの実現、とくに最大の課題であるコストダウンの克服に協力し、知恵を絞っていきたいものです。
また障害者問題でかすんでしまいましたけれども、機械式駐車場の外観のダサさも、そろそろ劇的に改善されてよさそうなものです。何かいいアイデアが浮かんだら、メーカに意見を出してみるといいかもしれませんね。
以下は関係ない話。憶測メソッド全開。で、この憶測を断定口調で書くときっこメソッドに進化。