趣味Web 小説 2006-02-10

閲覧環境のトレンドとウェブデザインの作法

1.akiyan さんの問題提起
2.様々な反応
3.

昔、640×480 の画面に対応するのがデザインマナーなどといわれた時代に Yahoo!Japan が率先して 800×600 前提のレイアウトを採用したときのことを思い出しました。640×480 の画面で見たり、800×600 でサイドバーを出すと、右カラムは横スクロールなしには読めなかったのですが、強い不満を感じたのは最初だけ。いつの間にか慣れてしまいました。おそらく大多数の閲覧者が、そうだったのだろうと思います。そして現在、私は当たり前のように Yahoo!Japan を横スクロールなしで閲覧できる環境でウェブを利用している……横スクロールバーがなくなったとき、私は感動したろうか?

2006年2月の判断として、800px 以下のデザインを推奨する理由がどれだけあるかというと、微妙なところでしょうね。ひとつ自信を持って予想できるのは、少なくとも今回のデザイン変更によって mixi の会員数は減らないし、増加ペースも鈍らない、ということ。

4.

Akiyan さんが論拠としているのはアクセス解析結果ですが、2つの注意が必要だと思う。

ひとつは、サンプルの偏りです。一時期、当サイトの閲覧者の利用するブラウザの3割超が Gecko 系になったことがあり、「個々のサイトのアクセス解析結果は偏る」ことを実感しました。

もうひとつは、1024×768 以上のモニタでなければ横スクロールバーが出るデザインのサイトがどんどん増えていることです。8割以上の閲覧者が 1024×768 以上のモニタを利用しているのだから、ブラウザの表示領域の幅を 800px 程度にしている人の多くは、意図的にそうしているのです。もし横スクロールバーが非常にウザいなら、他のいろいろな事情を勘案してもブラウザを最大化するでしょう。

じつは私も意図的にブラウザの幅を狭くしている一人です。1024×768 の画面でブラウザを最大化すれば横スクロールバーには滅多に出会わないことは知っています。では、なぜ? 簡単にいえば、ブラウザとテキストエディタを重ねずに並べたいからです。横スクロールは、大した問題じゃない。自分が読みたい部分さえ表示領域に入っていればいいと思う。

ま、mixi ユーザの偏り具合はナゾなんで、大半が文句をいうようなら、対策されるでしょう。営利企業のやることですからね。毎日MSNのリニューアルは記憶に新しいところです。あるいは MyYahoo! のようなカスタマイズ機能が用意されるのかもしれません。

5.

バランスの取り方として、asahi.com はうまいと思っています。可変幅のデザインでありながら、ブラウザの表示領域を狭めていくと右端のカラムが画面外へ出て行く。テーブルで段組するメリットが活きています。私の経験上、レイアウトが崩れるよりは横スクロールの方が多くの人々に許容されやすい。

柔軟かつ崩れない段組は、少なくとも現行の仕様では十分には実現できません。非常によく考えられたスタイルにも「表示が崩れない条件」が必ずあります。float なら段組崩壊、絶対配置なら段と段の重なりを避け難い。overflow で逃げるなら、結局、横スクロールバーが出るわけです。一定の型を守って記事を更新していく限りは問題ないにせよ、ともかくも限界はあります。

ところで、「1行字数は全角20~40字でなければ嫌だ、少なくとも画面の端から端まで文字がずらずら並ぶのは許容できない」といった主張はしばしば聞かれるところ。しかしながら、Yahoo!ニュースをはじめ、読売産経も、1280×1024 のモニタいっぱいにブラウザの表示領域を広げると、かなり1行字数が増えます。そこで幅固定を選択しているのが毎日。朝日は中間派。ブログでは幅固定のデザインをよく見かけます。これは読者層の違いなのか?

ちなみに目次やニュース記事の概要表示など、多くのページで文字を小さくするのも Yahoo のお家芸。とくに衝撃的なのはトップページのヘッダーに使われている画像化文字で、なんと 10px 相当の文字サイズ。画像だからズームでもしなければ大きくならない。これで(無視できるレベルの)文句しか出てこないことには注意が必要か。

mixi もナビゲーションに画像化文字が使われていて、12px 相当の文字が使われています。アクセシビリティ指針で有名な富士通も検索ボタンが画像になっていて、「検索」という文字の大きさは 12px 相当。読みやすいかどうかは別にして、「読める」のは間違いない。

6.

ほんの数年前まで「Flash をサイトに使う場合には、目立つところに Flash のプラグイン入手先へのリンクなどを用意するべきだ」とうるさくいわれていたのに、今ではすっかり、そんなマナーは忘れ去られています。最初から Flash プレーヤーが入っているのは当たり前、ヘンなリンクを目立たせておくと、むしろ初心者の混乱の元、らしい。

閲覧環境のトレンドに依存したマナーは、時代とともに変遷していくものです。

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